最新・最適な医療を支える世界水準の臨床検査

検査部

世界基準レベルの検査を迅速かつ正確に診療科へ提供

検査部では病院全体のISO9001だけでなく、臨床検査室の国際認定(ISO15189)を取得し、大学病院の最新治療を支えるために、先端機器と特殊技術を用いて世界水準の精確な検査結果を提供しています。急性疾患に必須なバイオマーカーの24時間にわたる迅速測定、血液腫瘍の新規治療に必須である骨髄検査、質量分析による原因菌の迅速同定、迅速PCR遺伝子検査を実施しています。さらには最新超音波機器を用いた主要臓器に関する高機能の質的解析も積極的に実践しています。このように、患者の皆さんが最高で最適な医療を安心して受けていただくための基盤を提供しています。

各種疾患を高感度に捉えるバイオマーカー検査

バイオマーカー検査は、疾患の病態を血中、尿中で高感度に捉えることが特徴です。当検査部では血中心筋トロポニンI、NT-proBNP、プロカルシトニン、尿中NGALの測定を24時間実施しています。

心筋トロポニンIは心筋の壊死を伴う心筋傷害を迅速に反映するマーカーで、急性心筋梗塞などの急性冠症候群の診断に有用です。

NT-proBNPは心筋細胞から分泌され心筋の負荷を反映するマーカーとして利用されており、心不全の診断・重症度・予後評価に有用です。

プロカルシトニンは、細菌感染による炎症性サイトカインの産生を契機に全身組織で発現し、上昇するまでの時間が2-3時間と短く、敗血症の鑑別診断や重症度判定補助に有用です。

NGALは通常腎臓の近位尿細管で再吸収されるため尿中にはほとんど検出されません。尿中NGALの高値は腎組織のダメージを迅速に高感度に反映しており、急性腎障害の診断補助に有用です。

これらいずれの検査も、24時間対応で日中と同じ精確さで迅速に結果報告していますので、臨床医の迅速な診断・治療方針の決定に貢献しています。

血液腫瘍の新規治療と骨髄移植に必須の骨髄検査

骨髄は血液を作る重要な組織です。血液中の白血球、赤血球、血小板の数に大きな異常が認められる場合、白血病のように特徴的な血液細胞が認められる場合、癌の骨髄転移を疑う場合など、診断を確定するために骨髄検査が実施されます。特に、治療中の血液腫瘍や骨髄移植では、治療効果や再発を確認するために骨髄検査が必須となります。

当院では、年間400~450件の骨髄検査を実施し、福井県で最多です。また、新しい治療薬の治験を数多く担当し、骨髄移植を実践している福井県唯一の施設です。治験や移植件数の増加とともに骨髄検査の件数も増加傾向ですが、専門性の高い検査技師が骨髄中の細胞を精確に同定し、迅速に報告して、診療科の最新・最適な診断治療に大いに役立っています。

質量分析計とPCR検査による迅速な原因菌の特定

感染症の治療には、原因となる微生物を特定し、効果のある抗生剤などの治療薬を選択していくことが重要です。微生物検査では2つの検査が主な業務となります。1つは、感染部位から採取された検査材料を培養し、発育してきた原因菌の菌名を決定する同定検査で、もう1つの検査は、その菌に対してどの抗生剤が効くかどうかを判定する薬剤感受性検査です。生化学検査や血液検査のように、その日に結果が得られる検査と異なり、菌の発育を待って検査するため結果報告までには、おおよそ4日から 10 日が必要となります(結核菌の場合は2か月かかる場合もあります)。

時間のかかる検査をより早いタイミングで報告し、適正で効果のある抗菌薬を1日でも早く投与できれば治療期間の短縮(在院日数の短縮も含めて)につながります。この治療期間の短縮を可能にする装置として、微生物検査に従事する臨床検査技師の目の前に、突然現れたのが質量分析計(マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析計)です(図1)。この装置は、2002 年にノーベル科学賞を受賞された田中耕一博士が考案した技術を基に細菌同定検査法に応用されたもので、当院でも 2015 年より日常検査で導入しました。これにより、菌名決定までの期間を最大で3日間も短縮することが可能となり、難治性感染症への早期治療などに貢献しています(図1)。

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図1 質量分析による細菌名の決定

新型コロナウイルスや結核などは、県内でもいち早くPCR検査体制を整えて行政に協力してきただけでなく、院内検査としても迅速に報告し(約1時間)、治療だけでなく感染対策にも寄与しています。また、新型コロナウィルスのPCR検査は24時間体制で実施しています。

最新技術を用いた超音波検査

超音波(エコー)検査はテクノロジーの進歩が著しく適応臓器も幅広くなり、日常診療において欠くことのできない検査となっています。特に、近年、組織の相対的なひずみ(ストレイン)の程度を見る方法や組織の硬さを評価する方法(エラストグラフィー)が注目されています。

虚血性心疾患を疑う場合、心エコー検査での評価は局所心筋における内膜の変化と収縮期の壁厚の増加を視覚的に観察することで行われています。しかし、このストレイン法を用いると、視認では評価が困難な微細な心筋の動きも簡単に同定でき、潜在している心筋病変を検出することが可能です(図2、3)。当院循環器内科で実施している難治性心不全患者さんの心臓再同期療法の適応評価でも用いています。さらに、近年では心アミロイドーシスなどの心筋症の診断や抗がん剤による薬剤性心筋障害の早期発見にも有用であることから当院でも積極的に取り入れています。

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図2 心臓 ストレイン(正常例)
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図3 心臓 ストレイン(虚血性心疾患)

また腹部エコーではルーチン検査にて肝臓の硬さや肝疾患の進行度を把握するための指標としてエラストグラフィー(外部から与えた超音波パルスや振動によって発生する剪断波の速度を測定する)を取り入れています。この方法でC型慢性肝炎などの慢性肝疾患による肝線維化の進行度が把握できます。

更新:2024.07.04