基礎情報
概要
悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、メラノーマとも呼ばれます。皮膚がんの中で最も悪性度が高く、注意が必要ながんです。悪性黒色腫は、一般に「ホクロ」のがんといわれ、名前の通りほとんどの腫瘍(しゅよう)は黒い色をしています。ただ、良性のホクロが悪性黒色腫へ変化することはまれで、皮膚の色であるメラニンを作る色素産生細胞に遺伝子の異常が蓄積し、悪性黒色腫になると考えられています。進行するとリンパ節や内臓に転移しやすい傾向がありますが、早期に受診し適切に治療を行えば、完治も可能なので、早期発見・早期治療が重要です。
症状
悪性黒色腫は、自覚症状はないことが多いため、放置されたままになる心配があります。日本人に多い悪性黒色腫は、手や足の指、足の裏など末端部に発生することが多く、特徴としては、直径が6mmよりも大きい、形が非対称性、境界が不明瞭、色むらがある、盛り上がっているなどが挙げられます。
検査・診断
悪性黒色腫の診察は、ダーモスコピーという機器を用いて行う方法が主流です。ダーモスコピーで、病変を10倍ほどに拡大し、偏光フィルターを通して病変の場所、色の変化、血管拡張の有無などを詳しく観察します。観察の結果、悪性黒色腫の可能性が高い場合や、悪性黒色腫の可能性を否定できない場合には、病理組織検査を行います。可能な限り病変すべてを切除し切除生検を行うのが原則ですが、病変が大きくすべてを切除できない場合は、一部分だけを切除する部分生検を行うこともあります。病理組織検査の結果、悪性黒色腫と診断が確定した場合は、病変の切除の大きさや、リンパ節生検・郭清(かくせい)を行うかどうかなどの治療方針を決めます。
治療
悪性黒色腫の切除後、肺、肝、脳、骨などに転移が見つかることがあります。切除ができない転移の場合、以前はダカルバジンという抗がん剤(1986〈昭和61〉年に発売開始)を中心とした多剤化学療法しか選択肢がなく、効果が限られていましたが、現在は「免疫チェックポイント阻害薬」と「分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)」の2つ治療ができるようになっています。
更新:2023.03.02