にょうろけっせき

尿路結石

基礎情報

概要

尿路結石症は、尿の通り道である腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患です。尿に含まれるカルシウムやシュウ酸などが結晶化したものが結石で、できた部位によって呼び方が異なります。腎臓は「腎結石」、尿管は「尿管結石」、膀胱は「膀胱結石」、尿道は「尿道結石」といい、そのうち腎臓・尿管にできるものは上部尿路結石、膀胱・尿道にできるものは下部尿路結石と分類されますが、尿路結石症の95%は上部尿路結石です。

部位によって症状もさまざまです。激しい痛みが出るのは、主に尿管結石です。尿の流れをせき止めて、腎臓の圧力が上昇し、痛みが生じます。また、尿が流れにくくなると、尿が濁り、尿路感染や腎機能障害などの合併症を起こすこともあります。

患者数は約7万人、男性に多く発症するのが特徴で、生涯を通して男性の7人に1人、女性の15人に1人がかかるといわれています。30~50歳代の男性に多く見られ、女性の患者さんではほとんどが閉経後に発症します。

また、5年以内の再発率が30~40%と高いため、繰り返し再発する患者も多く見られます。受診科となる泌尿器科では、患者の多い疾患の一つといわれています。

図
図:尿路結石の種類と場所

原因

発症には食生活が大きく関わるといわれています。たとえば、シュウ酸カルシウム結石と呼ばれる種類の結石は、ほうれん草やコーヒー、紅茶などに含まれているシュウ酸のとりすぎが原因の一つと考えられています。また、動物性脂肪や動物性タンパク質、塩分、糖分などのとり過ぎも発症の一因になります。

一般的に、夏の方が冬よりも発症率が高くなるという報告もあります。夏は大量に汗をかくので体内の水分量が減り、尿が濃くなるため結晶化が始まると考えられています。

そのほか、尿路の通過障害、内分泌・代謝の異常、ストレス、性差などの因子もあり、これら複合的な事柄が引き金になって発症します。

症状

腎結石は無症状のうちに進行することが多いため、検診などで偶然見つかることがあります。

尿管結石では、腰や背中が突然激痛に襲われます。この痛みは疝痛(せんつう)と呼ばれ、水分不足になりがちな夜中や早朝に多く起こります。痛みは強弱を繰り返しながら、数時間続きます。結石が腎盂(じんう)や尿管の壁を傷つけると、血尿が出ます。

膀胱結石や尿道結石では尿が出にくくなり、下腹部が痛み、血尿が見られます。

結石の排出時には、通常は排尿痛や違和感を伴いますが、無自覚に排石されることもあります。

検査

尿検査を行います。血尿や尿の濃さ、尿路感染症の有無を確認します。血液検査では血中のクレアチニンや尿酸値を調べます。超音波(エコー)検査も実施されます。体への負担が少ない超音波検査は、小さな腎結石や尿管結石の診断に有用です。

X線検査やCT検査も行われます。X線だけでは結石の大きさや位置がはっきりしなかった場合は、CT検査により、詳細に調べます。病状を確認して診断し、治療方針を検討します。

治療

尿路結石の治療法には、投薬治療と手術があります。

痛みを和らげる薬には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられ、結石が小さい場合は尿から排出しやすくする排石促進薬が処方されます。

しかし、結石が大きくて、自然に排出されにくく、ほかの臓器にまで影響が及ぶ症状が現れた場合には手術が必要になります。手術の適用は結石の部位によって異なります。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、体の外から衝撃波を当てて結石を粉砕する術式です。ESWLは身体的負担が少なく、日帰り、あるいは1泊2日程度の短期間の入院で行えます。

尿道から内視鏡を尿管あるいは腎臓まで挿入して結石を破砕、除去する術式を経尿道的結石破砕術(TUL)といい、ESWLより入院期間が長くなります。

腰背部より腎臓内に内視鏡を挿入して、砕石、除去する経皮的結石破砕術(PNL)という術式もあります。

腎結石にはESWL、TUL、PNLが、尿管結石にはTULが、膀胱結石、尿道結石にはESWLがそれぞれ適用になります。

予防

日常生活では水分をしっかり摂取することと、バランスの良い食事が、一番の予防とされています。水分補給は尿中のミネラル濃度を低くするためにも重要であり、1日当たり2リットルの尿量を保つようにします。特に夏場は水分補給を欠かさないようにしましょう。

シュウ酸を多く含む食品や嗜好品、ほうれん草、キャベツ、緑茶や紅茶などの摂取を控えるといいといわれています。塩分や糖分、プリン体が多く含まれる食品、ビールや動物性の脂肪やタンパク質をとり過ぎないことも重要です。ただ、極端に控えるのではなく、バランス良く食事をとることが大切です。

結石は夜間に作られることが多いため、夕食は軽めにして、就寝の4時間前までにすませておくとよいでしょう。再発率が高いので、定期的な検診も欠かせません。

更新:2022.05.16