強迫症

精神科

強迫症

どんな病気?

強迫症状は、強迫観念と強迫行為からなります。強迫観念は、繰り返し、しつこく、頭にこびりついている考えや衝動やイメージで、不安、恐怖、不快感を引き起こします。これは取り払おうと思ってもなかなか取り払うことができないものです。強迫行為は、強迫観念による不安や恐怖や不快感を一時的に軽くしようとする行為です。何度も手を洗ったり、鍵や電気のスイッチを何度も確かめるというような繰り返しの行為や、完全にこの通りにしないと安心できない行為などがあります。

症状

手を洗わないと気が済まない。やめられない

強迫症(強迫性障害)は、繰り返す強迫観念、あるいは強迫行為が主な症状です。強迫観念は、繰り返し心に浮かんできて、患者さんに苦しみを与えますが、その考えを打ち消そうとしても打ち消せません。強迫行為は、何度も繰り返される同様な行為で、自分にとってよくない出来事や、あるいは実際に起こりそうもない出来事を避けるために、すなわち強迫観念をなくそうとするために行われる行為です。例えば、自分で戸締り、火の始末などしておきながら、それを忘れたのではないかという考え(強迫観念)が起こってくると、どうしてももう1度家に戻って確かめないと気が済まなくなる(強迫行為)などです。強迫観念には、汚れや菌がついてないか(不潔恐怖)、自分や人を傷つけてしまうのではないか、物の位置や左右がそろっているか、数が過剰に気になるなどがあります。強迫行為は、何度も繰り返し手を洗い長時間かかる(強迫洗浄)、自分や人を傷つけてないか心配し確認する、物の位置や対称かどうかや回数に異常にこだわり、何度もやりなおしたり確かめるなどです。一連の強迫症状が始まる引き金になる刺激を先行刺激と呼び、悪循環のパターンが延々と繰り返されるのが、典型的な強迫症状のしくみです(図)。

図
図:強迫観念と強迫行為の関係
出典:飯倉康郎著『強迫性障害の治療ガイド』1999年、p6より作成

検査・診断

本人や家族からの問診、面接、行動分析などをもとに診断

基本は、問診、面接、行動分析などをもとに診断しますが、診断補助や症状の程度を評価するため自分で記入する評価スケールであるY-BOCSを用いることもあります。

強迫症状は神経発達症との関連が深く、自閉スペクトラム症が併存している場合は治療に工夫を要します。

治療と経過

はっきりした治療法が確立しており、よくなる人もいる

精神療法と薬物療法を併用するのが一般的で、精神療法は行動療法や心理教育がよく用いられます。

行動療法のうち、特に用いられるのは曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)です。曝露反応妨害法は、苦手と感じてこれまで恐れていたことにあえて立ち向かい(曝露法)、これまで不安を下げるためにしてきた強迫行為をあえてしない(反応妨害法)を組み合わせたものです。これは、不安を感じる場面にわざと自分を置き(不潔恐怖・強迫洗浄の例では汚いと思うものに触る)、そこで生活を妨げている行動を行わず(手を洗うのを我慢する)、それまで行っていた習慣的行動をやらなくても安全であることを体験させ、反復して慣れていく方法です。具体的には、不安や不快感が最も強く起こる刺激を100、全く起こらないのを0とした不安階層表を作り、不安の少ないものから段階的に曝露していくことで治療が進んでいきます。

薬物療法としては、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を中心とし、セロトニン再取り込み阻害作用が強い三環系抗うつ薬も用いられ、増強療法として抗精神病薬を併用することもあります。

よくある質問

なんで曝露反応妨害法をしないといけないのですか?薬は飲まないとだめですか?

強迫観念と強迫行為は、不安を介して、悪循環のパターンを形成しており(図)、強迫症状の成り立ちから考えても、悪循環を断つ治療(曝露反応妨害法)が有効になります。薬物療法のみと、行動療法のみの患者さんで効果は同等でした。薬物療法のみと行動療法を併用した患者さんとを比較したところ、薬物療法と行動療法を併用した患者さんの方が、治療効果がより長期に持続すると報告されています。

症状をCHECK
※症状は人によりさまざまです

  • □ 汚れや菌が過剰に気になる
  • □ 過度な手洗いや入浴、歯磨き、トイレ
  • □ 戸締りなど過度に確認する
  • □ 人に危害を加えたか、加えられるのではないかと心配し、確認する
  • □ 忘れ物をしたのではないかと何度も確認する
  • □ 回数などに異常にこだわる
  • □ 物の位置や対称性に関して異常にこだわる
  • □ 物を捨てられず過度にため込んでしまう
  • □ 考えが頭に浮かんで離れない

更新:2026.08.14