適応障害
概要
適応障害とは、新しい環境やつらいできごとなどのストレスが原因で、気分の落ち込みや不安、イライラが強くなり、日常生活に支障が出る状態を指します。たとえば、引っ越しや進学、就職、家族の死など、大きな変化に直面したときに発症しやすいといわれています。

適応障害の原因
適応障害の原因は、主に生活環境や人間関係、仕事や学校での負担など、何らかのストレス要因(心や体が負担を感じる原因)です。たとえば、以下のようなケースが報告されています。
- 1.生活の変化
- 引っ越し、進級、進学、就職、転職など、大きな環境の変化
- 2.人間関係のトラブル
- 学校や職場でのいじめやパワハラ、家庭内のもめごと
- 3.病気や怪我
- 本人や家族の長期的な病気、または大きなけがによる生活の変化
- 4.経済的な問題
- 収入の減少や失業、家計状況の悪化など
このようなストレス要因は、本人の性格やまわりのサポート体制、育ってきた環境などによって受け止め方が変わります。そのため、同じ出来事に直面しても、ある人は適応障害を発症しやすく、別の人はそうならないということがあります。
適応障害の症状
適応障害の症状は、ストレスに対する反応が強まることで起こります。一般的には、以下のようなものが挙げられます。
- 1.気分の落ち込み(うつ状態)
- 何をしても楽しく感じない、意欲がわかない、涙もろくなる
- 2.不安や緊張
- 漠然とした不安が続く、些細なことで緊張しやすい
- 3.イライラや怒りっぽさ
- 周囲の人や出来事に対して過敏に反応してしまう
- 4.集中力の低下
- 勉強や仕事に集中できず、結果が思うように出せない
- 5.睡眠障害(眠りの不調)
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める、眠りが浅い
- 6.食欲の変化
- 食欲がなくなり体重が減る、またはストレスで過食(食べすぎ)になる
上記の症状は、通常ストレスの原因がはっきりしており、原因となる出来事が起こってから3カ月以内にあらわれるとされています。また、症状が6カ月以上続くときは、ほかの精神疾患(病気)が疑われる場合もあるため、注意が必要です。
適応障害の検査・診断
適応障害は、特定の検査機器を使って簡単に判明するような病気ではありません。多くの場合、精神科医や心療内科医、臨床心理士などの専門家による問診や面接、心理検査を通じて診断されます。
診断のポイント
- 1.明確なストレス要因があるかどうか
- 学校や職場、生活環境の変化など、はっきりとしたきっかけがあるか
- 2.症状のあらわれた時期
- ストレスの出来事から3カ月以内に症状が出始めているか
- 3.日常生活への影響
- 勉強や仕事、家庭生活にどの程度の悪影響が出ているか
- 4.ほかの精神疾患(病気)との区別
- うつ病や不安障害など、ほかの病気ではないかを専門家が確認
これらを総合的に判断し、適応障害の診断が下されることが多いです。問診や面接を受ける際は、できるだけ正直に自分の感情や生活の変化を伝えることが重要です。
適応障害の治療
適応障害の治療では、ストレス要因をうまくコントロールしながら、症状を改善していくことが大切です。主な治療法としては以下のようなものがあります。
- 1.カウンセリング(専門家と話し合いながら考え方を整える方法)
- 心理士や精神科医と定期的に面談を行い、ストレスの原因を探ったり、問題に対処する方法を学んだりします。自分の気持ちの整理や、対人関係のスキルを身につけるサポートを受けることで、ストレスへの向き合い方が変わり、症状の緩和を目指します。
- 2.薬物療法(病気の症状を抑える薬を使った治療)
- 不安やイライラ、睡眠障害が強い場合は、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などが処方されることがあります。ただし、薬だけで根本的な問題を解決することは難しいため、カウンセリングや生活環境の見直しと並行して行うことが多いです。
- 3.環境調整(生活環境や学校・職場の調整)
- ストレスを生み出している原因がはっきりしている場合、その原因を減らす工夫をします。たとえば、学校や職場での人間関係の問題があるなら、担任の先生や上司・人事部門と相談し、配置転換(仕事やクラスの変更)や勤務時間の調整などを検討します。家庭の事情が大きい場合は、家族全体で専門家に相談し、家事や育児の負担を調整するなどの対策を検討します。
適応障害の合併症
適応障害は比較的軽度な症状が多いといわれていますが、適切な治療やサポートが受けられないまま長期化すると、ほかの精神疾患(病気)に発展する可能性があります。たとえば、次のような病気が合併症としてあらわれることがあります。
- うつ病
- 強い憂うつや興味・喜びの喪失が続く状態
- 不安障害
- 過度な不安や緊張感に支配される状態
- アルコール依存症
- ストレスを紛らわすために過度に飲酒し、日常生活に支障をきたす
こうした合併症が起こると、治療に時間がかかるだけでなく、本人や周囲の生活の質(生活を満足におくる状態)も低下しやすくなるため、早期の受診が重要です。
適応障害の予防
適応障害を予防するためには、普段からストレスをうまくコントロールする習慣を身につけることが大切です。以下は予防に役立つ代表的な方法です。
- 1.気軽に相談できる相手をつくる
- 家族や友人、学校の先生など、困ったときに話を聞いてもらえる相手がいると、ストレスをため込まずにすみます。
- 2.十分な休養と適度な運動
- 規則正しい生活リズムを心掛け、ウォーキングや軽いスポーツで体を動かすと、気分転換(気分を切り替えること)にも役立ちます。
- 3.情報の客観的な理解
- 大きな変化や困難に直面したときは、専門家の助言や公的機関の情報を取り入れて、落ち着いて判断する習慣をもつことが重要です。
- 4.ストレスマネジメント(ストレスを減らす方法)
- 自分なりのリラックス方法(深呼吸、ストレッチ、好きな音楽を聴くなど)を見つけ、ストレスがたまる前に積極的に取り入れましょう。
更新:2026.02.04

