アルツハイマー型認知症
精神科

どんな病気?
主には近時記憶障害により発症し、日常生活が徐々に困難となるといった経過を辿ります。脳にアミロイドβ(ベータ)という特殊なたんぱく質が蓄積し、神経細胞を破壊して、脳が萎縮することで発症します。発症後は時間の経過と共に脳の萎縮が進み、それに伴い症状も徐々に進行します。蓄積の原因は解明されていませんが、加齢や遺伝、生活習慣の影響により、正常な分解・排出ができないためと考えられています。さらに厄介なのは、アミロイドβは発症の10〜25年前から蓄積し始めると考えられていることです。
症状
数分~数日前のことが覚えられない
初期症状としてもの忘れが出現します。昔のことはしっかりと覚えていますが、新しい情報を記憶するのが困難になります。例えば、物の置き場所など日常の忘れ物や日付の混乱が多くなります。時間の経過とともに徐々に進行し、見当識障害や判断力・理解力の低下といった中核症状のほか、不安やうつ状態、暴言・暴力など行動・心理症状(BPSD)を合併することもあります。
最終的には、記憶は完全に失われ、言葉の理解や発語もできなくなり、歩行障害、失禁なども出てきて、寝たきり状態となってしまいます。最後は、呼吸器感染で死亡することが多いです。症状が出てから約半数が寝たきりとなるまでが約2~8年、死亡までの平均罹病期間は約8~10年、10年生存率は20パーセント弱とされています。
検査・診断
記憶を含めた認知機能の複数領域を評価します
精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科などが、それぞれの得意な検査や治療方法を生かして診療しています。診断においては、本人と家族に対して、物忘れを中心とした症状について問診します。その上で、認知機能を多面的に評価するため、複数の神経心理学的検査を行います。身体面では血液検査はもちろん、脳脊髄(せきずい)液検査を行うこともあります。また、神経学的診察を行った上で、脳波、頭部MRIなどの画像検査を行います。これらの検査結果を基に総合的に評価し、確定診断に至ります。
治療と経過
予防が大切、原因物質を除去する薬剤が保険適用
現時点において、根本的な治療法はなく、予防は重要です。そのための具体的な手段としては、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、禁煙、節酒、知的活動などが挙げられます。健康的な生活習慣をできるだけ早期から取り入れてください。運動しながら頭を使うデュアルタスクは認知機能維持・低下予防に特に効果があるといわれています。当院でもアルツハイマー型認知症の前段階(軽度認知障害)の患者さんを中心に、発症や進行予防のため、同タスクを取り入れたショートケアを週2回行っています。

治療においては、中核症状に対して、症状を一時的に改善させる4種類の薬物があり、状態に応じて選択します。BPSDに対しても、楽な気持ちで過ごせるように向精神薬の投与を行うことがあります。生活環境面における助言についても、できる限り能力低下に起因するストレスを取り除くという視点で行っています。
また、アルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」が2023年12月20日に保険適用となりました。本薬剤はアミロイドβを除去する作用があり、認知症の進行予防効果が示されています。当院ではすでに同薬剤を用いた治療を開始しています。
当院は県知事により、認知症疾患医療センターに指定されていることもあり、アルツハイマー型認知症を含めた認知症に関する支援を包括的に提供する役割を担います。発症予防を含む地域での啓発活動、臨床治験(ちけん)、各種書類作成、入院治療などアルツハイマー型認知症に関連した医療福祉サービスを幅広く展開しています。これからも最新治療を安全安心な環境において提供できるよう努めていきます。
よくある質問
アルツハイマー型認知症と認知症の違いは何ですか?
認知症とは、いったん正常に発達した知的機能が低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態の総称です。その中で最も大きな割合を占めるのがアルツハイマー型認知症で、7割弱を占めます。他にもレビー小体型、血管性、前頭側頭型などの認知症があり、それぞれ異なる原因と特徴を持っています。神経の病理が重なることも多く見られます。適切な治療を選択し、疾病への理解を深めるためには鑑別診断は重要となります。
症状をCHECK
※症状は人によりさまざまです
- □ 物や人の名前をなかなか思い出せない
- □ 周りから物忘れが増えたと言われる
- □ 以前から仕事量が変わっていないのに、時間がかかる
- □ 集中力がない
- □ 気分が落ち込む
- □ 以前では考えられないようなミスをする
- □ よく知っているはずの道で迷った
- □ 以前楽しめていたことが楽しめない
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更新:2026.08.14



