だっきゅう

脱臼

基礎情報

概要

脱臼(だっきゅう)とは、関節をつくる骨同士が、本来の位置から完全に離れてしまう状態を指します。これに対し、亜脱臼(あだっきゅう)は、骨が部分的にずれるものの、完全には離れていない状態を指します。スポーツや日常生活での転倒などが主な原因となっています。

脱臼は骨が外れる際、関節を包む関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)を傷つけます。放置すると周囲の神経や血管を圧迫し、深刻な後遺症を招く恐れがあるため、速やかな診断と適切な処置が必要です。

図
図:脱臼

脱臼の原因

脱臼の主な原因は、外部からの強い力や衝撃です。以下に例をあげます。

  • 転んだときに手をついたりして、腕の関節に大きな力がかかる
  • スポーツ中にぶつかったり、変な方向に腕や足がねじれたりする
  • 交通事故など、大きな衝撃を受けたとき

また、人によっては関節を支える靭帯(*1)がゆるく、脱臼しやすい体質の人もいます。

初回の脱臼で関節を支える組織が十分に修復されないと、軽微な力で何度も脱臼を繰り返す反復性(はんぷくせい)脱臼に移行することがあります。特に肩関節などは可動域が広いため、一度外れると癖になりやすい性質があります。

※1:骨と骨をつなぐ組織

脱臼の症状

脱臼が起こると、以下のような症状が現れます。

  • 痛み:関節部位に強い痛みを感じます。
  • 腫れ:関節周囲が腫れ上がります。
  • 変形:関節が通常とは異なる形に見えることがあります。
  • 可動域の制限:関節を動かすことが難しくなります。
  • しびれや感覚異常:周囲の神経が圧迫されることで、しびれや感覚の鈍さを感じることがあります。この場合には早急の脱臼を治す処置が必要です。

脱臼の検査・診断

医師は、以下の方法で脱臼の診断を行います。

  1. 問診:受傷時の状況や症状について詳しく尋ねます。
  2. 視診・触診:関節の変形や腫れ、圧痛の有無を確認します。
  3. 画像検査:X線撮影を行い、骨の位置関係や骨折の有無を確認します。必要に応じて、MRIやCT検査を行い、靱帯や軟部組織(*2)の損傷をみます。

※2:骨以外の体を支えるやわらかい組織で、筋肉、じん帯、腱、皮膚のこと

脱臼の治療

脱臼の治療は、以下の手順で行われます

  1. 整復:脱臼でずれてしまった骨を、元の正しい位置に戻すことです。医師が手で動かしたり、必要に応じて麻酔を使って、安全に元の場所に直します。
  2. 固定:整復後、関節を安定させるためにギプスやサポーターで固定します。
  3. リハビリテーション:固定期間が終わった後、関節の可動域や筋力を回復させるための運動療法を行います。

重度の場合や、整復が困難な場合は、手術が検討されることもあります。

自己整復(自分で戻すこと)は絶対に避けてください。知識がない状態で無理に戻そうとすると、折れた骨の破片を挟み込んだり、神経をさらに傷つけたりする恐れがあります。整復後は、落ちた筋力を回復させ、関節の安定性を高めるための適切なリハビリテーションが再発防止の鍵となります。

脱臼の合併症

脱臼に伴う合併症として、以下があります。

  • 神経・血管の損傷:脱臼時に周囲の神経や血管が傷つくことがあります。
  • 再発性脱臼:一度脱臼すると、関節が不安定になり、再び脱臼しやすくなることがあります。
  • 変形性関節症:関節の軟骨が損傷し、将来的に関節の変形や痛みを引き起こす可能性があります。

脱臼の予防

脱臼を予防するためには、以下の点が重要です。

  • 適切なウォーミングアップとクールダウン:運動前後に関節や筋肉を十分に準備・整理することで、怪我のリスクを減らします。
  • 筋力トレーニング:関節周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を高めます。
  • 適切な装備の使用:スポーツ時には、関節を保護するためのサポーターやプロテクターを着用します。
  • 環境の整備:転倒しやすい場所を避け、日常生活での安全対策を心掛けます。

更新:2026.09.25