胆石の治療

消化器外科

胆石の治療

胆石とは?

胆石とは、胆嚢(たんのう)内および胆管(たんかん)内に、石が形成された状態を指します(図1)。女性にやや多く、脂質異常症、食生活習慣、急激なダイエット、胆嚢機能低下などが胆石形成に関連します。

図
図1 胆石の図解

胆石は胆石発作を起こすと右季肋部(みぎきろくぶ)(右の肋骨(ろっこつ)の下の部分)に痛みが出ます。激痛から鈍痛など症状はさまざまです。

また胆管に結石が落ちると、胆管炎という病態となり発熱、腹痛、黄疸(おうだん)(皮膚や目が黄色くなる)という症状を起こします。重篤化すると意識障害やショック状態となるため、緊急の処置が必要となります。

胆嚢結石、胆嚢ポリープの治療

胆嚢結石(胆嚢にある胆石)や胆嚢ポリープなどで手術が必要となった場合に、腹腔鏡下胆嚢摘出術(ふくくうきょうかたんのうてきしゅつじゅつ)という術式が多く行われています。腹腔鏡という内視鏡を用いて胆嚢を摘出する手術です。当院では年間300件近くの手術を行っています(図2)。

図
図2 当院の腹腔鏡下胆嚢摘出術件数の年次推移

「図3」のように小さな創(きず)で手術は終了します。手術時間は2時間程度です。創が小さいため、術後早期から食事摂取が可能で、数日で退院できます。ごくまれに開腹手術に移行する可能性があります。炎症が高度の場合など腹腔鏡手術が危険と判断された場合です。術後出血や胆管損傷などが主な合併症ですが、ほとんどの方が問題なく退院しています。

図
図3 腹腔鏡による手術創

総胆管結石、胆管炎の治療

総胆管結石(胆管にある胆石)、胆管炎の治療は、主に内視鏡(胃カメラ)を用いて行います(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ぎゃっこうせいたんかんすいかんぞうえいけんさ))。内視鏡を十二指腸まで挿入し、十二指腸乳頭部から胆管へカテーテル(※1)を挿入します。乳頭括約筋を切開し、総胆管結石を取り除きます(総胆管結石採石)。

主な合併症は、膵炎(すいえん)および内視鏡操作による消化管穿孔(せんこう)(※2)ですが比較的まれであり、発症した場合も治療は可能です。

当院では年間750件程度行っており、内視鏡専門医も多数在籍しています。小腸内視鏡(ダブルバルーン内視鏡)を用いた検査も可能であり、胃切除後の方でも可能です。ぜひご相談ください。

※1 カテーテル:医療用の細い管
※2 穿孔:消化管の壁に穴が開くこと

更新:2025.12.12