せいきへるぺす

性器ヘルペス

基礎情報

概要

性器ヘルペスは、ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって、性器やその周囲に水ぶくれやただれを起こす病気です。ヘルペスウイルスには主に2つのタイプがあり、口唇ヘルペスの原因となる「HSV-1」と、性器ヘルペスの原因になりやすい「HSV-2」が知られています。しかし、近年は口唇ヘルペスの原因であるHSV-1が、オーラルセックスなどを通じて性器に感染するケースも確認されています。

世界的に見ても、性器ヘルペスは多くの人が保有しているウイルス感染症の一つとされ、日本でも珍しい病気ではありません。

一度感染すると、ウイルスは体内に潜伏し続けます。症状が治まってもウイルスが体内に残るため、体力が落ちたときや強いストレスを受けたときなどに再発することがあります。

性器ヘルペスの原因

性器ヘルペスは、主に次のような経路でうつります。

1.性行為による感染
もっとも多いのが、性感染症(※1)としての経路です。感染者の性器や口唇にあるウイルスが、粘膜(ねんまく)(※2)や皮膚の傷口などを通ってうつる場合があります。
2.オーラルセックスを介する感染
もともと口唇ヘルペスを引き起こすHSV-1を保有している人が、オーラルセックスを行ったことで相手の性器に感染させるケースも増えています。
3.出産時の産道感染
妊婦が性器ヘルペスに感染している場合、出産時に産道を通ることで赤ちゃんに感染してしまうことがあります。重症化すると新生児の健康に深刻な影響が及ぶため、注意が必要です。

※1:性行為でうつる病気
※2:口や性器の内側など、体の表面を覆う柔らかい組織

性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスの症状には個人差があります。感染しても、全く症状が出ない「不顕性感染」の人もいれば、初感染時に強い痛みをともなう人もいます。主な症状は以下の通りです。

1.水ぶくれやただれ
性器や陰部、肛門まわり、太ももの付け根などに小さな水ぶくれができ、破れるとただれたり潰瘍(かいよう)(※3)になったりします。
2.痛みやかゆみ
水ぶくれやただれの部位は強い痛みを感じやすく、かゆみやピリピリとした刺激を覚えることがあります。
3.発熱や倦怠感(けんたいかん)
初感染の場合、発熱やリンパ節の腫れなどの全身症状が出ることがあります。
4.排尿時の痛み
痛みが強い人は、尿が患部に触れることでしみるような痛みを感じる場合があります。

初めて感染した時は、強い痛みや高熱、リンパ節の腫れなど、歩くのも困難なほど重症化することがあります。一方で、再発時は「ピリピリ、ムズムズする」といった予兆の後に小さな水ぶくれができる程度で済むことが多いです。この「再発のサイン」を見逃さずに治療を行うことで、パートナーへの感染などを防ぐことができます。

疲れやストレスなどが引き金となって再発することがあります。

※3:皮膚や粘膜がただれ、深く傷ついた状態

図
図:性器ヘルペス

性器ヘルペスの検査・診断

性器ヘルペスを疑う場合、医療機関では以下のような方法で検査・診断が行われます。

1.視診
性器やその周辺を実際に見て、水ぶくれやただれの有無、症状の程度を確認します。
2.ウイルス検査
病変部から採取した組織液を調べて、HSV-1またはHSV-2が検出されるかどうかを確認します。
3.血液検査(抗体検査)
HSVに対して体内で作られる抗体(※4)の有無を調べることで、過去に感染したかどうかを推定できる場合があります。ただし、ウイルス検査ほど正確に「今、発症しているかどうか」を判断できないこともあります。

※4:ウイルスなどを攻撃する物質

性器ヘルペスの治療

性器ヘルペスは、一度感染すると体内から完全にウイルスを消し去ることはできませんが、症状を和らげ再発を予防する治療が行われます。主に使われる治療法は次の通りです。

1.抗ウイルス薬の内服
アシクロビル(抗ヘルペスウイルス薬)やバラシクロビルなどの薬を服用し、ウイルスの増殖を抑えます。初感染時や再発時に使用され、症状を軽くし、回復を早める効果があります。
2.抗ウイルス薬の点滴
症状が重い場合や、内服では十分な効果が得られない場合、点滴で抗ウイルス薬を投与することがあります。
3.痛みやかゆみへの対症療法
痛み止めやかゆみ止めの薬を使用して、症状によるストレスを減らす方法です。患部を清潔に保つことも重要です。
4.再発予防
再発をくり返す人には、一定期間継続して抗ウイルス薬を服用する「抑制療法」が行われることがあります。ストレスや睡眠不足などを避ける生活習慣の見直しも再発防止につながります。
抑制療法のほか、再発の予兆を感じた瞬間にすぐ服用できるよう、あらかじめ薬を処方しておくPIT(待機療法)という選択肢もあります。早めに叩くことで、水ぶくれになる前に症状を抑え込むことが可能です。

また、タオルを共有しない、石鹸で優しく洗って清潔を保つといった配慮も大切です。

性器ヘルペスの合併症

性器ヘルペス自体が命にかかわるケースはまれですが、次のような合併症を引き起こす場合があります。

1.新生児ヘルペス
妊娠中に性器ヘルペスに感染していると、出産時に赤ちゃんがウイルスにさらされることで「新生児ヘルペス」を発症することがあります。重症化すると脳やほかの臓器に悪影響を及ぼし、命にかかわる可能性もあります。
2.細菌感染の併発
性器にできたただれや水ぶくれを傷つけてしまうと、そこから別の細菌が入り込み、二次感染を起こすリスクがあります。
3.心理的ストレスや対人関係への影響
性感染症であることから、人に言いづらい・相談しづらいなどの理由で精神的ストレスを抱えることがあります。感染や再発に対する不安が強い場合は、医療機関やカウンセリングを利用することも大切です。

性器ヘルペスの予防

性器ヘルペスを含む性感染症を予防するために、以下の点を心がけることが重要です。

1.コンドームの使用
完全ではありませんが、適切にコンドームを使うことで感染リスクを下げられます。ただし、コンドームが覆わない部分に水ぶくれやただれがある場合は、その部分からウイルスがうつることもありえます。
2.不特定多数との性的接触を避ける
交際相手やパートナーとの間でも、お互いの健康状態や感染症の有無について話し合うなど、リスクを認識した上で行動することが大切です。
3.早期受診と適切な治療
もしも性器ヘルペスの疑いがある症状が出た場合は、なるべく早く医療機関を受診し、抗ウイルス薬による治療を受けることが重要です。
4.健康管理とストレスケア
体調を崩して免疫力(めんえきりょく)が下がると、ウイルスの再活性化を招きやすくなります。十分な睡眠や栄養バランスの良い食事、適度な運動などを心がけましょう。

更新:2026.11.01