かぜ

風邪

基礎情報

概要

風邪とは、正式には「風邪症候群」といい、一般的にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱などの症状の総称を指します。小児から老人まで、幅広い世代がかかる一般的な病気です。 主な原因はウイルス感染であるため、症状を緩和する対症療法を行い、ゆっくり休むことが何より大切です。

症状

鼻、のど(咽頭・喉頭)、気管、気管支、肺などからなる呼吸器は、ウイルスや細菌に感染しないために、口や鼻、のどの内壁の粘液で異物を付着し、繊毛運動によって外に出す防御システムが備わっています。加えて、粘液には、異物による感染から体を守る免疫防御機能が働き、異物を出そうとしてくしゃみ、鼻水、咳、たんが出たり、粘膜内部の組織に炎症が起こって腫れ、鼻づまりやのどの痛みなどの症状を引き起こします。

発熱は、異物の侵入により体に異変が起こったことを知らせると同時に、免疫の働きが活発になっているサインでもあります。

図
図:風邪症候群の症状を引きおこすメカニズム

原因

風邪症候群は、くしゃみなどによる飛沫に含まれる病原体が鼻や喉といった上気道から感染することによって起こります。病原体はまず上気道の粘膜に付着し、付着部分から体内に侵入して増殖します。原因となる病原体の約90% はウイルスが占めており、残りの約10%は細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどウイルス以外です。ウイルスなどが体内に入っても免疫によって排除されて発症しないこともあり、その人の体調や免疫力に左右されます。

風邪ウイルスの数は200種類以上といわれており、どのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。また、同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異します。このため、一度感染したウイルスに対抗する免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染するため、繰り返し風邪をひくこともあります。

なお、インフルエンザを起こすインフルエンザウイルスは風邪ウイルスとは異なり、症状の重さも異なるため、別の病気と考えておいた方がよいでしょう。

検査・診断

医師による問診で、症状や周りの人のかぜ症状の有無などを確認し、呼吸音やのどの状態などを診察します。インフルエンザの診断には鼻の粘膜から採取した検体から直接ウイルスの種類を確かめたり、ウイルスに対する抗体が増えているかどうかを確かめたりすることが必要になりますが、風邪に対する一般的な診察ではこうした検査が行われることはほとんどありません。ただし、強い症状が見られたり、気管支炎や肺炎などの合併症が疑われたりする場合は、血液検査や胸部レントゲンなどの検査を行うこともあります。

治療

原因がウイルスの場合は、安静や水分・栄養補給を心がけることで自然に治癒します。症状を和らげるため、対症療法として解熱鎮痛剤や鼻症状を改善する薬などが使われることがありますが、抗菌薬はウイルスには効果がないため使用されません。ただし、3日以上の高熱、膿の混じった痰や鼻水、扁桃へんとうの腫れなどが見られる場合は細菌感染が疑われるため、抗菌薬による治療が行われることもあります。

更新:2022.08.25