にょうかんがん

尿管がん

基礎情報

概要

尿管がんは、腎臓で作られた尿を膀胱へ運ぶ細長い管である尿管(にょうかん)に発生するがんです。

尿管は、腎臓で作られた尿を膀胱へと運ぶ、長さ25〜30cmほどの細い管です。尿管がんは、この尿の通り道の内側を覆う尿路上皮(にょうろじょうひ)という粘膜から発生します。この粘膜は膀胱まで続いているため、膀胱がんを併発しやすいという特徴があります。

そのため、尿管がんの人は、通常、膀胱がんの兆候がないか検査されます。

図
図:尿管がん

尿管がんの原因

尿管がんの正確な原因は完全には解明されていませんが、次のような要因が関わっていると考えられています。

1.遺伝子変異
細胞の遺伝子に変異(*1)が起こると、がん化しやすくなるとされています。遺伝的にがんになりやすい家系があることも確認されています。
2.年齢
尿管がんは、50代以降の中高年層に多くみられる傾向があります。加齢により細胞修復機能が低下すると、変異細胞が増えやすくなります。
3.喫煙
たばこの発がん物質は血液に取り込まれ、尿として排出されます。濃縮された発がん物質が尿管の粘膜に長時間触れることで、がん化のリスクが数倍に高まると考えられています。禁煙は、再発予防のためにも最も重要な対策です。
4.化学物質への暴露
染料、石油製品、特定の薬剤などに含まれる化学物質を長期間吸入したり、皮膚や口から取り込んだりすると、尿路上皮に負担をかけ、がん化のリスクを高める可能性があります。
5.尿路上皮がんの既往歴
膀胱がんなど、尿路上皮に生じるがんを過去に経験したことがある場合、尿管がんを発症する可能性が高まります。

※1:細胞の設計図の異常

尿管がんの症状

尿管がんの主な症状は、以下のとおりです。

1.血尿(尿に血が混じる)
目で見てわかるほど赤くなる場合(肉眼的血尿)だけでなく、検査でしかわからない微量な血尿(顕微鏡的血尿)の場合もあります。最も多いサインは、痛みを伴わない血尿(無症候性肉眼的血尿)です。一度出ても自然に止まることがありますが、「痛くないから大丈夫」と放置するのが一番危険です。がんが隠れているサインである可能性が高いため、一度でも確認されたらすぐに泌尿器科を受診してください。
2.腰や背中の痛み
尿管がふさがれて尿の流れが悪くなり、腎臓が腫れることで痛みが生じることがあります。痛みは片側の腰や背中に感じることが多いです。
3.頻尿・排尿痛
膀胱や尿道の刺激が強くなると、トイレの回数が増えたり、排尿時に痛みが出たりすることがあります。ただし、尿管がんでは頻尿が目立たない場合もあります。
4.全身の倦怠感や体重減少
がんが進行すると、慢性的な疲労感や食欲不振、体重の減少など、全身症状が出ることがあります。

これらの症状は、腎臓や膀胱の別の病気(結石や感染症など)でも起こることがあるため、自己判断せず、気になる症状が続く場合は医療機関を受診することが大切です。

尿管がんの検査・診断

尿管がんが疑われる場合、次のような検査が行われます。

1.尿検査
血尿の有無や異常細胞の存在を調べます。尿細胞診(*2)は、尿管がんなど尿路上皮のがんの診断に役立ちます。
2.画像検査
CT尿路造影(*3)やMR尿路造影検査(*4)、静脈性腎盂造影検査(*5)などを使って、腫瘍の大きさや位置、転移の有無を確認します。とくに造影剤を使ったCT検査は尿管の状態をより詳しく確認できることがあります。
3.尿管鏡検査
細いカメラ付きの管を尿道から膀胱を通して尿管内に挿入し、直接尿管の内側を観察します。必要に応じて組織の一部を採取し、がん細胞の有無や種類を詳しく調べます。

※2:尿に含まれる細胞を顕微鏡で調べる検査
※3:腎盂・尿管・膀胱といった尿路の病変をCTで評価する方法
※4:MRI(核磁気共鳴画像)を用いて尿路の形態を評価する検査
※5:静脈に造影剤を注射して、腎臓から尿中に排泄される様子をX線で撮影する検査

尿管がんの治療

尿管がんの治療法は、病期(がんの進み具合)や患者さんの全身状態によって異なります。主な治療には次のものがあります。

1.手術療法
腎尿管全摘除術
腎臓と尿管、膀胱の一部をまとめて切除する方法です。腫瘍が大きい場合や進行度が高い場合に行われます。
尿管部分切除術
腎臓や膀胱を温存しつつ、がんができた尿管の一部だけを切除します。がんの範囲が限られており、腎機能をなるべく残したい場合に選択されることがあります。
2.化学療法
術後に再発リスクを下げるために実施されたり、手術だけでは対応しきれない場合に使われたりします。膀胱がんなどと同様の薬剤を用いることが多いです。
3.放射線療法
手術の補助的な治療や、手術が難しい場合の対処法として行われることがあります。放射線をあてることでがん細胞を縮小させたり、痛みや出血などの症状を和らげたりします。
4.免疫療法
患者さん自身の免疫力を高めてがん細胞を攻撃しやすくする薬(免疫チェックポイント阻害薬など)が使われることがあります。ただし、尿管がんでは適用が限られている場合もあります。

尿管がんは、治療後も膀胱などに新しいがんができやすい性質(多中心性発生)があります。手術が終わった後も、定期的な内視鏡検査や尿検査による長期的なフォローアップが、健康を守るためには必要です。

尿管がんの予防

尿管がんを完全に予防する方法は確立されていませんが、リスクを下げるために次の点が推奨されています。

1.禁煙
たばこを吸わない、または禁煙を実行することが、尿管がんを含む尿路上皮がんの予防に有効とされています。
2.化学物質への注意
染料や化学物質を取り扱う職場では、安全装備をしっかりと着用し、暴露を最小限に抑えることが大切です。
3.定期検診
血尿などの症状がなくても、泌尿器系に気になることがある場合や、がんにかかった経験がある場合は、医療機関で定期的に検査を受けるようにしましょう。

更新:2026.09.25