期外収縮
基礎情報
概要
心室性期外収縮(PVC)は、心臓の心室(しんしつ)(※1)で通常より早く電気刺激が起こり、余分な拍動が生じる状態を指します。これは「不整脈(ふせいみゃく)(※2)」の一種です。多くの場合、健康な人でも時々みられる軽度の不整脈で、特に症状がなければ治療の必要がないとされています。
ただし、心臓に持病がある方や、PVCが頻繁に起こって生活に支障が出るほどの症状を感じる方の場合は、原因を調べたうえで適切な対応をすることが大切です。日本においては、厚生労働省の統計資料のなかで心血管疾患に関するデータが公表されており、不整脈全体としての受診者数は増加傾向にあります。PVCはその一部ですが、健康診断や医療機関で偶然発見されるケースも珍しくありません。
※1:血液を全身に送り出す部屋の部分
※2:正常なリズムとは異なる心臓の拍動

期外収縮の原因
PVCは、心臓を動かす電気信号の流れに何らかの刺激が加わり、心室から余分な拍動が出ることで起こります。原因は大きく分けて以下のようなものが考えられます。
- 1.刺激物質
- カフェイン(コーヒーやお茶、エナジードリンクなど)
- アルコール
- ニコチン(たばこ)
- 一部の薬剤(鼻づまりの薬など、体を活発にする交感神経を刺激する成分を含むもの)
- 2.心臓や血管の持病
- 心筋症:心臓の筋肉が厚くなったり弱くなったりする病気
- 虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん):心臓に血液が十分に届かなくなる病気
- 弁膜症:心臓の弁が正常に働かない病気
- 3.ストレスや睡眠不足
- 強いストレスや疲労、睡眠不足などによって体の働きを調整する自律神経のバランスが乱れ、PVCが起こりやすくなる場合があります。
- 4.その他
- 貧血
- 電解質異常:ナトリウムやカリウムなど体内のイオンバランスが崩れる状態
- 一時的なホルモンの変化など
期外収縮の症状
PVCが起きても、多くの方ははっきりした自覚症状を感じないとされています。ただし、以下のような症状を訴える人もいます。
- 1.胸がドキッとする、あるいは「飛ぶ」ような感覚
- 心臓が止まったように感じたり、突発的に強い拍動を感じることがあります。
- 2.胸の不快感や動悸(どうき)
- 連続してPVCが起こると、胸のあたりがムズムズしたり、ドキドキするように感じる場合があります。
- 3.めまい(ふらつき)や息切れ
- 心拍が不規則になることで、血流が一時的に不安定になり、めまいや息切れを起こすこともあります。
- 4.不安感
- PVCが続くと、「心臓が変になっているのでは」という不安感が強くなることがあります。
これらの症状が頻繁に起こり、日常生活に支障をきたす場合や、激しい胸痛がある場合は、重大な心臓病が隠れていることもあるので、早めに医療機関を受診しましょう。

期外収縮の検査・診断
PVCを疑う場合、医療機関では主に以下の検査を行います。
- 1.心電図検査
- 心電図は、心臓が拍動する際に発生する電気信号を記録する検査です。PVCが起きているかどうか、どのようなパターンで出ているかを確認します。検査中に症状が出なかった場合は診断がつかないこともあります。
- 2.ホルター心電図
- 小型の装置を身につけて24時間あるいはそれ以上、心電図を記録します。日常生活の中でPVCがどの程度発生しているかを調べます。
- 3.イベントモニター
- 症状が出たタイミングでボタンを押して心電図を記録できる装置です。発作的に起こるPVCを捉えやすくなります。
- 4.心エコー(超音波検査)
- 超音波を使って心臓の構造や動きを確認します。心臓の弁や筋肉に異常がないかを調べ、PVCの原因となる心臓病が潜んでいないかを判断します。
- 5.運動負荷試験(ストレステスト)
- トレッドミル(ランニングマシン)や自転車をこぎながら心電図をとり、運動で心拍数が上がったときにPVCが増えるかどうかを確認します。
期外収縮の治療
PVCが少なく、明らかな心臓の病気がない場合は、治療を行わずに経過観察するケースが多いです。ただし、症状が強い場合や、心臓病が背景にある場合は、次のような治療が検討されます。
- 1.生活習慣の改善
- カフェインやアルコール、ニコチンなどの刺激物質を減らす。
- 十分な睡眠をとり、ストレスを減らす。
- 塩分のとり過ぎに注意し、バランスの良い食生活を心がける。
- 2.薬物療法
- β遮断薬(ベータしゃだんやく)(※3)やカルシウム拮抗薬(※4)などが使われることがあります。
- 抗不整脈薬が処方される場合もありますが、副作用のリスクを考慮しながら慎重に使われます。
- 3.カテーテルアブレーション
- PVCの発生源を細い管であるカテーテルを使って焼灼(しょうしゃく)(※5)し、不整脈を抑える治療です。
- 主に、薬物療法で十分な効果が得られないケースや、PVCが原因で心機能が著しく落ちている場合に検討されます。
- 4.原因となる心臓病の治療
- 弁膜症や虚血性心疾患などが見つかった場合は、それらの病気に対する治療がPVCの改善につながります。
※3:心拍数や血圧を下げて心臓の負担を軽くする薬
※4:血管を広げ、心臓の興奮を抑える薬
※5:高周波などで組織を焼くこと
期外収縮の合併症
PVC自体は、背景に大きな心臓病がなければ深刻な合併症を起こすことは少ないとされています。しかし、以下のようなリスクが考えられる場合もあります。
- 心室頻拍(しんしつひんぱく:心室が非常に速いリズムで拍動する不整脈)
- 心不全(しんふぜん:心臓が血液を十分に送り出せなくなる状態)
- 心臓性突然死(しんぞうせいとつぜんし:不整脈が重症化することで起こる突然の死亡)
これらはまれですが、心臓病の既往歴(※6)や重度の不整脈がある方は特に注意が必要です。
※6:過去に診断された病気
期外収縮の予防
PVCそのものを完全に防ぐ方法はありませんが、以下のポイントを意識することで発生頻度を減らしたり、悪化を防いだりできます。
- 1.ストレス管理
- 適度な運動や十分な休養、趣味の時間をとり、心身の緊張を和らげましょう。
- 2.刺激物質を控える
- コーヒーやエナジードリンク、アルコール、喫煙などは心拍を乱しやすいので、控えめに。
- 3.定期健診
- 健康診断や人間ドックで血圧や心電図の検査を受け、異常があれば早期に受診しましょう。
- 特に心臓病の家族歴(かぞくれき)(※7)がある方は、医師に相談して検査を受けることをおすすめします。
※7:過去に家族に起こった病気の記録や情報
更新:2026.11.01
