いびき

いびき

概要

いびきは、眠っている間にのどや鼻の奥の部分が振動して起こる音です。多くの人がときどき経験しますが、大きないびきが続く場合は健康上の問題や生活の質に影響を与えることがあります。とくに、いびきに加えて睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」を合併している場合は、日中の強い眠気や集中力の低下などを招くおそれがあります。

日本でも、睡眠不足や睡眠関連の問題が増えつつあると指摘され、睡眠障害に悩む人も増えているとされています。いびきは本人が自覚しにくい一方で、周囲の家族や友人が気付くことも多い症状です。軽度であれば日常生活の改善で対策できる場合もあるため、まずはいびきの原因や症状を知ることが大切です。

いびきの原因

いびきは、睡眠中に気道’を通る空気の流れがスムーズでなくなるときに起こります。その原因としては、以下のようなものが考えられます。

1.気道周辺の筋肉のゆるみ
眠っている間は全身の筋肉が緩みます。特にのど周辺や舌の筋肉がゆるみすぎると、気道が狭くなり、空気が通りにくくなって振動が生じます。
2.鼻づまりや鼻炎
花粉症やアレルギー性鼻炎、風邪などで鼻が詰まると、口呼吸になりやすく、いびきをかきやすくなります。
3.肥満
体重が増えすぎると、首まわりやのどまわりにも脂肪がつきやすくなります。そのため気道が狭くなり、いびきをかくリスクが高まります。
4.扁桃腺の肥大
子どもによく見られる原因の一つですが、大人でも扁桃腺やアデノイド(※1)が大きいと、気道をふさぎやすくなります。
5.口の構造や形状の問題
あごが小さい、上顎や鼻腔の形状によっては、生まれつき気道が狭い場合があります。また、加齢や生活習慣などで起こる変化も影響します。
6.アルコールや睡眠薬の使用
アルコールや一部の薬剤は筋肉を過度に弛緩(しかん)させることがあり、いびきをかきやすい状態をつくります。

※1:脂肪性沈着物のこと

図
図:いびき

いびきの症状

いびきそのものは音としてあらわれますが、以下のような関連する症状やサインにも注意が必要です。

  • 睡眠の質の低下: 本人はいびきを自覚していなくても、実は眠りが浅くなっていることがあります。
  • 日中の眠気や集中力の低下: 十分に休めていないため、昼間に強い眠気を感じたり、作業効率が落ちたりすることがあります。
  • 口やのどの渇き: 口呼吸によって乾燥しやすくなります。
  • 起床時の頭痛: 睡眠中の呼吸不足や酸素不足により、頭痛を伴うことがあります。

もし家族やパートナーから「寝ている間に呼吸が止まっているようだ」と指摘されたり、いびきの音が非常に大きく続いたりする場合は、睡眠時無呼吸症候群を含む他の病気の可能性も考えられるため、早めの受診が望まれます。

いびきの合併症

いびきの裏に睡眠時無呼吸症候群があると、以下のような合併症を起こすリスクが高まります。

  • 高血圧: 睡眠中に呼吸が止まることで酸素不足が続き、血圧が上昇しやすくなります。
  • 心臓病や脳卒中: 長期間にわたって酸素が不足すると、心臓や血管系に負担がかかり、深刻な病気のリスクが高まる可能性があります。
  • 日中の事故リスク増加: 強い眠気のため、交通事故や労働災害などに遭遇する危険性が高まります。

いびきの検査・診断

医療機関を受診すると、まず問診や視診、聴診などの基本的な診察が行われます。そのうえで、いびきの原因や睡眠の質を調べるために、以下のような検査が検討されます。

1.睡眠ポリグラフ検査(※2)
病院や検査施設で一晩かけて行うことが多い検査です。脳波、呼吸の状態、心拍数、血中の酸素濃度などが同時に測定され、睡眠時無呼吸症候群の有無や重症度を判定します。
2.簡易検査
病院から貸し出される小型の測定機器を使い、自宅で就寝中の呼吸状態や酸素濃度などを記録します。精密検査ほどではありませんが、手軽に行えるため初期スクリーニングとして利用されることがあります。
3.耳鼻咽喉科的検査
鼻づまりや扁桃腺の状態など、鼻やのどの構造的な問題を調べるため、内視鏡で気道を観察することもあります。

※2:睡眠中の脳波や呼吸などを同時に測定する検査

いびきの治療

いびきの治療は、原因や重症度によって異なります。生活習慣の改善から専門的な医療機器の使用、手術まで、幅広い方法があります。

1.生活習慣の改善
体重管理: 肥満が原因の場合は適正体重を目指すことが重要です。
禁酒・節酒: アルコールは筋肉の弛緩を強めるため、就寝前の飲酒は控えましょう。
寝る姿勢の工夫: 仰向けに寝るといびきが出やすい場合があります。横向きで寝ると気道が確保されやすくなることがあります。
2.マウスピース
歯科や耳鼻咽喉科で作成される専用の器具を口に装着することで、下あごや舌の位置を安定させ、気道を広げる方法です。いびきや軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群に有効な場合があります。
3.CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)
中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群に対して行われる治療です。マスクと小型機器を使って気道に空気を送り込み、気道がつぶれないようにします。いびきや無呼吸がほとんど消失し、深い睡眠を得やすくなります。
4.手術
鼻づまりの原因となるポリープの除去や、扁桃腺の肥大が大きないびきの原因の場合は、切除手術が検討されることがあります。ただし、手術にはリスクもあるため、医師と十分に相談することが大切です。

いびきの予防

いびきを予防するためには、日常生活で以下の点を意識すると効果的です。

  • 適度な運動と食生活の見直し: 運動不足や偏った食生活は肥満につながりやすく、いびきの原因となります。
  • 睡眠前のアルコールや食事の量に注意: 就寝直前の飲酒や食事は避けるようにしましょう。
  • 睡眠環境の整備: 横向きで寝やすい枕を選ぶ、寝室の温度や湿度を快適に保つなども大切です。
  • 鼻づまりのケア: アレルギー性鼻炎や風邪などで鼻が詰まっている場合、早めに治療やケアを行うことでいびき予防につながります。

更新:2026.05.13