がんめんけいれん

顔面けいれん

概要

片側顔面けいれんは、顔の一方にある筋肉が、自分の意思とは関係なくけいれん(ピクつき)を起こします。日本では正確な患者数は明らかではないもの、顔面神経(※1)(がんめんしんけい)の障害の中で、比較的みられる病気の一つとして知られています。原因がわからないこともあります。

※1:顔の表情を動かすために重要な神経

図
図:片側顔面けいれん

顔面けいれんの原因

片側顔面けいれんの主な原因は、顔面神経が圧迫されたり、刺激を受けたりすることです。多くの場合、顔面神経の近くを走っている小さな血管が神経を押し出してしまうことに関係があるとされています。

また、ストレスや疲れが引き金になる場合もありますが、根本的には血管による神経への「物理的な圧迫」が主な原因と考えられています。

顔面けいれんの症状

片側顔面けいれんの代表的な症状は、顔面の筋肉のけいれんです。最初はまぶたのあたりがピクピクする程度で進み、やがて頬(ほお)や口のまわり、顎などへ移動していきます。

最初は片側顔面けいれんが現れたり消えたりしますが、数か月から数年経つと、ほぼ常に起こるようになります。

ふと、片目が勝手につぶってしまうほど強くまぶたがけいれんしたり、笑っていないのに口角が引きあがったりする症状が出ることがあります。

時々、顔面の両側に片側顔面けいれんが起こることがあります。ただし、けいれんは顔面の両側で同時に起こるわけではありません。

よく似た症状に、両目のまぶたが動きにくくなる「眼瞼けいれん」や、疲れが原因で一時的にピクつく「顔面微小筋けいれん」がありますが、これらは別の病気です。片側顔面けいれんは、その名の通り「顔の片側」だけに起こるのが大きな特徴です。

また、「顔面神経麻痺」が治る過程で起こる後遺症(異常共同運動)とも区別が必要です。後遺症の場合は、「目を閉じると口角が上がる」といった連動した動きが特徴ですが、顔面けいれんはそれとは無関係にピクつきが起こります。過去に顔面神経麻痺を経験されたことがある方は、その旨を医師に伝えてください。

顔面けいれんの検査・診断

片側顔面けいれんが疑われる場合、医師はまず症状の経過や、顔面けいれんがいつ起こるか詳しく問診します。また、どの筋肉がどれくらい強く動くか注目して確認します。

必要に応じて、MRI(※2)(磁気共鳴画像検査)やMRA(※3)(磁気共鳴血管画像検査)などの画像検査を行い、顔面を圧迫している血管や腫瘍がないか調べます。特に、脳の状態や血管の走行をしっかり確認することは、手術が必要かどうか判断することが重要です。

片側顔面けいれんの診断には、必ずしもMRIスキャンやその他の画像検査が必要というわけではありません。画像検査は、症状が典型的でない人や手術を受ける人に対して行われる場合があります。

※2:強い磁石と電波を使って体の断面を画像化する検査
※3:MRI装置を使って脳や頸部の血管を立体画像として描き出す検査

顔面けいれんの治療

治療法としては、症状の程度や原因によっていくつかの選択肢があります。

1.ボツリヌス毒素注射(ボツリヌス注射)
けいれんを起こしている筋肉にボツリヌス毒素を注射する方法です。この毒素は、筋肉と神経の間の伝達を一時的にブロックする働きがあります。注射を受けると、数日から1週間ほどでけいれんが軽減し、数ヶ月ほど効果が続きます。効果が切れた頃にまたこの注射を繰り返していきます。ほとんどの人の症状はこれで抑えられます。
2.内服薬
抗てんかん薬などが処方されることがありますが、効果は限定的な場合が多いです。
3.手術(微小血管減圧術)
神経を圧迫している血管を離す手術です。根本的な完治が期待できますが、入院が必要となります。
全身麻酔下にて、体を横に向け、頭部を固定します。頭蓋骨には500円玉程度の穴を開け、その下の硬膜(※4)を切開した後に脳脊髄液(※5)を排出し、手術を行います。
適切に、くも膜(※6)を切開しながら小脳と頭蓋骨の間を通って顔面神経にアプローチします。顔面神経から血管を減圧する方法は大まかに2つの方法があり、神経と血管の間にクッションを挟んで減圧する方法、神経から血管を離して固定する方法です。
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図:クッションを挟んで減圧する方法
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図:神経から血管を離して固定する方法

※4:脳や脊髄を覆っている硬い膜
※5:脳や脊髄を包む硬膜の間を満たしている無色透明な液体
※6:脳を保護する膜の1つで、脳を覆う薄い透明な膜

適切な治療で症状を抑えることができ、QOLを大きく改善できる病気です

更新:2026.05.13

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