いっかせいのうきょけつほっさ

一過性脳虚血発作

概要

一過性脳虚血発作(TIA)(いっかせいのうきょけつほっさ)は、脳への血流が一時的に減少することで生じる症状です。一般的に「ミニ脳卒中」とも呼ばれますが、症状は短時間で消失します。しかし、発症時点では、脳卒中と区別できないこともあり、医療機関の受診が望まれます。TIAは一過性でも将来の脳卒中(脳梗塞)の警告サインであり、軽視すべきではありません。

一過性脳虚血発作の原因

TIAの主な原因は、脳の血管が一時的に詰まることです。これは以下の要因によって引き起こされます。

動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)
動脈の内壁にプラーク(※1)が蓄積し、血流が妨げられます。
血栓(※2)
心臓や他の部位で形成された血栓が脳の血管に移動し、一時的な閉塞を引き起こします。
心臓疾患
不整脈の一種である心房細動などの心臓の問題が血栓形成のリスクを高めます。

※1:脂肪性沈着物のこと
※2:血の塊

一過性脳虚血発作の症状

TIAの症状は突然現れ、通常は数分から1時間以内に消失します。主な症状は以下のとおりです。

片側の筋力低下または麻痺
顔、腕、脚の片側に力が入らなくなることがあります。
言語障害
言葉が出にくい、理解しにくい、またはろれつが回らないことがあります。
視覚障害
片目の一時的な視力喪失や視野の一部が見えなくなることがあります。
めまいまたはバランスの喪失
突然のめまいやふらつきを感じることがあります。
意識混濁
一時的な混乱や意識の低下が生じることがあります。
図
図:一過性脳虚血発作

一過性脳虚血発作の検査・診断

TIAが疑われる場合、迅速な医療評価が必要です。診断には以下の検査が行われます。

身体検査と病歴聴取
症状の詳細や持病の有無を確認します。
神経学的検査
脳の機能や神経の状態を評価します。
画像検査
脳の状態を確認するため、MRIやCTが行われます。
血管検査
頸動脈エコーやMRA(磁気共鳴血管撮影)で血管の狭窄や閉塞を調べます。
心臓検査
心電図や心エコーで心臓の異常を検出します。

一過性脳虚血発作の治療

TIAの治療は、将来の脳卒中リスクを低減することを目的としています。主な治療法は以下のとおりです。

抗血小板薬の投与
アスピリンやクロピドグレルなどの薬剤で血液の凝固を抑制します。
抗凝固薬の使用
心房細動が原因の場合、ワルファリンや新規経口抗凝固薬(NOAC)が使用されます。
生活習慣の改善
禁煙、適度な運動、健康的な食事、アルコール摂取の制限が推奨されます。
基礎疾患の管理
高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の適切な管理が重要です。

一過性脳虚血発作の予防

一過性脳虚血発作が発症した人は再発や脳卒中の予防が大切で、必要な薬剤の服用に加えて以下の対策が有効です。

定期的な健康診断
血圧、血糖値、コレステロール値のチェックを行います。
適切な体重管理
肥満はリスクを高めるため、適正体重の維持が重要です。
ストレスの管理
過度なストレスは血圧上昇を招くため、リラクゼーション法などで対処します。

更新:2026.02.04