重症心身障害・強度行動障害

精神科

重症心身障害・強度行動障害

どんな病気?

「強度行動障害」は福祉・行政分野で定義された概念で、医学的な診断ではありません。「精神科的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(かみつき、頭突きなど)や、間接的な他害(睡眠の乱れ、同一性の保持など)、自傷行為などが通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しく処遇困難なものであり、行動的に定義される群」とされています(1989年の行動障害児(者)研究会による報告書)。その状態像は、おおむね「重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症」と言われています。

症状

自閉スペクトラム症の特性を評価し、障害特性に基づく行動の理解が必要

本来、重症心身障害児(者)とは、「重度の知的障害と重度の肢体不自由を併せ持つ」児(者)と児童福祉法では定義されています。しかし、いわゆる「(動く)重症心身障害(者)」の定義は「重度の知的障害はあるが、運動機能については歩行障害~走れる程度の者」とされています。国立病院機構では行動障害のある患者さんの治療を手厚い医療が提供できる重症心身障害医療の枠組みで行ってきた歴史があります。

強度行動障害とは「精神科的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(かみつき、頭突きなど)や、間接的な他害(睡眠の乱れ、同一性の保持など)、自傷行為などが通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しく処遇困難なものであり、行動的に定義される群」とされています。自閉スペクトラム症と関連することも多いとされています。

検査・診断

福祉の現場で使用される指標と、医療の現場で使用される指標がある

強度行動障害は医学的な診断ではありません。強度行動障害の程度を判断する判定基準は、福祉と医療で使用されているものがあります。(表)また、強度行動障害がある人は、重度の知的障害と自閉スペクトラム症を併せ持つ人が多いとされており、知的な能力の状態を評価する心理検査や自閉スペクトラム症の有無を評価する検査などを行い、状態を把握します。

表
表:強度行動障害判定基準表
出典:厚生労働大臣が定める児童等(平成24年厚生労働省告示第270号)

治療と経過

多機関で連携し、その人らしい生活を支えていくことが重要

本人の障害特性を評価し、強度行動障害の一義的な対応と考えられる環境調整を行います。薬物療法はあくまで対症療法であり、環境調整と両輪で行うことが必要不可欠です。環境調整のヒントとなる考え方には、自閉症支援の視覚化・構造化、行動療法の考え方などが活用でき、その詳細や効率的に情報を共有するための基本情報シート、生活状況シートなどは『多職種チームで行う強度行動障害のある人への医療的アプローチ』(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター監修 會田千重編集 中央法規出版)をご参照ください。

多職種・多機関で連携しながら強度行動障害のある患者さんを支え続け、本人の生活が改善するための変化の糸口を探ります。「強度行動障害のある人への支援とは、行動の改善をゴールとするのではなく、強度行動障害の状態にあることで参加の機会や本来行使できる権利を行使できない人のよりよい暮らしを考えていくこと」(『本人の「困った!」、支援者の「どうしよう…」を軽くする強度行動障害のある人を支えるヒントとアイデア』西田武志・福島龍三郎編著 中央法規出版)だと言えます。

さまざまな機関が連携しできることを持ち寄り、その人らしく生活できるための支援を継続することが重要です。

よくある質問

在宅生活で一時的に預かり先を見つけたいが、どうしても預かり先が見つからない時にはどんな制度がありますか?

当院の療養介護病棟では、医療型短期入所を行うことができる施設になっています。お住いの自治体が医療型短期入所や療養介護の支給が可能と判断したケースで利用することができます。もし、福祉のショートステイを利用したいけれども、利用できる福祉施設が見つからない場合は、お住いの地域の総合相談窓口や、役場の担当窓口、発達障害者支援センターなどにご相談されてみてはと思います。

症状をCHECK
※症状は人によりさまざまです

  • □ 激しく自分を傷つける行動がある
  • □ かみつく、叩く、蹴るなど他者を傷つける行動がある
  • □ 激しい器物破損がある
  • □ 睡眠の障害が強い
  • □ 反すうや異食があり生命のリスクがある
  • □ 排泄に関する強度の障害がある(便を塗るなど)
  • □ 強いこだわりがあり、激しいパニックがある

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更新:2026.08.14