ふくびくうえん

副鼻腔炎

概要

鼻の周りにある副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる空間に細菌などが入り込んで増殖し、炎症が起こっている状態を副鼻腔炎といいます。以前は蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれていた副鼻腔炎は、耳鼻咽喉科や小児科、内科でもっともよく見られる上気道感染症です。

風邪をひいたときなどには、鼻づまりや鼻水の症状を自覚することがよくあります。急性副鼻腔炎では、ほとんどのケースで自然に症状が軽減しますが、3カ月以上にわたって症状が続いている場合は慢性副鼻腔炎に移行している可能性が高くなります。慢性化したまま放置していると、治療が長期化するだけでなく中耳炎(ちゅうじえん)などの合併症につながることもあります。また、近年、指定難病の好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)(難病センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/4537)の増加も報告されています。

風邪などの感染症に注意すると同時に、感染後の症状がなかなか治まらないと感じたら、市販薬などに頼らず耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

原因と症状

多くの副鼻腔炎は、細菌やウイルスの感染によるものですが、アレルギー性鼻炎や喘息の既往症があると、副鼻腔炎を引き起こしやすくなります。それ以外にも、歯の治療で開いた穴から細菌が入り込み炎症を起こす歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)や、副鼻腔に真菌(かび)が増殖する副鼻腔真菌症も、副鼻腔炎の原因となります。子どもの場合は、喉(のど)周辺のリンパ組織である咽頭扁桃(いんとうへんとう)アデノイドの肥大が副鼻腔炎の原因となることも少なくありません。

発症から4週間以内は急性副鼻腔炎と定義されますが、その症状は主に、鼻づまりや鼻水です。鼻水は、異物を粘膜とともに排出するための自衛作用ですが、鼻水の通り道となる鼻腔と副鼻腔の間が炎症によってふさがれてしまうと、鼻水の排出が困難になり鼻づまりが起こります。このほか、頬や鼻の周囲、額の痛み、顔やまぶたの腫れ、発熱などの症状も認められます。

慢性期になると、鼻づまりがますますひどくなり、粘り気の強い鼻水になります。頭が重い、匂いを感じないなども慢性副鼻腔炎の特徴です。また、鼻水が喉へと流れる後鼻漏(こうびろう)によって、咳(せき)や痰(たん)など、喉に違和感が現れることもあります。

匂いを感じにくくなる原因には、鼻茸(はなたけ)の存在も考えられます。鼻茸は鼻ポリープとも呼ばれるできもので、炎症の悪化により副鼻腔内の中鼻道(ちゅうびどう)や、匂いを感じ取る嗅裂(きゅうれつ)に出現します。特に嗅裂に鼻茸ができると、匂いがしなくなる、匂いがわかりにくくなるといった症状が現れます。好酸球性副鼻腔炎では、鼻茸の多発が診断の要件にあげられています。

図
図:鼻の構造と鼻茸

検査

副鼻腔炎は、自覚症状を詳しく聞き取る問診と鼻鏡検査によってある程度推測できますが、慢性副鼻腔炎の確定診断と治療法を選択するためには、そのほかのさまざまな検査が必要となります。

鼻鏡検査では、粘膜の腫れや鼻水の状態、鼻茸が出現していないかを調べます。中鼻道の小さな鼻茸を見つけるのは容易ではないため、内視鏡が用いられることもあります。

画像検査はレントゲン検査が一般的ですが、炎症が起こっている場所や範囲、程度などを見極めるためにはCT検査が有効です。腫瘍の鑑別にはMRI 検査が用いられます。鼻水を調べる検査では、細菌を特定し、難治化の要因を探ることができます。

治療

風邪のウイルスに起因する急性副鼻腔炎は一般的に軽症で、多くは1週間以内に寛解(かんかい)するため、抗菌剤を使用しないことを原則としています。症状の改善が見られない場合には、ペニシリン系をはじめとする抗菌剤の投薬が行われます。

慢性副鼻腔炎では薬物療法として、抗菌薬を通常の半分の量で長期間服用する「マクロライド少量長期療法」が用いられます。加えて、中鼻道の分泌物を吸引する処置や、閉塞した空気の通り道中鼻道自然口(ちゅうびどうしぜんこう)ルート(OMC)を開口する「副鼻腔自然口開大処置(ふくびくうしぜんこうかいだいしょち)」、抗生剤などを含んだ薬液を霧状にして、鼻から吸い込む「ネブライザー療法」などが行われます。

これらの治療で症状の改善が見られない場合には、内視鏡を用いて炎症を起こしている粘膜部分や鼻茸を取り除く手術が選択されることもあります。

好酸球性副鼻腔炎(難病センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/4537)は、マクロライド系抗生剤の有効性が低く、ステロイド剤を中心とした治療が有効とされています。しかし、ステロイド剤を長期間使用することは副作用のリスクが生じるため、より積極的に手術療法が選択されます。

更新:2022.05.26