ものもらい(ばくりゅうしゅ)

ものもらい(麦粒腫)

概要

ものもらいは、主にまつ毛の根元やマイボーム腺(※1)に細菌が感染して起こる病気です。麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とも言います。まぶたが赤く腫れたり、押すと痛みがあったりするのが特徴です。

多くの場合、抗菌薬による治療や適切なケアによって、数日から1〜2週間ほどで改善します。ただし、痛みが強い場合や化膿(※2)が目立つ場合、症状が改善しない場合には、自己判断せず医師の診察を受け、適切な処置を行うことが重要です。

※1:まぶたの脂を分泌する腺
※2:うみが溜まること

ものもらいの原因

ものもらいの主な原因は、まぶたにある毛包(もうほう)(※3)やマイボーム腺などに細菌が感染することです。原因菌として最も多いのは、黄色ブドウ球菌(※4)です。通常、まつ毛の根元やまぶたの皮膚表面にも常在菌は存在しますが、体の抵抗力が低下しているときや、まぶたが不衛生な状態になると、これらの細菌が増殖し、感染が起こりやすくなります。

具体的には次のような要因が考えられます。

1.不十分なアイメイクの洗浄
マスカラやアイラインなどのメイク汚れが十分に落とされていないと、まつ毛の根元やマイボーム腺の出口がふさがれ、細菌が増殖しやすくなります。
2.コンタクトレンズの不適切な使用
コンタクトレンズやレンズケースの衛生状態が不十分な場合、細菌が増えやすくなり、まぶたや眼の表面に感染が広がるリスクが高まります。
3.免疫力の低下
睡眠不足や栄養状態の乱れなどにより体の抵抗力が低下すると、細菌に対する防御機能が弱まり、ものもらいを発症しやすくなります。
4.まぶたをこする癖
手や指に付着した汚れや細菌がまぶたに触れることで、感染が起こるリスクが高まります。特に、無意識にまぶたをこする習慣がある場合は注意が必要です。

※3:まつ毛の根元部分
※4:皮膚などに常在する細菌

ものもらいの症状

ものもらいの症状は、まぶたの一部分が赤く腫れ、軽い違和感や痛みを感じることから始まることが多いです。症状が進行すると、腫れや痛みが強くなり、日常生活に支障をきたす場合もあります。

1.まぶたの腫れと痛み
まぶたの一部が赤く腫れ、触れると痛みを感じることがあります。症状が進行すると、腫れや痛みが強くなる場合があります。
2.赤み
炎症(※5)が起こっている部分が赤くなります。炎症が広がると、まぶた全体が赤くなることもあります。
3.目やに・涙目
感染によって分泌物が増え、目やにが出たり、涙が出やすくなったりすることがあります。
4.化膿
症状が進むと、腫れた部分にうみがたまり、黄色や白っぽい点(膿点〈のうてん〉)が見える場合があります。自然に排膿することもありますが、無理につぶすと炎症が悪化するおそれがあるため注意が必要です。

※5:組織が熱をもち、腫れること

図
図:ものもらい

ものもらいの検査・診断

ものもらいは、多くの場合、眼科医による問診と目視での診察によって診断されます。まぶたの腫れや赤み、痛みの程度などから判断できることがほとんどで、特別な検査を必要としない場合が多いです。

ただし、症状が強い場合や繰り返し発症する場合、治療に反応しない場合などには、原因を詳しく調べるために、次のような検査が行われることがあります。

1.細菌検査
うみを採取して培養し、どのような細菌が原因かを調べることがあります。
2.追加の眼科検査(視力検査や眼圧検査)
症状や経過によっては、角膜(※6)への影響や他の眼疾患の有無を確認するために、視力検査などを行うことがあります。

※6:黒目の部分

ものもらいの治療

ものもらいの治療は、症状の程度に応じた保存的治療が中心となります。軽症の場合には自然に改善することもありますが、早期に適切な治療を行うことで、痛みや腫れを和らげ、治癒までの期間を短縮できる場合があります。

1.温罨法(おんあんぽう)
清潔なタオルやガーゼを温かいお湯で湿らせ、まぶたに数分間当てることで血行を良くし、うみを排出しやすくします。ただし、熱すぎるとやけどの恐れがあるため適温を保ちましょう。
2.抗菌薬の点眼薬・軟膏
眼科で処方される抗菌薬の点眼薬や軟膏を使用して、細菌の増殖を抑えます。医師の指示に従い、用法・用量や使用期間を守って使用することが重要です。
3.切開・排膿(はいのう)
膿(うみ)の部分が大きくなり痛みが強い場合、医師による切開手術で排膿することがあります。自分でつぶす行為は感染を広げる恐れがあるので絶対に避けてください。
4.痛み止め
強い痛みがある場合は、痛み止めの内服薬が処方されることもあります。

ものもらいの合併症

ものもらい自体は多くの場合、適切に処置すれば軽快する病気です。ただし、経過や状態によっては、次のような病気や注意すべき状態がみられることがあります。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)
ものもらいが治ったあともまぶたにしこりが残り、霰粒腫と呼ばれる状態になることがあります。霰粒腫は痛みを伴わないことが多い一方、自然に改善するまでに時間がかかる場合や、治療として切開や摘出が必要になることがあります。
角膜炎
感染や炎症が角膜に及んだ場合、目の痛みや充血、視力低下を引き起こすことがあります。このような症状がみられる場合は、早めの受診が必要です。
眼瞼蜂巣炎(がんけんほうかえん)
炎症がまぶた全体に広がると、強い腫れや痛み、発熱を伴うことがあります。まれではありますが、重症化する場合もあるため、症状が急激に悪化した場合には速やかに医療機関を受診してください。

ものもらいの予防

ものもらいを予防するためには、まぶたを清潔に保ち、細菌が繁殖しにくい環境を整えることが大切です。具体的には、次のような方法が推奨されます。

1.こまめな手洗い
外出先から帰ったときやコンタクトレンズの装着前後など、手洗いを行い、細菌が目の周囲に付着するのを防ぐことが重要です。
2.アイメイクの正しい落とし方
クレンジングや洗顔のときに、目元をやさしく丁寧に洗い、マスカラやアイラインなどの残りかすがまつ毛やマイボーム腺の出口を塞がないようにしましょう。
3.コンタクトレンズの衛生管理
コンタクトレンズやケースを清潔に保ち、定期的に交換することで感染リスクを減らします。
4.十分な休養・睡眠とバランスの良い食事
免疫力の低下は感染症リスクを高めるため、生活習慣を整えることも重要です。
5.まぶたをこすらない習慣
手に付いている菌をまぶたに持ち込まないよう、目に違和感があっても、なるべくこすらないように意識しましょう。

更新:2026.05.13