肝がんのインターベンション治療 肝がん
徳島大学病院
消化器内科
徳島県徳島市蔵本町

切らずに、体に負担の少ない肝がん治療を
肝がんは、30年前の約4倍に増え、日本人では肺がん、胃がん、大腸がんに次いで4番目に多いがんといわれ、ほとんどの場合B型、C型慢性肝炎、肝硬変が原因となっています。
従って、少なからず肝臓自体の体力が低下している場合が多いため、がんの状態だけでなく、肝臓の状態を考えた治療法を選択する必要があります。肝がんは、発見されたとき、既に肝臓内に無数の小さな転移をきたしている場合も多く、発見された肝がんを治療してもすぐに再発がみられることがあり、再発を念頭においた治療が必要となります。
肝臓の体力が十分にあり、数が少ない場合には肝臓を切る手術で治療することができますが、切除が難しい場合もあります。このため、手術以外の効果的な治療法として、ラジオ波焼灼療法(はしょうしゃくりょうほう)、肝動脈塞栓術(かんどうみゃくそくせんじゅつ)が注目されています。
ラジオ波焼灼療法
ラジオ波焼灼療法は針の先からラジオ波(高周波)を発生させて肝がんを焼く方法です。超音波やCTで腫瘍(しゅよう)の場所を確認しながら、皮膚の表面から電極針という特殊な針を刺していきます(写真1)。針を刺す場所には局所麻酔を行い、眠くなる薬を使ってできる限り痛みを感じない状態で治療を始めます。腫瘍の中に針が挿入したことを確認したらラジオ波を通電します。1回の焼灼時間は、通常最大で12分です。治療が終わった後は4時間安静にし、4時間後から体を動かすことができます。

翌日に血液検査やCTで体の状態の確認と、がんの治療がうまくいっているか確認を行います。当科では、体調に問題がなく、治療が成功していれば最短で3日後に退院となります。
肝動脈塞栓術
肝がんは、ある程度進んだ状態になると、肝臓の動脈から栄養をもらうようになります。肝動脈塞栓術は、その栄養を運ぶ血管である動脈を塞いで「兵糧(ひょうろう)攻め」にする治療です。
脚の付け根を消毒した後、動脈にカテーテルを挿入し、肝臓に進めていきます(写真2)。カテーテルの先から造影剤を注入し、肝がんの場所や、がんへ栄養を行きわたらせている動脈を調べながら、カテーテルを進めていきます。がんの場所が確認できたら、動脈を塞ぐ薬を投与し血流を遮断します。再度造影検査やCT検査を行い(写真3)、がんへの血流がなくなったことを確認し、治療を終わります。脚の付け根から入れたカテーテルを抜いた後は止血のため、しばらく圧迫を行います。


治療終了後は、病室に戻り、安静の時間となります。脚の付け根には比較的太いカテーテルが入っていたので、安静時間の間もしっかりテープで固定します。治療後に痛みや、発熱、吐き気などが起こるケースがありますが、痛み止めや解熱剤、吐き気止めなどを使いながら体力の改善を待ち、問題なければ5日程度で退院ができます。
更新:2022.03.04