にぶんせきつい

二分脊椎

概要

二分脊椎とは、脊椎の形成が不完全であることによる脊髄の病気の総称で、先天的に脊髄をおさめている背骨(脊椎)の一部に形成不全がある状態のことをいいます。

脊髄が体表面に露出しているものを「開放性(顕在性)二分脊椎」、体表面からは見えていないものを「閉鎖性(潜在性)二分脊椎」といいます。

開放性(顕在性)二分脊椎

脊椎だけでなく皮膚や筋肉の形成不良で、脊椎の中にあるべき脊髄が体表面に露出しているもの。代表的なものが脊髄髄膜瘤です(図1)。脊髄髄膜瘤は、出生直後から脊髄が外の世界に触れるので、細菌が入り重篤な感染を生じやすくなります。また、脊髄の形成障害があるため、排尿・排便の障害を伴うことが多く、下肢(かし)運動・感覚の障害が出ることもあり、その程度はさまざまです。

図1
図1:脊髄髄膜瘤(開放性〈顕在性〉二分脊椎)

閉鎖性(潜在性)二分脊椎

脊髄末端に生まれつき病変があり、皮膚に閉ざされていて体表面から病変が見えていないもの。代表的なものが脊髄脂肪種です(図2)。脊髄脂肪種では、脊髄は皮膚で覆われているので感染の心配はありませんが、脊髄の末端が周囲組織に固定されているため(脊髄係留)、身長の伸びに伴い脊髄が引っ張られることが問題になります。引っ張られて脊髄がダメージを受けると、脊髄係留症候群という、排尿・排便障害、下肢運動感覚障害が出てくる可能性があります。出生後早期の症状が出ていない時期に診断がつくことが多いですが、脂肪種の大きさや程度によっては、出生時から脊髄係留の症状がみられることもあります。

図2
図2:脊髄脂肪種(閉鎖性〈潜在性〉二分脊椎)

治療

脊髄髄膜瘤の治療

出生後早期に、露出した脊髄を皮膚の付着部から剥(は)がし、奥に戻して表面を膜や皮膚で覆って修復する手術が行われます。また、頭の中にある脳脊髄液という液体が過剰に貯留する水頭症を合併することがあり、これに対する手術も行うこともあります。脊髄症状を根本から治すことは難しく、何らかのハンディキャップが残ることが多く、泌尿器科、整形外科、小児外科、小児神経科などが連携して治療を進めることになります。

脊髄脂肪種の治療

治療は、脊髄末端と付着する脂肪組織を切り離して、脊髄が突っ張らないようにする手術(脊髄係留解除術)を行います。成長に伴う症状が出てから手術を行っても症状が改善しないことが多いため、症状が出る前に予防的に手術を行うことが勧められます。

脊髄髄膜瘤、脊髄脂肪種とも成長に伴って、手術後再び脊髄の末端が周囲の組織に癒着(ゆちゃく)することがあり、再度、脊髄係留の症状が出ることがあります。定期的に経過をみて、程度によっては再手術を実施します。

更新:2022.08.17

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