臨床検査 四国地方最高レベルの検査

徳島大学病院

検査部

徳島県徳島市蔵本町

臨床検査は、患者さんから採取した血液や尿などを調べる「検体検査」と、心電図や脳波など患者さんに電極などを装着して直接調べる「生理機能検査」の二つに大きく分けられます。検査部では、次の部門に分かれて業務を実施しています。

  • ①検体総合管理部門(中央採血室、検査情報室)
  • ②検体検査分析部門(臨床化学、免疫血清、緊急、血液学、一般)
  • ③微生物部門(一般細菌、真菌、結核菌などの検査、写真1)
  • ④生理機能部門(心電図、ホルター心電図、肺機能、脳波、血圧脈波、血管内皮機能、誘発電位、睡眠時無呼吸検査など)。
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写真1 細菌検査

各部門で、年間330万件以上の臨床検査を行っています。また、夜間休日の緊急検査に対応するため24時間体制をとっています。

こんなに進歩した臨床検査

近年、臨床検査技術はめざましい進歩を遂げています。最新の分析装置や検体搬送・データ管理システムを導入し、四国地方最高レベルの検査結果を患者さんに提供しています(写真2)。例えば、ひと昔前と比べると、結果が出るまでの時間が早くなりました。すぐに結果が出る診療前検査は、かつては尿検査と貧血などの検査(CBC)、生化学検査(血糖や肝機能など)でした。

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写真2 電子カルテ画像

現在は脂質(LDLコレステロールなど)、腫瘍マーカー(PSA・CA19-9など)、ホルモン(甲状腺(こうじょうせん)ホルモンなど)、リウマチ検査(MMP-3)なども採血後1時間程度の待ち時間で結果が出るようになりました(写真3)。血液検査の結果を聞くためだけの再来院が減少しました。

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写真3 生化学自動分析装置

遺伝子検査は、結核菌の検出や、C型肝炎ウィルス検査を早く正確に行うことが可能になりました。さらに、病気の原因になる遺伝子の解析や治療方法、副作用に関連する遺伝子も解析できます。当部が国際規格ISO15189認定を取得したことで、当院の検査結果は、国際的に信頼性が認められています(写真4)。

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写真4 ISO15189認定証

患者さんの体を検査する

患者さんの体を直接検査する生理検査室では、従来の12誘導心電図検査や24時間記録するホルター心電図検査などに加えて、重度の不整脈による突然死の危険性を予測する「心室遅延電位検査」や「体表心電図」などの詳しい検査も行っています。

動脈硬化の検査では、血管の硬さや詰まりを調べる「血圧脈波検査」のほかに動脈硬化が早期発見できる「血管内皮機能(FMD)検査」も行い、さらに、睡眠時無呼吸症候群に関する検査では、自宅でできる簡易検査と、1泊入院で精密な検査をする「終夜睡眠ポリグラフ検査」も行っています。

細菌検査室の役割

感染症は、病原性のある微生物が体の外から侵入して起こる場合と、抗がん剤や生物学的製剤などの投与によって免疫力が低下し、さほど病原性のない身の回りにいる微生物によって起こる場合があり、当院では後者のような患者さんが多数を占めています。

細菌検査室では、さまざまな感染症の原因となる細菌について調べています。検査材料(血液、膿(うみ)、喀痰(かくたん)〈痰を吐くこと〉、尿、便など)に存在する細菌をさまざまな培地を使って目に見える形に育て、その菌にどのような薬(抗菌薬)が有効かを調べて、治療に役立つ情報を報告しています。

これらの検査は、細菌の発育性を観察するので結果報告に3~4日かかります。ただ今後は、ノーベル賞受賞の田中耕一氏の業績により開発された質量分析を使った最新機器を導入し、細菌のタンパク質を解析することで、菌が分離できれば多くの場合10分程度で菌名の決定ができる予定です。

また当院では、感染管理のためのシステムを構築しています。薬剤耐性菌(抗菌薬がほとんど効かない細菌)などの情報が病院全体で共有できるようになっています。また、薬剤耐性菌を発見したり、まん延した場合には直ちに報告したり、定期的な監視も行っています。

更新:2022.03.04