基礎情報

概要

2型糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が高い状態が続く病気で、日本の糖尿病の90%以上を占めます。(「1型糖尿病」の解説はこちら)

ご飯やパンなどの炭水化物は体の中でブドウ糖に変わり、血液で全身に運ばれます。このブドウ糖を細胞の中に取り込むのに必要なのが、膵臓から出るインスリンというホルモンです。インスリンは、ブドウ糖が細胞の中に入るための扉を開ける「鍵」の役割をしています。

2型糖尿病では、この鍵が効きにくくなったり(インスリン抵抗性)、インスリンの分泌量が減ったり(インスリン分泌不全)して、ブドウ糖が細胞に入れず、血液中にあふれます(図1)。

図1
図1

血糖値が多少高い程度では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに血管が傷ついていきます。高血糖が数年〜十数年続くと、目・腎臓・神経・心臓・脳に合併症が起こります。「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がない今が、対策の最も効果的なタイミング」です。

厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる人」は約1,100万人(20歳以上の男性の17.7%、女性の9.3%)と推計され、平成9年以降増え続けています。

原因

なりやすい体質(遺伝)に、生活習慣が重なって起こります。家族に糖尿病の人がいるとなりやすいことが分かっています。

特に関係が深いのは、食べ過ぎ、運動不足、肥満(特に内臓脂肪型肥満)です。睡眠不足、ストレス、喫煙、過度の飲酒、加齢も関係します。

日本人はインスリンを出す力がもともと弱い人が多く、それほど太っていなくても発症することがあります。また、高齢者だけでなく、若い世代や子どもでも発症します。

症状

初期はほとんど症状がありません。進行すると、のどの渇き・多尿・体重減少・だるさが現れますが、これらは病気がかなり進んだ後の症状です。健康診断で血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)が高いと言われたら、症状がなくても受診することが、合併症を防ぐ最も確実な一手です。

高血糖が続くと起こる合併症(図2)

  • 細い血管の障害(3大合併症):神経障害、網膜症、腎臓病(糖尿病関連腎臓病)。糖尿病による腎臓病は、新たに人工透析を始める原因の第1位です。
  • 太い血管の障害:動脈硬化が進み、心筋梗塞、脳梗塞、足の血管が詰まる病気(末梢動脈疾患)になるリスクが上がります。末梢動脈疾患は、神経障害や感染と重なると、足の壊疽(えそ)の原因になります。
  • そのほか:感染症、歯周病、骨折、認知症になるリスクも上がります。
図2
図2

このように、糖尿病は適切に治療しないと生活の質を大きく損ない、命に関わることもあります。だからこそ、早期に適切な診断を受けること、糖尿病と分かったら早く治療を始めることが大切です。糖尿病にならないよう、普段から心がけることも重要です。

では、どうしたらよいのでしょうか?

検査・診断

血液検査で血糖値とHbA1c(過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を示す値)を調べます。

「糖尿病型」の基準

  1. 空腹時血糖値 126mg/dL以上
  2. 75gブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間値 200mg/dL以上
  3. 随時血糖値 200mg/dL以上
  4. HbA1c 6.5%以上

診断の流れ(図3)

  • 同じ採血で、血糖値(1〜3のいずれか)とHbA1c(4)がともに糖尿病型 → 糖尿病と診断
  • 血糖値が糖尿病型で、のどの渇き・多飲・多尿・体重減少などの典型的な症状がある、または確実な糖尿病網膜症がある → 糖尿病と診断
  • どちらか一方だけが糖尿病型 → 別の日に再検査し、再び糖尿病型であれば糖尿病と診断。ただし、初回と再検査の少なくともどちらか一方で血糖値が糖尿病型である必要があり、HbA1cだけを繰り返し測っても診断はできません。
図3
図3

正常型と境界型

75gブドウ糖負荷試験で、空腹時血糖値110mg/dL未満かつ2時間値140mg/dL未満であれば「正常型」です。糖尿病型にも正常型にも当てはまらない場合を「境界型」といい、糖尿病予備群にあたります。

アメリカの大規模研究(糖尿病予防プログラム)では、境界型の人が生活習慣を改善することで、糖尿病の発症を約3年間で58%減らせました。境界型と言われたら、生活習慣の見直しと、定期的な検査が重要です。

治療

治療の目的は、合併症を防ぎ、糖尿病のない人と変わらない生活と寿命を実現することです。合併症を防ぐためのHbA1cの目標は7.0%未満が目安ですが、年齢や持病などに応じて一人ひとり決めます。

食事療法

万人共通の正解はありませんが、次のような工夫が効果的です。

  1. 主食・主菜・副菜をそろえる
  2. 甘い飲み物を水やお茶に置き換える
  3. 野菜・海藻・きのこを毎食とる
  4. 肥満があれば、まず3〜6か月で体重の3%減を目標にし、可能であれば5%以上の減量を目指す

野菜・魚・オリーブ油を中心とする地中海式の食事は、血糖と心血管病のリスクの両方を改善すると報告されています。

運動療法

早歩き(会話はできるが、ややきついと感じる速さ)などの中強度の有酸素運動を週150分以上・週3日以上、加えて筋力トレーニングを週2〜3回行うことが勧められています。合併症がある人や、インスリン・一部の飲み薬を使っていて運動中の低血糖が心配な人は、主治医に相談してから始めてください。

薬物療法

食事療法と運動療法で血糖が十分に下がらない場合は、薬を使います。薬は、一人ひとりの病態(肥満の有無など)や合併症に合わせて選びます。肥満がある人ではメトホルミンがよく使われます。心臓病や腎臓病がある人には、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が勧められます。これらの薬は、血糖を下げる作用に加え、心臓や腎臓を守る効果が大規模な臨床試験で確認されています。

インスリンや一部の飲み薬(SU薬など)を使っている人は、低血糖(冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感)に注意し、ブドウ糖を持ち歩きましょう。

治療を続けることが何より大切

令和6年の調査では、糖尿病を指摘されたことがある人のうち、治療を受けている人は67.4%にとどまり、30〜40歳代では治療を受けていない人の割合が特に高い傾向でした。合併症を防ぐには、治療を続けることが何より重要です。

予防

生活習慣を見直すことで、糖尿病の発症を防いだり遅らせたりできることが、複数の研究で示されています。アメリカの糖尿病予防プログラムでは、体重の7%減量と週150分の運動を目標にした生活習慣の改善により、糖尿病の発症が約3年間で58%減りました。さらに約21年間の追跡でも、発症が24%少ない状態が続いていました。

今日からできること

  1. 体重を毎日記録する
  2. 小さな目標を1つ決める(例:甘い飲み物は週3回まで)
  3. 歩数や運動時間を記録し、週ごとに振り返る
  4. 健康診断を毎年受ける

糖尿病になった後も、早期発見・早期治療と治療の継続によって合併症を防ぐことができます。

更新:2026.10.16