糖尿病性腎症
基礎情報
概要
糖尿病性腎症とは、糖尿病が原因で腎臓に障害をきたす病気です。糖尿病性腎症が進行すると、腎臓の機能が失われ、最終的には透析(とうせき)が必要となります。糖尿病性腎症は、透析が必要になった原因として、最も多いことが知られています。さらに糖尿病性腎症の患者さんは、心臓病を起こしやすく、進行するほど死亡率も高くなります。糖尿病性腎症は少しずつ病状が進む病気です。糖尿病性腎症を早期にとらえ、早い時期から治療を始めることで進行を止めやすく、治癒することもあります。
原因
糖尿病性腎症は、名前の通り糖尿病が原因となります。糖尿病は、血糖値が異常に高い状態(高血糖)になる病気で、高血糖の状態が長期間続くことによりさまざまな合併症を起こします。糖尿病性腎症はその中のひとつです。
症状
糖尿病性腎症は、初めのうちはほとんど症状が現れませんが、次第に尿の泡立ちやむくみを自覚するようになります。さらに病気が進行すると、むかつきや食欲低下などが起こり、いわゆる尿毒症(にょうどくしょう)の症状が現れます。最終的には腎臓の機能が失われ、透析(とうせき)が必要な状態になります(図)。
検査・診断
糖尿病性腎症は糖尿病の合併症なので、まずは原因となる糖尿病にかかっていることに気付くことが重要です。また、糖尿病だけでなく、高血圧やコレステロール異常などの生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)を疑われた場合は、糖尿病を合併していることがあるので、速やかに医療機関を受診しましょう。
最近は、「かくれ糖尿病」と呼ばれる、健診で異常が無くても糖尿病にかかっていることが注目されています。「かくれ糖尿病」は、自分自身で見つけることが難しく、気になることがある場合は医療機関で糖尿病の詳しい検査を行いましょう。血液や尿検査によって糖尿病性腎症の早期診断が可能です。
治療
糖尿病性腎症の主な治療目的は、腎臓がこれ以上悪くならないようにすることと、心臓病にかかりにくくすることです。そのためには日々の食事や運動が重要で、治療として「食事療法」と「運動療法」があります。また薬は、高血圧など病状に応じて処方されます。病状が進むと水分やカリウムを控えたり、貧血の注射を使うこともあります。このように、糖尿病性腎症は病気の状態によって治療が異なります。
食事療法
病気の進行具合に合わせて行っていきます。初めのうちは、ある程度カロリーを控えますが、病気が進むにつれてカロリーを多めに摂取します。タンパク質も控えるべきとされています。病気がある程度進行した場合や、高血圧を合併している場合は、塩分を1日あたり6~7グラム程度に控えるようにします。
運動療法
血糖値を改善するだけではなく、体の動かしやすさや生活の質の向上に役立ち、心臓病にかかりにくくなる可能性があります。状態によっては運動療法を控えた方がいい場合もあります。
予防
糖尿病性腎症の原因となる糖尿病にかからないことが大切です。そのためには食べ過ぎないことや日々の運動が重要です。
更新:2022.08.22