よう

よう

概要

「よう」は、皮膚に起こる細菌感染症の一種です。主に黄色ブドウ球菌(※1)が原因で、毛根(もうこん)(※2)やその周辺で炎症が起き、膿(うみ)がたまることがあります。1つの毛包(もうほう)を中心に炎症が起き、膿がたまったものが「せつ(おでき)」です。この「せつ」が隣り合う複数の毛包に広がり、皮膚の深い層(皮下組織)でつながって巨大な塊になった状態を「よう(癰)」と呼びます。

ようは誰でも発症する可能性があり、健康な人でも免疫力が低下したときや、皮膚の傷や汚れを放置したときに感染リスクが高まります。たいていの場合、適切なケアや医療処置によって治りますが、重症化すると周囲の皮膚や血液にまで感染が広がり、合併症を起こすことがあります。

一般的な皮膚感染症として比較的よくみられ、皮膚科や外科を受診する人は少なくありません。早期発見と適切な処置が、痛みや化膿(かのう)(※3)を防ぎ、治りを早めるうえで重要です。

※1:皮膚に存在する代表的な細菌
※2:毛の根元の部分
※3:膿がたまること

図
図:よう

ようの原因

細菌の感染
ようの主な原因は黄色ブドウ球菌です。皮膚にはもともと多くの常在細菌(じょうざいさいきん)がいますが、傷口や毛穴に菌が入り込むと、体内で増殖して炎症や化膿が生じます。
皮膚の傷や摩擦
皮膚がこすれたり傷ついたりした部分は、菌が入りやすく感染のリスクが高まります。ひげ剃りやムダ毛処理、虫刺されなども原因になることがあります。
不潔な環境
清潔を保たず、汗や皮脂(ひし)がたまった状態が続くと、皮膚上の菌が増えやすくなります。スポーツや仕事で汗をかいたまま放置したり、入浴をせずに就寝したりすることは感染のリスク要因です。
免疫力の低下
疲労や睡眠不足、ストレス、栄養不足などで体の免疫力が弱っていると、皮膚のバリア機能も落ちやすくなり、細菌感染が起こりやすくなります。

特に、糖尿病などで高血糖状態が続いている人は、細菌に対する抵抗力が著しく低下するため、「よう」を発症しやすく、かつ重症化しやすい傾向があります。これまでに糖尿病を指摘されたことがなくても「よう」を何度も繰り返す場合は、背景に糖尿病などの基礎疾患が隠れていないか確認が必要です。

ようの症状

複数の毛穴がまとまり、広範囲に感染
せつがいくつか集まって深部まで炎症が広がり、大きなしこりのようになります。
強い痛みと腫れ
せつよりも痛みが強く、患部(かんぶ)が熱を帯びることが多いです。
全身症状を伴う場合も
発熱、倦怠感(けんたいかん)など、体全体に影響が出ることがあります。高齢者や免疫力が低い人は、要注意です。

ようの検査・診断

視診と触診
医師はまず患部を直接目で見て、腫れや膿の様子を確認します。周囲の皮膚の状態や炎症の広がり方などから、せつなのか、ようなのか、ほかの皮膚病なのかを判断します。
細菌培養検査(さいきんばいようけんさ)
重症例や再発を繰り返す場合、膿の一部を採取して培養し、感染している細菌の種類と、効きやすい抗菌薬を調べることがあります。
血液検査
全身状態を評価するために血液検査を行う場合もあります。炎症の強さや免疫機能の低下が疑われるときに実施されることが多いです。

治療

温罨法(おんあんぽう)
初期の段階では、患部を温めることで血流を良くし、膿を排出しやすくします。清潔なタオルなどをぬるま湯で湿らせ、数分間あてると効果的です。
抗菌薬の内服や外用
一般的には、菌を抑える抗菌薬が処方されます。塗り薬や内服薬を症状に応じて使います。近年では、通常の抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性菌」が原因となるケースも増えています。医師の指示に従い、処方された抗菌薬は症状が良くなったと思っても最後まで飲みきることが、再発防止に不可欠です。
切開・排膿(はいのう)
膿の溜まりが大きい場合やようのように深く広範囲に感染している場合、医療機関で局所麻酔(きょくしょますい)をして切開し、膿を出すことがあります。患部を無理に指で押して膿を出そうとするのは絶対にやめてください。感染が広がる可能性があるだけではなく、細菌が周囲の組織や血流に乗って広がり、重篤な全身感染症(敗血症など)を引き起こす危険があります。
痛み止めの使用
強い痛みがある場合には、解熱鎮痛薬などを使用します。市販薬でも対応可能な場合がありますが、医師や薬剤師に相談しましょう。

ようの合併症

ようを適切に治療せずに放置すると、以下のような合併症が起こることがあります。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)
感染が皮膚の深部にまで広がり、広い範囲で腫れや痛み、熱を帯びるようになります。全身状態が悪化することもあり、重症になると入院治療が必要です。
敗血症(はいけっしょう)
菌が血液に乗って全身にまわり、臓器にダメージを与えることがあります。急激に症状が悪化し、命にかかわる場合もあるため、早期対応が欠かせません。
瘢痕(はんこん)
深い感染や大きな切開が必要なケースでは、治ったあとに傷跡が残ることがあります。

ようの予防

清潔な肌を保つ
入浴やシャワーで汗や皮脂を洗い流し、皮膚を常に清潔に保ちます。スポーツや仕事で大量に汗をかいた後は、早めに着替えと洗浄を行いましょう。
皮膚の傷に注意
皮膚を傷つけないように注意します。特にひげ剃りやムダ毛処理の際には、清潔な道具を使い、刺激を最小限に抑えましょう。
適切な手洗い
外出先から帰ったときや料理の前後、トイレの後など、こまめに手を洗うことで細菌の広がりを防ぎます。
バランスの良い生活い
十分な睡眠、栄養バランスのとれた食事、適度な運動を心がけることで、体全体の免疫力を高め、感染しにくい体づくりを目指します。

更新:2026.05.13