ちょくちょうだつ
直腸脱
概要
直腸脱(ちょくちょうだつ)は肛門付近の筋肉や靱帯(※1)(じんたい)が弱くなったことにより、直腸の一部が外側に出てしまう病気です。直腸脱は痛みを引き起こす可能性がありますが、医学的な緊急事態になることはほとんどありません。
直腸脱には、直腸が肛門の外に完全に脱出する「完全直腸脱」と、直腸の壁が重なり合って肛門の内側にとどまる「不完全直腸脱(内部直腸脱)」があります。後者の場合、外からは見えませんが、激しい便秘や残便感の原因となることがあります。
※1:骨や筋肉をつなぐ強い組織

直腸脱の原因
直腸脱の原因は不明です。直腸脱は、骨盤底筋(※2)(こつばんていきん:)や靱帯などを含め、肛門周囲の組織が弱くなることです。下記はその一因です。
- 便秘:硬い便を無理に出そうとしていきむことで、肛門周囲への負担が大きくなり、直腸を支える筋肉や靱帯が弱くなる場合があります。
- 骨盤底筋のゆるみ:出産などで骨盤底筋が弱った人や、高齢になって筋力が落ちた人は、直腸が外に出やすくなります。
※2:骨盤の底を支える筋肉
直腸脱の症状
直腸脱の主な症状は、肛門の外側に直腸の一部が飛び出すことですが、その程度や頻度は人によって異なります。症状としては以下のようなものがあります。
肛門から飛び出すという点では内痔核(いぼ痔)と似ていますが、いぼ痔は直腸の局所的な腫れであるのに対し、直腸脱は直腸そのものが反転して出てくるため、同心円状のひだを持つ大きな赤い塊(数センチ〜十数センチ)が脱出するのが特徴です。
- 直腸が飛び出す:排便時に赤い塊が出ることがあり、最初は便を出し終わると自然にもとに戻ることがありますが、進んでいると歩行時や立っているときなど、日常生活の中にも出やすくなります。
- 出血や粘液分泌(ねんえきぶんぴつ):直腸の粘膜が外側に露出するため、こすられて出血したり、粘液が出たりすることがあります。
- 便失禁:便が漏れてしまうような症状もみられます。
直腸脱の検査・直接診断
腸脱が疑われる場合、医師は以下のような方法で診断します。
- 視診・触診:医師が肛門や直腸を目で見たり指で触れたりして、腫れの状態、筋肉の力の具合を確認します。
- 肛門内圧測定:この検査は、肛門括約筋(*3)の締まり具合と直腸の働きを測定するのに役立ちます。
- 排便造影検査:造影剤を使い、排便の状態をレントゲンで撮影して、直腸がどのように動くかを調べます。
※3:直腸と肛門を囲んでおり、排便や排尿に関係する筋肉
直腸脱の治療
症状の重さや患者の状態によって異なります。主に以下のような方法があります。
ただし、直腸脱は筋肉や靭帯の物理的な緩みが原因であるため、お薬や運動などの保存療法だけで完治させることは難しく、根本的な解決には手術が必要です。
- 1.薬物療法
- 便秘薬(下剤)や整腸薬:便を柔らかくしたり、お腹の動きを良くすることで、いきみの回数を減らします。
- 2.手術療法
- 手術には以下のような方法があります
- 腹部からの手術:お腹側から直腸を引き上げ、骨盤に固定する方法です。再発率が低く、現在では体への負担が少ない腹腔鏡手術が広く行われています。
- 肛門側からの手術 肛門から脱出している直腸を切り取ったり、縫い縮めたりする方法です。比較的体への負担が少ないです。
更新:2026.09.25
