ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう

頭蓋骨縫合早期癒合症

基礎情報

概要

頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)つき赤ちゃんの頭蓋骨(ずがいこつ)をつなぐ縫合線(※1)(ほうごうせん)が早期に閉じてしまう病気です。本来、赤ちゃんの頭の骨は成長に合わせて動きやすいように、複数の骨が縫合線でゆるやかにつながっています。しかし、この病気になると、縫合線が必要以上に早く固まるが、脳は成長するため頭や顔の形にゆがみが生じたり、脳の正常な成長に影響が出たりすることがあります。

※1:骨と骨のつなぎ目

図図:頭蓋骨縫合早期癒合症

頭蓋骨縫合早期癒合症の原因

頭蓋骨縫合早期癒合症の原因は完全には解明されていませんが、次のような要因が考えられています。

1.非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症
頭蓋縫合早期癒合症の中で最も一般的なタイプです。その原因は不明ですが、遺伝子と環境要因の組み合わせによるものと考えられています。非症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症は、頭蓋骨以外の部位、例えば顔面や手足などに異常を伴わないものを指します。
2.症候群性頭蓋縫合早期癒合症
症候群性の場合、顔や手足の形態異常を伴うことが多く、遺伝的な要因が関与していると考えられています。

頭蓋骨縫合早期癒合症の症状

頭蓋骨縫合早期癒合症の主な症状は、頭や顔の形の変化です。症状のあらわれ方は、どの縫合線が早期に閉じたかによって異なります。

1.頭の形のゆがみ
前後に長くなる、または左右に幅が広くなるなど、一方向に頭蓋骨が伸びやすくなります。
頭頂部が盛り上がったり、片側が平らになったりすることもあります。
2.顔面の非対称
額が前に出る、目の位置がずれる、頬の高さが違うといった変化が出る場合があります。
3.頭痛や発達の遅れ(はったつのおくれ)
縫合線が早く閉じてしまうことで脳が広がるスペースが不足する場合、頭蓋内圧(※2)が上昇し、頭痛や嘔吐が起こることがあります。
場合によっては視力への影響や、発達の遅れがみられることもあります。

※2:頭の中の圧力

頭蓋骨縫合早期癒合症の検査・診断

検査・診断は、専門的な医療機関で行われます。主に以下の方法が用いられます。

1.身体診察
小児科や脳神経外科などの専門医が、頭の形状や柔らかい部分(大泉門:だいせんもん)の閉じ具合、顔の左右差などを確認します。
2.画像検査
X線検査:X線を使って体内の様子を画像化して、病気や怪我を発見する検査で、頭部の骨の縫合線がどのように閉じているかを確認します。
CT(コンピューター断層撮影):X線を用いて体の断面像を作成する検査で、より詳細な頭蓋骨の状態を立体的に把握できます。
MRI(磁気共鳴画像法):強い磁石と電波を使って体の断面を撮影する検査で、脳の状態や頭蓋内の構造を確認するのに有用です。
3.遺伝子検査
遺伝性症候群が疑われる場合は、遺伝カウンセリングを含めて遺伝子検査を行うことがあります。

早期に診断して治療方針を立てることで、成長に伴う合併症を抑える可能性が高まります。

頭蓋骨縫合早期癒合症の治療

治療は、頭蓋骨の形を改善し、脳が成長するための場所を確保する手術です。治療の適切な時期は個人差がありますが、一般的には1歳未満での手術が望ましいとされています。

1.開頭手術(※3)
早期に閉じた縫合線を開放する、あるいは頭蓋骨の一部を再形成して正しい形に誘導する方法がとられます。
顔面の骨に影響がある場合は、顔面骨の手術により気道(空気の通り道)が拡大し呼吸状態が改善し、また眼球突出を含めた顔貌(がんぼう)の著しい改善が得られます。
2.頭蓋ヘルメット療法(とうがいヘルメットりょうほう)
手術後や、症状が比較的軽い場合には、ヘルメットのような専用の器具を装着することで頭の形を整えることがあります。
成長過程で頭が変形しないように矯正を促すための補助療法です。
3.経過観察
症状が軽度の場合や、手術後の再発予防のため、定期的に頭の形や発達をチェックします。
成長とともに骨の状態が変わるため、長期間にわたるフォローアップが必要となることがあります。

※3:頭を切開して骨を調整する治療

更新:2026.02.04