しんけいこうしゅ

神経膠腫

神経膠腫

概要

神経膠腫(しんけいこうしゅ[グリオーマ])は、神経細胞そのものではなく、脳の中で神経細胞を支えたり、栄養を送ったりする「グリア細胞」というサポート役の細胞から発生する腫瘍です。脳腫瘍(のうしゅよう)の中でも比較的多いタイプといわれています。

脳のあちこちに広がるように発育する性質があるため、早期の発見と適切な治療計画が重要となります。

図
図:神経膠腫

神経膠腫の原因

神経膠腫の正確な原因は、まだはっきりと解明されていません。しかし、次のような要因が発症リスクを高める可能性が指摘されています。

1.年齢
あらゆる年代で発生し得ますが、特定のタイプは中高年に多い傾向があります。
2.遺伝的要因
家族に同じ種類の脳腫瘍がある場合にリスクが高まるとされています。ただし遺伝が関わるケースはごく一部です。
3.放射線被ばく
以前に頭部へ放射線治療を受けた場合、脳腫瘍が起こる可能性がわずかに高まることがあります。

神経膠腫の症状

脳腫瘍は発生する部位によって症状が異なります。神経膠腫では、次のような症状がよくみられます。

1.頭痛
朝方や寝起きに強くなりがちで、慢性的な痛みが続くこともあります。
2.吐き気や嘔吐(おうと)
頭蓋内圧(ずがいないあつ)が高まることで吐き気が出る場合があります。
3.視力障害・視野欠損
視野が狭くなったり、物が二重に見えたりすることがあります。
4.記憶力や思考力の低下
物覚えが悪くなったり、集中力が落ちたりすることがあります。
5.人格変化・行動の変化
感情が不安定になる、衝動的な行動が目立つなどの変化がみられます。

神経膠腫の検査・診断

神経膠腫を含む脳腫瘍の検査では、主に以下の方法が用いられます。

1.画像検査
CT(*1)(コンピューター断層撮影)やMRI(*2)(磁気共鳴画像検査)によって、腫瘍の位置や大きさを詳しく調べます。
2.神経学的検査
医師が問診や視力検査、運動機能検査などを行い、脳のどの部分に異常があるかを調べます。
3.生検
腫瘍の組織の一部を採取して調べる検査です。腫瘍の種類や悪性度を特定するために不可欠です。

診断だけでなく、手術で腫瘍を摘出する際に大事な神経を傷つけないための方法を検討するために、特殊なMRI(ファンクショナルMRIなど)で脳の機能を詳しく調べることもあります。

※1:X線を用いて身体の断面像を撮影する検査
※2:強い磁石と電波を使って体の断面を画像化する検査

神経膠腫の治療

主な治療法は以下のとおりです。

1.手術療法
腫瘍をできる限り安全に切除する方法です。脳の重要な部位を傷つけないよう注意しながら行われます。
2.放射線療法
高エネルギーの放射線を照射して腫瘍細胞を縮小・破壊する方法です。手術で取りきれなかった部分に対して行われることが多いです。
3.化学療法
薬剤によって腫瘍細胞の増殖を抑える方法です。手術や放射線療法とあわせて行うことがあります。
4.標的療法
腫瘍細胞が持つ特定の遺伝子変異やタンパク質を狙い撃ちする薬を使う治療です。

治療方針は、腫瘍の種類や悪性度、発生部位、患者さんの健康状態などを考慮して決定しますが、手術・放射線療法・化学療法の3つを組み合わせるのが基本です。手術で可能な限り腫瘍を取り除いた後、目に見えないほど小さな細胞を叩くために、放射線や飲み薬・点滴による化学療法を並行して行い、再発を防ぐ戦略を立てます。

更新:2026.09.25