内視鏡と外視鏡を用いた脳動脈瘤・もやもや病などの最新治療
脳神経外科

脳動脈瘤・もやもや病とは?
脳血管が膨らむ脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)はくも膜下出血(まくかしゅっけつ)の原因に、脳血管が細くなるもやもや病は脳梗塞(のうこうそく)の原因になる病気です。悪化すると、頭痛や手足の麻痺(まひ)、しびれの症状をきたします。脳ドックで発見されることも多いです。
下垂体(かすいたい)は脳の下面にあるホルモンを作る臓器です。脳表面に下垂体腺腫(せんしゅ)、髄膜腫(ずいまくしゅ)、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)などのさまざまな脳腫瘍(のうしゅよう)が生じると、頭痛、倦怠感(けんたいかん)、ふらつき、無月経や視力視野障害などの症状が出現します。
神経膠腫(しんけいこうしゅ)とは脳の中に発生する腫瘍で、手術に加えて化学療法、放射線治療が重要になります。
脳動脈瘤ともやもや病の最新高精度バイパス手術
くも膜下出血の予防治療として、膨らんだ脳動脈瘤の破裂を防ぐクリッピング術やコイル塞栓術は長期的予防効果が証明されています(図1)。近年、カテーテル(※1)治療が可能な病変も増えていますが、長期的な脳動脈瘤破裂の予防効果は不明です。
※1 カテーテル:医療用の細い管

また、治療困難な病変には、直径1mmの血管を水道管のようにつなぐことで完成する高度な技術が必要なバイパス手術を行います(図2)。私たちは、外視鏡という最新の手術機器で安全性を高めました。本技術が実施可能な施設は限られています。また、この手術は、血管が狭窄(きょうさく)(細くなること)するもやもや病の手術にも応用されています。

当院では、多数の経験と綿密な集中治療により、術後合併症が少なくなっています。難しい手術が可能な技術があるからこそ、さまざまな病変にきちんと対応できます。脳動脈瘤ももやもや病も、家族・親族内で発症した人がいる場合、一度脳ドックを受診するか、担当の先生に相談して脳神経外科を受診してください。当院では、脳神経外科の村井医師、亦野医師が特に専門です。
下垂体と頭蓋底腫瘍の内視鏡手術
下垂体部に腫瘍ができると、倦怠感、無月経、視力視野障害などの症状が出現することがあります。下垂体部腫瘍には、薬物や放射線で治療できるものもあり、まずは正確な診断が重要です。
下垂体は脳の表面で、鼻の奥深くに位置します(図3)。鼻から内視鏡を入れて腫瘍を摘出できることが多く、体にやさしい外科治療ができます。

また頭部を切開する場合でも、小さな皮膚切開と内視鏡を加えることで、これまで以上に体にやさしい外科治療を提供できます(写真)。

赤:皮膚切開(眉毛の中)
青:骨切開(500円玉くらいの大きさ)
これらの疾患で心配なことがありましたら、経験豊富な当院の専門医師が丁寧に説明します。脳神経外科の亦野医師が特に専門です。
髄膜腫と神経膠腫の外視鏡手術
脳腫瘍は年間10万人あたり20人ほど新たに診断され、そのうち髄膜腫と神経膠腫で約半数を占めています。
従来、脳腫瘍手術は顕微鏡を使用して、虫眼鏡のように拡大した術野(※2)を直接見て手術を行っていました。最近になり、4K大型モニターを使用した外視鏡(図4)が登場しました。
※2 術野:手術を行う、目で見える部分
外視鏡の最大の特徴は、術野を撮影するカメラ本体が350mL缶ビールサイズくらいで小さく、また位置を自由に動かせる点です。患者さんに無理な姿勢をさせることなく、術野を観察することが可能で、より安全に手術をすることができ、摘出率の向上につながっています。
脳神経外科の亦野医師、樋口医師が特に専門です。

当科の特色 脳神経外科
脳神経外科の診療実績の特色は、各分野のスペシャリストが揃っていることが挙げられます。私自身は、世界的な「神の手」として著名な上山博康先生から、脳動脈瘤やもやもや病の手術をご指導いただき、治療困難な病変の良好な手術成績を学術的に報告しています。より高難度な病変に対応可能な技術を習得したことで、基本的な手術技術に習熟しています。
梅岡先生は、顔や喉の痛みやけいれんに、喜多村先生は手足のしびれやもやもや感に対して、どちらも神経と血管の関係を改善し、これらの症状を軽減する手術経験が豊富です。
亦野先生は、国内はもちろんのこと、欧州の治療困難な頭蓋底疾患が集まるフランスの著名な施設で、多数の手術を執刀し、帰国後も当院で担当しています。
樋口先生は脳腫瘍の化学療法や放射線治療を含めた集学的治療を専門にしています。
日本医科大学脳神経外科 手術担当医の延べ経験症例数(2023年9月現在)
各分野の専門家がさらに、国内外の施設で経験を積み、手術成績の向上をめざしています。
- 脳動脈瘤の手術 3,200件(担当:村井、亦野、久保田)
- もやもや病などのバイパス手術 640件(担当:村井、亦野、久保田)
- 頭蓋底下垂体腫瘍 2,100件(担当:亦野、樋口、梅岡)
- 悪性脳腫瘍 290件(担当:村井、樋口)
- 顔と口の中の痛みやけいれんの手術 920件(担当:梅岡)
- 手足のしびれや、ムズムズ感の手術 280件(担当:喜多村)
更新:2026.02.02
