加湿器肺炎に注意!咳が止まらないのはカビ?原因と予防法を解説

メディカルブレイン編集部

空気が乾燥する冬が始まると、風邪(かぜ)やインフルエンザの予防のために加湿器を使用する人が増えます。ところが、加湿器を使っているにもかかわらず(せき)が止まらず、薬を飲んでも治らない…という症状が現れることも。こんな人は、もしかすると加湿器の中にある水分で繁殖した細菌やカビを吸い込むことが原因で起こる加湿器肺炎にかかっているかもしれません。

加湿器肺炎の原因は?

一般的な肺炎は、細菌やウイルスに感染して生じる感染性肺炎

肺炎と言えば、多くの場合は感染性肺炎のことを指します。感染性肺炎とは、気道から細菌やウイルスなどが肺に入り込み、増殖して炎症を起こす病気です。

感染性肺炎にかかると、高熱、激しい咳、息切れ、倦怠感(けんたいかん)、鼻水、(たん)(のど)の痛み、耳の痛み、炎症が広がることによる胸の痛みなど、さまざまな症状を引き起こします。

軽症の場合は原因となる細菌やウイルスに対する抗菌剤や抗生物質を服用したうえで、自宅で安静にしていれば回復しますが、重症化すると入院が必要になる場合もあります。

(関連記事:「肺炎」

風邪やインフルエンザは肺炎に進行することもあるため、感染性肺炎を予防するには、細菌やウイルスが繁殖しにくいように室内の空気の乾燥を防ぐことが効果的です。空気が乾燥する冬になると、加湿器を利用する人が増えるのは、そのためです。

ところが、この加湿器が原因で起こる肺炎もあるのです。それが加湿器肺炎と呼ばれる病気です。

加湿器肺炎は細菌やウイルスの感染ではなく、加湿器内で増殖した細菌やカビによるアレルギー反応が原因

加湿器肺炎は、加湿器の中にある水分で増殖した細菌やカビを吸い込むことによって、肺でアレルギー反応が生じる肺炎です。非感染性肺炎の中の過敏性肺炎の一種ですが、加湿器が原因で起こるため、一般的には加湿器肺炎と呼ばれています。

図:加湿器内で増殖した細菌やカビを吸い込む

症状としては感染性肺炎と大きな違いはありませんが、自宅に帰ると咳が出ることや、息切れが起こること、アレルギー反応が原因のため抗菌剤や抗生物質を飲んでも症状に変化がないことが大きな特徴です。

なお、非感染性肺炎には過敏性肺炎以外にも、間質性肺炎や誤嚥性(ごえんせい)肺炎などがあります。

(関連記事:「間質性肺炎の最新の診断と治療」/福井大学医学部附属病院)

加湿器肺炎の予防には、何が効果的?

タンクの水には水道水を使用し、1日1回は必ず入れ替える

加湿器肺炎はアレルギー反応が原因の肺炎のため、その原因物質(アレルゲン)である細菌やカビを取り除くことが、予防につながります。つまり、加湿器内で生じる細菌やカビを除去することが必要になります。

加湿器は、タンクにためた水をミスト(霧)にして放出することで、室内の湿度を上げる装置です。水をミストにする構造には違いがあり、主に「超音波式」「スチーム式(加熱式)」「気化式」「ハイブリッド式(加熱気化式)」の4タイプに分けられますが、共通しているのは加湿器内にタンクがあり、そこに水をためておく構造になっていることです。

予防においてまず大切なのは、このタンク内の水を小まめに取り換えることと掃除を行うこと、そして水道水を使用することです。浄水やミネラルウオーターの方が体によいと思ってしまいがちですが、細菌やカビの増殖を防ぐには、水道水に含まれる塩素が効果的なのです。

また、水道水の塩素は半日ほどで効果を失ってしまうため、水を継ぎ足して使用するのは避け、1日に1回タンクに残った水は捨てて、新しい水道水に取り換えることが重要です。

「スチーム式(加熱式)」が、加湿器肺炎予防に効果的

さらに、加湿器の主な4タイプの中にも、加湿器肺炎を防ぎやすいタイプがあります。それぞれのタイプの特徴をご紹介します。

加湿器4タイプの特徴
タイプ ミストの発生方法 メリット デメリット
超音波式 超音波により水を微小な水滴にして、放出する。
  • ヒーターを備えていないため、室温に影響しない。
  • 本体価格も電気代も抑えやすい。
  • 水に熱を加えないため、細菌やカビが増殖しやすい。
スチーム式 (加熱式) 水をヒーターで加熱し水蒸気にして、放出する。
  • 加湿能力が高く、室温を上げる効果もある。
  • 水を煮沸してミストにするため、細菌やカビが増殖しにくい。
  • 電気代が比較的高い。
  • ミストの吹き出し口が高温になることがある。
  • 音が気になる機種もある。
気化式 水を含ませたフィルターにファンで風を当てて、気化した水蒸気を放出する。
  • ヒーターを備えていないため、室温に影響しない。
  • 電気代を抑えやすい。
  • フィルターが汚れていると、細菌やカビの温床になる。
  • 送風量を上げると、ファンやモーター音が気になることも。
ハイブリッド式 (加熱気化式) 水を含ませたフィルターにヒーターとファンでつくった温風を当てて、気化した水蒸気を放出する。
  • スピーディーに室内を加湿できる。
  • 本体価格、電気代ともに高くなりがち。

上の一覧の通り、水を煮沸することで殺菌する効果のある「スチーム式(加熱式)」の加湿器が、加湿器肺炎を予防するためにはぴったりです。

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加湿器選びのポイント

加湿器肺炎を予防するための加湿器選びのポイントは、「スチーム式(加熱式)」であること以外に、手入れしやすい形状のものを選ぶことが挙げられます。

タンクの持ち運びのしやすさや内部の形状、抗菌加工の有無など、デザイン性や価格だけではなく、日々のメンテナンスのしやすさにも注意して加湿器を選ぶと、加湿器肺炎の予防もしやすくなります。

更新:2025.12.19