側弯症
概要
側弯症とは、脊柱が変形し、弯曲や捻(ね)じれが生じる病気です。後ろから見ると、本来真っすぐであるべき脊柱せきちゅう)が、弯曲(わんきょく)して見えます。進行すると体幹バランスの悪化、痛みや呼吸機能障害の原因となります。基本的に側弯症は進行性の病気で、特に成長が著しい時期(乳幼児期や思春期)に進行しやすいため、できるだけ早期に発見して早期に治療をする必要があります。
原因
原因がはっきりしている側弯症には、以下のようなものがあります。
- 生まれつき背骨の一部の異常が原因となる「先天性側弯症」
- 麻痺性疾患などに伴い筋肉の緊張や麻痺によって生じる「神経筋原性(しんけんきんげんせい)側弯症」
- 何らかの基礎疾患(神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう)、マルファン症候群など)に伴って生じる「症候性(しょうこうせい)側弯症」
しかし、原因が不明の側弯症は全体の約70%と言われており、これらは「特発性側弯症」と呼ばれています。
治療
すべての側弯症に治療が必要なわけではなく、程度が軽い側弯症の場合は、定期的にレントゲンを撮って経過を見ていきます。側弯の程度はレントゲンでCobb角(コブ角)と呼ばれる角度を測って評価します。
治療には、側弯に装具(コルセット)を装着する装具治療や、重度に進行した場合は手術を行うこともあります。
装具治療
装具(コルセット)を装着し、矯正位を保つことにより側弯を治療します。装具治療の目的は進行防止であり、完全に治すことはできません。
手術
手術の目的は、①側弯を矯正すること、②将来の進行を防止することの2点で、金属製のインプラント(スクリュー、フックやロッド、主にチタン製)を用いて側弯を矯正し固定します。
さらには固定範囲内の背骨を骨癒合(こつゆごう)させる目的で骨移植を行います。骨移植は手術中に局所から採取した本人の骨を用います。乳幼児の高度に進行した側弯症の場合、脊椎の成長を妨げずに側弯の矯正を行うためにGrowing Rod(グローイングロッド)法やVEPTR(ベプター)と呼ばれる方法を取ることもあります。
治療の選択はCobb角の角度を参考に行います。目安としては、Cobb角20度未満は経過観察、20度以上で進行性なら装具治療、45度を超える場合は手術治療が選択されますが、自覚症状・合併症・本人や家族の意思・全身状態などを総合的に判断します。
更新:2022.08.15