発熱
概要
発熱とは、体温が平熱より高い状態を指します。一般的に、脇の下で測った体温が37度5分以上の場合を「発熱」と呼ぶことが多いですが、人によって平熱の範囲が異なるため、正確な基準は個人差があります。発熱は体が異常を感じた際に、体を守る仕組みの免疫がウイルスや細菌などに対抗するために起こる生理的な反応と考えられています。
日本では、発熱の原因としてもっとも多いのが風邪などの感染症です。風邪で医療機関を受診する人の数は年間を通して高く、発熱はその主要な症状の一つとされています。多くの場合、発熱自体は体が感染と戦っているサインでもあり、病気を早期発見する上で重要な目安となります。
発熱の原因
発熱を引き起こす原因は多岐にわたりますが、大まかに次のように分類することができます。
- 1.感染症
- ウイルスや細菌、カビの仲間である真菌などが体内に入り、体がそれに対抗しようとすることで熱が上がります。風邪、インフルエンザ、肺炎、気管支炎などが代表例です。
- 2.炎症やケガ
- 身体のどこかで炎症が起こっている場合や大きなけがをした場合も、免疫システムが働いて発熱することがあります。
- 3.自己免疫疾患
- 本来は体を守るはずの免疫が、自分自身の組織を攻撃してしまう病気です。リウマチ熱や全身性エリテマトーデス(SLE)の活動期に熱が出ることがあります。
- 4.薬剤熱
- ある種の薬を飲むと、副作用として発熱することがあります。抗生物質や薬のアレルギー反応などが原因になることがあります。
- 5.腫瘍(しゅよう)
- 悪性腫瘍(あくせいしゅよう:がん)を含む腫瘍がある場合に、発熱を伴うことがあります。ただし、こうしたケースは比較的まれです。
発熱の症状
発熱の主な症状は、「体温の上昇」ですが、あわせて下記のような変化が現れることがよくあります。
- 寒気や悪寒
- 体が熱を上げようとして震えたり、寒気を強く感じたりします。
- だるさや疲労感
- 体が全体的にだるく、力が入らない感じが続くことがあります。
- 頭痛や筋肉痛
- 発熱中は頭が痛んだり、体のあちこちの筋肉が痛んだりする場合があります。
- 発汗
- 体温が上がると汗が増え、体温を下げようとする働きが起こります。
- 脱水
- 発汗量が増えるため、水分や塩分が不足し、のどの渇きやめまいを感じることがあります。
通常の風邪や軽い感染症による発熱の場合、安静にして十分な水分と栄養を補給することで数日から1週間ほどで回復することが多いです。しかし、激しい頭痛や強いのどの痛み、呼吸の苦しさ、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、重症の可能性もあるため、早めに医療機関を受診したほうがよいでしょう。

発熱の検査・診断
発熱の検査や診断は、まずは問診と診察が基本となります。必要に応じて以下のような検査を行い、原因を探ります。
- 1.体温測定
- 脇の下、耳、口などで体温を測ります。連続して数日分の体温経過を記録すると、原因特定の手がかりになることがあります。
- 2.血液検査
- 白血球や炎症の程度を示すCRP(シーアールピー)の値を調べ、感染症や炎症の有無を確認します。また、ウイルスや細菌を特定するための検査を行う場合もあります。
- 3.尿検検査
- 尿路感染症や腎臓の状態などを調べるために、尿の成分を検査します。
- 4.画像検査
- 必要に応じて胸部X線撮影やCTスキャンなどを行い、肺炎やほかの臓器の病気を探します。
- 5.その他の検査
- 症状の種類や医師の判断によって、のどの粘膜をこすって行う細菌やウイルスの検査(咽頭ぬぐい液検査)や血液培養など、さまざまな検査を組み合わせる場合があります。
発熱の治療
発熱そのものは、体が病原体と闘っている正常な反応であることが多いため、必ずしも薬で無理に下げる必要がない場合もあります。ただし、原因や症状の程度によっては以下のような治療が行われます。
- 1.解熱鎮痛薬(げねつちんつうやく)
- アセトアミノフェンなど、熱を下げたり痛みを和らげたりする薬が使われることがあります。薬を使うかどうかは、症状の程度や年齢、原因によって判断されます。
- 2.水分補給や栄養管理
- 発汗が増えると体が脱水状態になりやすいため、こまめな水分補給が必要です。スポーツドリンクや経口補水液などを活用し、塩分や糖分も同時に補給すると効果的です。
- 3.抗生物質や抗ウイルス薬
- 細菌感染が原因の場合は、細菌を殺す抗生物質が使われることがあります。一方、インフルエンザなど一部のウイルス感染症には抗ウイルス薬が使用されます。ただし、風邪の大半はウイルス性であり、抗生物質では効果がないため、原因をしっかり見極めることが重要です。
- 4.解熱のタイミング
- 発熱によって強い苦痛を感じたり、食事や水分補給が困難なほど症状が重い場合は、解熱薬を使って体温を下げます。一方で、軽度の発熱であれば、体が持つ免疫の働きを活かすために無理に下げないこともあります。
- 5.基礎疾患の治療
- がんや自己免疫疾患など、別の病気が原因で発熱している場合は、その病気への治療が優先されます。
発熱の合併症
発熱自体が合併症を引き起こすことはまれですが、高熱が長期間続く場合や、もともと免疫力が低い高齢者や乳幼児、持病がある人などは注意が必要です。脱水症状が進みやすく、めまいや意識障害につながることがあります。特に乳幼児は体温調節機能が未熟なので、熱性けいれん(※1)を起こすことがあり、様子がおかしいと感じたら早めに医療機関を受診することが重要です。
※1:高熱に伴う一時的なけいれん発作
発熱の予防
発熱そのものを完全に予防するのは難しいですが、主に感染症による発熱を防ぐためには、以下のような点に注意するとよいでしょう。
- 1.手洗い・うがい
- 日常的な手洗いと、外出先からの帰宅時のうがいで、ウイルスや細菌の侵入を減らす基本的な予防法です。
- 2.バランスの良い食事と十分な睡眠
- 免疫力を保つためには、栄養バランスのとれた食事と適度な休養が有効です。
- 3.適度な運動
- ウォーキングなどの軽い運動でも、継続することで体力を保ち、病気にかかりにくくなります。
- 4.予防接種
- インフルエンザやその他の感染症に対しては、ワクチン接種が予防に有効です。特に高齢者や慢性疾患を持つ人は積極的に検討しましょう。
更新:2026.02.04

