はんげつばんそんしょう

半月板損傷

基礎情報

概要

半月板損傷(はんげつばんそんしょう)とは、膝(ひざ)の関節の中にある関節のクッションになる軟骨である、半月板(はんげつばん)が破れたり裂けたりするけがのことです。半月板は太ももの骨(大腿骨〈だいたいこつ〉)とすねの骨(脛骨〈けいこつ〉)の間でクッションの役割を果たし、膝の動きをスムーズにしています。スポーツ中のひねりや、日常生活で膝に大きな負担がかかったときなどに損傷することが多く、加齢によって軟骨が弱っているとわずかな力でも傷つきやすくなります。

日本では、スポーツ活動による膝のけがが比較的多いとされ、膝のケガや障害に関する注意喚起がなされています。

半月板の損傷を放置すると、膝のクッション機能が失われ、周囲の軟骨まで削れてしまう変形性膝関節症を若いうちから引き起こす原因となります。膝のひっかかり感やロッキング(膝が動かなくなる)がある場合は、速やかな対処が必要です。

図
図:半月板損傷

半月板損傷の原因

1.スポーツによる負荷
サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、急な方向転換やジャンプ動作が多い競技では、膝をひねったり大きな衝撃を受けたりしやすく、半月板を傷つけるリスクが高まります。
2.加齢
年を重ねると軟骨の弾力が失われ、半月板がもろくなります。階段の上り下りや、立ち上がるといった日常の何気ない動作でも変性断裂(へんせいだんれつ)を起こしやすくなります。これは、特定の怪我の記憶がなくても膝が痛み出す大きな要因の一つです。
3.日常生活での膝への負担
重い物を持ち上げる動作や、しゃがむ・立ち上がる動作を繰り返すうちに半月板に負担がかかると、損傷が起こる場合があります。
4.肥満
体重が増えるほど膝にかかる負担が大きくなり、半月板の損傷リスクが高まります。

半月板損傷の症状

半月板損傷の症状は、けがをした瞬間からはっきりと出る場合もあれば、徐々に膝が痛くなって気がつくこともあります。主な症状は次のとおりです。

1.膝の痛み・腫れ
膝の内側や外側に鋭い痛みを感じることが多いです。けがをしてすぐに腫れが出ることもありますが、時間がたってから腫れや痛みが強くなるケースもあります。
2.引っかかり感やロッキング(膝がロックされる感覚)
膝を曲げ伸ばしするときに何かが引っかかるような感覚や、急に膝が動かなくなる感覚が出ることがあります。これを「ロッキング」と呼びます。
3.膝の不安定感
歩いたり走ったりしたときに膝がぐらついて、力が入らない感じがする場合があります。
4.可動域の制限
膝がうまく曲げられなかったり伸ばしにくくなったりして、日常生活やスポーツに支障が出ることがあります。

半月板損傷の検査・診断

半月板損傷の疑いがある場合、医療機関で以下のような検査を行います。

1.問診と視診・触診
けがをしたときの状況や痛みが出る動作などを詳しく聞かれます。その後、医師が膝に触れて腫れや熱感(ねっかん)(*1)、可動域などを確認します。
2.膝の安定性テスト
膝を曲げたり伸ばしたりしながら、半月板特有の痛みや引っかかりがないかを調べる「マクマレーテスト」や「アプレーテスト」と呼ばれる診察方法があります。
3.画像検査
X線検査(レントゲン):骨の状態を確認する検査です。半月板自体は写りませんが、骨折などほかの異常がないかを確かめるために行われます。
MRI検査:半月板や靱帯(じんたい)の損傷をより詳しく調べるために用いられます。X線では見えない軟骨や靱帯が映し出され、損傷の程度を把握しやすくなります。MRIでは、損傷の有無だけでなく、どのように断裂しているのか(断裂の形)や、血流のある部位かどうかを詳細に判別します。これが縫合して治るかなど治療の選択のための重要な情報となります。

※1:触ったときの熱っぽさ

半月板損傷の治療

半月板損傷の治療法は、損傷の場所や程度、患者さんの年齢や活動レベルによって異なります。一般的には以下の方法を組み合わせて行います。

1.保存療法
RICE処置(ライス処置):Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとった応急処置です。けが直後の腫れや炎症を抑えるために行います。
装具の使用:膝を安定させるためのサポーターや膝固定具を装着し、回復を促します。
理学療法(リハビリ):専門家による指導のもと、周囲の筋肉を鍛えたり、膝を適度に動かしたりして回復をめざします。筋力が強化されると、膝への負担が軽くなり、痛みも軽減されることがあります。
痛み止めの薬:痛みをおさえるために消炎鎮痛薬が処方されることがあります。
2.手術療法
保存療法で改善が見られない場合や、損傷が大きい場合は手術を検討します。関節鏡(かんせつきょう)を使い、膝の中を直接見ながら半月板の傷んだ部分を切除したり縫合したりする「関節鏡手術」が主流です。
縫合が可能な部位は血流が比較的豊富で回復が見込めるため、可能な限り半月板を温存することが推奨されます。一方、血流が乏しい部分は修復しづらいため、切除が選択される場合があります。
3.術後のリハビリテーション
X線検査(レントゲン):骨の状態を確認する検査です。半月板自体は写りませんが、骨折などほかの異常がないかを確かめるために行われます。
手術後もリハビリを続けることが非常に重要です。徐々に膝を動かす範囲を広げ、筋力を回復させることで再発を防ぎ、日常生活やスポーツへ安全に復帰できるようにします。

半月板損傷の合併症

半月板損傷をそのまま放置したり、治療が不十分だったりすると、次のような合併症を引き起こす可能性があります。

変形性膝関節症
半月板のクッション機能が十分に働かないと、長期的に膝の関節に負担がかかり、軟骨がすり減って痛みや変形が進行するリスクが高まります。
関節の不安定感
半月板の損傷が進むと、膝が固定されにくく、わずかな動作でも膝がぐらつきやすくなることがあります。

半月板損傷の予防

半月板損傷を予防するためには、日常生活やスポーツの中で膝への負担を軽減する工夫が大切です。

1.適切なウォーミングアップとクールダウン
スポーツや運動を始める前に、関節や筋肉をほぐすストレッチや軽い運動を行うことで、けがのリスクを下げられます。運動後のクールダウンも忘れずに行い、疲労をためにくくします。
2.筋力強化
太ももやお尻の筋肉を鍛えると、膝への衝撃を吸収しやすくなります。スクワットや軽めの筋トレなど、無理のない範囲で継続すると効果的です。
3.体重管理
適正体重を保つことで、膝への余分な負担を減らせます。
4.正しい動作の習得
スポーツや日常生活でも、膝をねじったり過度に曲げ伸ばししないよう注意しましょう。プロの指導者や理学療法士から正しいフォームを学ぶことも大切です。

更新:2026.09.25