しきゅうがいにんしん(いしょせいにんしん)

子宮外妊娠(異所性妊娠)

基礎情報

概要

子宮外妊娠(しきゅうがいにんしん)は、通常の妊娠とは異なり、卵管(らんかん)(※1)などに受精卵が着床する状態をいいます。最も多いのは卵管内での妊娠です。卵管は子宮と違って大きく膨らむことができないため、そのまま成長を続けると卵管が耐えきれず、破裂して大出血を起こす危険があります。そのため早期発見と治療がとても大切です。

※1:卵子を子宮へ運ぶ管

子宮外妊娠の原因

子宮外妊娠が起こる主な原因は、受精卵が子宮へたどり着く前に何らかの理由で卵管にとどまり、そこで成長を始めてしまうことです。具体的には、以下のような要因が関係すると考えられています。

1.卵管の損傷や癒着(ゆちゃく)(※2)
過去の卵管炎(らんかんえん)や性感染症(※3)によって卵管が傷つくと、受精卵がスムーズに子宮へ移動できなくなります。
2.卵管の先天的な異常
生まれつき卵管の形や通り道に異常がある場合、受精卵が子宮に届かず卵管に留まってしまうことがあります。
3.喫煙習慣
たばこに含まれる有害物質が卵管の機能を妨げるとされ、子宮外妊娠のリスクを高める可能性があります。
4.不妊治療などの影響
不妊治療の中には、卵管に負担をかける治療もあり、その結果として子宮外妊娠のリスクがやや高くなることがあります。

主な原因は、上記のような理由で卵管の通りが悪くなっていることです。これは誰にでも起こりうることで、避けられないことも多いです。

※2:組織がくっついてしまうこと
※3:性行為によってうつる感染症

図
図:子宮外妊娠

子宮外妊娠の症状

子宮外妊娠の初期症状は、通常の妊娠とよく似ています。生理が遅れる、妊娠検査薬で陽性反応が出るなどの共通点があります。しかし、しばらくすると次のような症状が出ることがあります。

1.下腹部痛や骨盤痛
片側だけ痛む場合が多く、鋭い痛みが続いたり、ズキズキと痛んだりします。
2.不正出血
少量の出血が見られたり、おりものに血が混じったりすることがあります。
3.めまい、立ちくらみ、失神
卵管破裂などで内部出血が起きると、血液が急激に失われるため、めまいや立ちくらみを起こすことがあります。
4.肩や首の痛み
大量の出血による腹腔内の刺激で、肩や首の筋肉が痛む「肩こりのような痛み」を感じる場合もあります。

痛みや出血がある場合はもちろん、妊娠検査薬が陽性になった後に強い下腹部痛が出たり、おなかの張りや違和感を覚えたりする場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

片側の激しい下腹部痛や少量の出血が続くといった症状が出た場合は、卵管が限界に近づいているサインかもしれません。さらに、顔面蒼白になったり意識が遠のいたりするのは、内部で出血が始まっている緊急事態です。早急の受診が必要です。

子宮外妊娠の検査・診断

子宮外妊娠の検査では、主に以下の方法が使われます。

1.経腟(けいちつ)超音波検査
膣から細長い超音波の機械を入れて、子宮や卵巣、卵管の様子を詳しく調べます。妊娠が子宮内に見られない場合、子宮外妊娠が疑われます。
2.血液検査(hCGホルモン濃度の測定)
妊娠するとヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが分泌されます。正常な子宮内妊娠では、hCGが一定のペースで増加しますが、子宮外妊娠では増え方が不十分だったり、まったく変化がなかったりすることがあります。
3.血液検査による貧血や炎症反応の確認
内部出血や炎症が起きていると、血液検査で貧血や白血球の増加などが認められる場合があります。

診断に迷う場合、何度か超音波検査やhCGの測定を繰り返し、変化を追うことがあります。特に妊娠初期は卵の成長が小さく確認がむずかしいため、日をあけて再検査し、最終的に子宮外妊娠と判断されることも少なくありません。

子宮外妊娠の治療

子宮外妊娠は、放置すると卵管破裂や大量出血を引き起こす危険があります。そのため、次のような治療を行います。

1.薬物療法(メトトレキサート)
症状が軽く、卵管がまだ破裂していない場合などに使われます。メトトレキサートを投与すると、受精卵が発育しなくなり、自然に体外へ排出されることが期待されます。投与後はhCGホルモンの値を定期的にチェックし、十分に下がっているか確認します。
2.手術療法
すでに卵管が破裂している、あるいは破裂の危険性が高い場合には、速やかに手術を行う必要があります。多くは腹腔鏡下(ふくくうきょうか)(※4)で卵管内の受精卵を除去し、卵管を温存する方法が検討されます。卵管が重度に傷ついている場合は、残念ながら卵管を切除することもあります。
3.経過観察
非常に初期で、受精卵が自然に排出される可能性が高い場合などは、医師の判断のもと経過観察を行うこともまれにあります。ただし、この方法は出血などのリスクを伴うため、慎重に実施されます。

治療法は、妊娠の週数、卵管の状態、患者さんの健康状態などを総合的に考慮して決まります。自分の身体の変化をよく観察し、医師の指示に従うことが大切です。

治療は、母体の命を救うための緊急手術が中心となります。片方の卵管を切除することになっても、もう片方の卵管が健在であれば、将来的に妊娠することは十分に可能です。

※4:腹部の小さく切開し、カメラを入れて行う手術

子宮外妊娠の合併症

1.卵管破裂
最も重大な合併症で、卵管の中で成長した受精卵により卵管が破れ、大量出血を起こすことがあります。緊急手術が必要となり、場合によっては命にかかわることもあります。
2.感染症リスク
手術後の創部感染(そうぶかんせん)などにより、卵管周囲がさらに傷つき、将来的な妊娠への影響が残る可能性があります。
3.心理的ストレス
不安や悲しみなど、精神的にも大きな負担になることがあります。必要に応じてカウンセリングを受けるなど、メンタル面のサポートを得ることも大切です。

子宮外妊娠の予防

子宮外妊娠を完全に防ぐ方法はありませんが、リスクを減らすためにできることはあります。

1.性感染症の予防
コンドームの使用などにより性感染症にかからないようにすることで、卵管炎などを防ぎ、卵管へのダメージを減らすことができます。
2.禁煙
たばこに含まれる有害物質は卵管の働きを低下させ、子宮外妊娠のリスクを高めるといわれています。妊娠を望む場合や妊娠中は特に禁煙を心がけましょう。
3.定期的な婦人科検診
妊娠を希望する年代になったら、子宮頸がん検診や性感染症の検査、超音波検査などを定期的に受けることで、早期に異常を発見できる可能性が高まります。

更新:2026.11.01