高度な看護 心のこもった温かい看護を提供
徳島大学病院
看護部
徳島県徳島市蔵本町

特定機能病院として高度な医療・看護の提供
当院はベッド数696床を備える地域の急性期病院として、診療、教育、研究に力を入れています。
当部は、病院の理念である「生命の尊重と個人の尊厳の保持を基調とし、先端的で、生きる力を育む医療を実践するとともに、人間愛にあふれた医療人の育成」の実現に向けて、「愛と知と技のバランスのとれた看護職の養成」をめざしています。一人ひとりの看護師が専門職として自覚と誇りを持ち、安全で高度な看護ケアの提供をめざし、専門職者としての看護実践能力を向上させ、働きがいを持ってキャリアアップができるよう取り組んでいます(写真1)。

心のこもった温かい看護
看護の理念「私たちは、常に生命、人格、権利を尊重することを看護の判断、行動の基本とするとともに、社会の変化、医療の進歩に対応したよりよいケアを提供します」を基に、当院の看護サービスは「ハートフルケア」「QOL(生活の質)に直結したケア」「早期回復を図り、早期退院に直結するケア」の3つの特性を持っています。
ハートフルケアは、患者さんとの信頼関係を築き、心のこもった温かい親切なケアを行うことと、常に対人関係能力の向上に努め、信頼できる態度で対応することです。
QOLに直結したケアは、患者さんの入院中および退院後の生活の質の向上を図り、患者さんの権利を尊重し、人と情報のネットワークの中で自立を支援することです(写真2)。

早期回復を図り、早期退院に直結するケアは、専門的知識、技術の提供と多職種の協働によって、早期退院をめざすことです。
私たちは、患者さんと家族を看護の中心として、多職種のメディカルスタッフと連携・協働し、それぞれの専門スキルを発揮することで、入院中や外来通院中の患者さんの生活の質の維持・向上と人生観を尊重した療養の実現をサポートしています(写真3)。

看護職の人材養成システムの確立
当院は、2010(平成22)年8月、文部科学省の大学改革推進事業「看護師の人材養成システムの確立」に全国12大学の一つに採択され「愛と知と技のバランスのとれた看護職養成~自己啓発力を高め看護実践力を目指すプラン~」に取り組んでいます。
このプランは、自己啓発力を高め、看護実践力の向上を図り、自ら学び続ける自律した看護師を育成する取り組みであり、当院が推進しているワーク・ライフ・バランス体制を強化、推進します。
当部は、当院で働く一人ひとりの看護職が、仕事と生活の調和を取りながら、多様な勤務形態を活用し、仕事を辞めずに育児ができる環境を整えています。
さらに、人材育成と活用、能力評価と処遇を含めたキャリアパスを構築し、目的に向かって生き生きと働き続けることができるよう、人材育成のための学習環境、教育体制の整備ができました。
専門性の高い看護職を育成し、地域貢献
入院病棟や外来で活躍する質の高い看護師の育成と同時に大切なのが、専門的な看護実践能力を持つスペシャリストの育成です。そのため専門看護師や認定看護師の育成にも力を入れ、現在、専門看護師1人、認定看護師17人が活躍しています(表)。

がん専門看護師は、臨床現場では、主にがん化学療法を受けている患者さんの治療に直接かかわって、相談対応や多職種での調整、がん患者さんの看護に携わるスタッフへの教育や相談などによってスキルアップを図り、研究活動などを通してがん看護の質の向上をめざしています。皮膚・排せつケア認定看護師は、褥瘡(じょくそう)管理者として褥瘡(床ずれ)予防、治療ケアに対する助言や多職種からなる褥瘡対策チームで褥瘡回診を実施し、ストーマケア外来や糖尿病看護認定看護師と共にフットケア外来を行っています。
認定看護師たちの資格取得には6か月の研修期間や研修費など、現場では大きな負担が生じるため、地方の中・小規模の病院では取得が難しいのが現状です。
そこで当院では、各専門領域で専門性を発揮できる人材を積極的に育成し、地域を視野に入れて資格を修得した看護師が地域に出ての活動や、地域の方々が当院で看護を学習できる環境も整備しています。今後は、これらの取り組みを通して、専門職としての自覚と誇りを持ち、大学病院としての特長を活かし、臨床における実践・教育・研究を通して、地域の皆さまの役に立てるようにがんばりたいと思います。
更新:2022.03.04