歯ぎしり(ブラキシズム)
基礎情報
概要
歯ぎしり(ブラキシズム)とは、自覚がないにもかかわらず、持続的に筋肉が緊張し、強い力が顎(あご)や歯などに作用することを言います。一般には、寝ている時に上下の歯が接触して不快な雑音が生じることと考えられていますが、日中に起きるものや、雑音が出ない歯ぎしりもあります。
歯ぎしりの種類は、以下の3種類に分類され、それぞれが混在することもあります。
- ①ギリギリと音がするグラインディング
- ②カチカチと噛むタッピング
- ③音がしない、ぐっと噛みしめるクレンチング
- 起床時に顎や肩の筋肉に痛みや疲労を感じる
- 筋肉の肥大、顎のこわばり、口が開けにくいなど顎関節症(がくかんせつしょう)を引き起こす
- 上下の歯をすり合わせることによって、歯が削れてすり減ったり、歯が折れたり、被せもの(補綴装置(ほてつそうち))が壊れたり、外れたりする
- 歯周病に罹患(りかん)している人は、歯の動揺がさらに大きくなってしまう
- 口の中の骨がごつごつと膨らんでくる
- 異常な歯のすり減りがある
- 起床時の顎の不快感、疲労、痛み、口が開けにくいなどの症状がある
- 噛みしめによる筋肉の肥大がある
特にクレンチングは、音が出ないので発見が遅れがちになります。
睡眠中の歯ぎしり
睡眠中の歯ぎしりは、成人の約10%の人にあるといわれています。乳歯が生えてくる頃から始まりますが、年齢とともに減少します。また、歯のない人でも歯ぎしりはあり、性別による差はありません。
日中の歯ぎしり
日中の歯ぎしりは、本人には歯ぎしりをしている(噛みしめている)意識がないことが多く、噛みしめに至らなくても持続的に上下の歯を接触させていることがあり、顎関節症や肩こりの原因になることもあります。
症状
歯ぎしりの回数が多いと、以下のような症状が起こる可能性があります。
検査・診断
自分で意識していな歯ぎしりも多いため、診断は問診やアンケート、口腔内診査によって行います。睡眠中の歯ぎしりは、原因が精神心理的疾患や薬品の影響などの医学的なものではなく、自分で歯ぎしりの音や噛みしめを自覚している場合は、以下のいずれか1つでもあてはまれば、睡眠中の歯ぎしりと診断できます。
治療
歯科用スプリント(マウスピース)
歯科用スプリントを着けることで、直接上下の歯が接触することを防ぎ、歯ぎしりを減らせます。すり減ってしまった歯の保護や歯ぎしり音を減らすことにも効果があります。ただし、いびきや睡眠時無呼吸(すいみんじむこきゅう)を悪化させる可能性があるため、これらに当てはまる人の使用には慎重な対応が必要です。
認知行動療法
暗示療法やリラクゼーション、ストレス管理などのリラックス法や睡眠衛生の教育を行うことで、歯ぎしりを減らします。副作用がないことが利点です。
薬物療法
筋弛緩薬(きんしかんやく)、鎮静剤、自律神経抑制剤などを使い治療します。
更新:2022.08.22