髄膜腫
基礎情報
概要
髄膜腫(ずいまくしゅ)は、脳や脊髄(せきずい)を包んで保護する膜である髄膜(ずいまく)に発生する腫瘍(しゅよう)の一種です。髄膜腫は脳そのものから発生する腫瘍ではありませんが、脳腫瘍の一種として扱われ、近くの脳、神経、血管を圧迫することがあります。髄膜腫は、頭部に発生する最も一般的なタイプの腫瘍です。
髄膜腫のほとんどは非常にゆっくりと成長します。症状が現れることなく何年もかけて成長することもあります。しかし、近くの脳組織、神経、血管に影響を及ぼし、深刻な障害を引き起こすこともあります。
髄膜腫は、その性質によってWHO(世界保健機関)によりグレード1(良性)からグレード3(悪性)まで分類されます。約9割がグレード1の良性であり、転移の心配はほとんどありませんが、まれに再発しやすいタイプや悪性のものも存在するため、組織検査が重要になります。

髄膜腫の原因
髄膜腫がなぜできるのかについては、明らかな原因はわかっていませんが、いくつかの遺伝子異常が関係していると考えられています。
髄膜腫の症状
髄膜腫はゆっくり大きくなることが多いため、初期段階では症状がほとんど出ない場合があります。
代表的な症状は以下のとおりです。
- 朝になると頭痛がひどくなる。
- 視力低下や視野狭窄:腫瘍が視神経(見たものを脳に伝える神経)付近にできる場合に見られます。
- 聴力低下や耳鳴り:脳の側面や後方に腫瘍ができると影響を受けることがあります。
- もの忘れ(軽度の認知機能低下)や性格変化:前頭葉が圧迫される場合に起こります。
症状は「どこに腫瘍ができたか」で決まります。前頭葉(脳の前側)が圧迫されると「意欲の低下や性格の変化」、視神経の近くなら「視力低下」、小脳付近なら「ふらつき」というように症状が異なります。また、ゆっくり成長するため、脳が圧迫に慣れてしまい、かなり大きくなるまで症状が出ないことも珍しくありません。
髄膜腫の検査・診断
髄膜腫を疑う症状がある場合、脳神経外科や神経内科などを受診します。
- MRI検査(*1)(磁気共鳴画像診断装置):造影剤を使って撮影すると、腫瘍の位置や広がりが詳しく分かり、診断の中心になります。
- CT検査(*2)(コンピューター断層撮影):骨との関係や石灰化を確認するのに役立ちます。
- 組織診:画像だけで確定できない場合、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で調べます。
- 神経学的検査:視力・聴力・手足の動きなどを詳しく調べ、腫瘍による機能障害を評価します。
※1:強い磁石と電波を使って体の断面を画像化する検査
※2:X線を用いて体の断面像を作成する検査
髄膜腫の治療
髄膜腫の治療は、腫瘍の大きさや症状の有無、患者の年齢や全身状態などを総合的に判断して決定されます。
- 1.経過観察
- 症状がほとんどなく、腫瘍が小さい場合は、手術や放射線治療をすぐに行わず、定期的にMRI検査などで経過を確認することがよくあります。高齢者の場合や、成長が非常に遅い場合は、生涯治療を必要としないケースも多いです。
- 2.手術療法
- 症状があって腫瘍が大きい場合や、腫瘍が脳や脊髄を強く圧迫している場合は、手術で腫瘍を切除することが検討されます。腫瘍の場所によっては完全に取り切るのが難しい場合もありますが、可能な限り安全に腫瘍を取り除くことで症状の改善が期待できます。
- 3.放射線治療
- 手術で全部を切除できなかったときや、手術が難しい場所に腫瘍がある場合、再発のリスクがある場合には、ガンマナイフなどの定位放射線治療が行われます。ピンポイントで照射することで、腫瘍の成長を長期にわたって抑えることが可能です。
更新:2026.09.25
