国の指定難病である多発性筋炎・皮膚筋炎の先進医療

リウマチ・膠原病内科 / 強皮症・筋炎先進医療センター

国の指定難病である多発性筋炎・皮膚筋炎の先進医療

多発性筋炎・皮膚筋炎とは?

多発性筋炎・皮膚筋炎は、腕、肩、お尻、太ももなどの手足の付け根に近い筋肉に炎症が生じる病気です。また、皮膚筋炎では、筋肉のほかに、皮膚にも炎症が生じて、上まぶた・頬《ほお》などの顔面、手指や肘《ひじ》、膝《ひざ》といった関節が伸びる部分に赤みをきたすことがあります。患者さんの男女比は1対2.7と女性に多く、好発(病気にかかりやすい)年齢は40~50歳代ですが、お子さん、若年者、高齢者でも病気が生じることがあります。

手足の筋力が落ちるのに加え、皮膚筋炎では赤い斑状の発疹が生じる

手足の筋肉に炎症が生じると、筋肉に力が入りにくくなり、続けて手足を動かしていると、疲れをすぐに感じやすくなります。腕、肩、お尻、太ももの筋力が落ち、具体的には「ものを持ち上げにくい」「床から立ち上がりにくい」「歩く速さが遅くなった」「坂道や階段を登るのが困難になった」などといった感覚が生じます。ときには、筋肉の痛みを感じることもあります。また、喉の筋肉が弱くなり、食事の際にむせる、飲み込みにくいといった症状が現れることもあります。

また、皮膚筋炎の患者さんでは、主に赤い斑状の発疹(紅斑)の皮膚症状が見られます。典型的な発疹としては、上まぶたが赤く腫れぼったくなったり(ヘリオトロープ疹・図1)、手指、肘、膝の関節の伸びる部分の皮膚表面が赤くなったり、皮がむけて皮膚の表面がやや厚ぼったくなります(ゴットロン丘疹・図2左、ゴットロン徴候・図2右)。また、患者さんによっては、頭皮、顔、耳、首回り、お腹、背中、お尻の側面の皮膚が赤くなり、かゆみを伴うこともあります。

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図1 ヘリオトロープ疹
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図2 ゴットロン丘疹(左)、ゴットロン徴候(右)

また、紅斑が現れているのにもかかわらず、筋炎症状が乏しいこともあります。紅斑はほかの皮膚の病気の発疹と類似していることもあって、皮膚筋炎の診断が初期の段階では難しいこともあります。

筋肉や皮膚の組織を調べて確定診断。がんスクリーニング検査を行うことも

診察で「全身の各筋肉の力の強さ(徒手筋力テスト)」を調べ、筋炎の重症度を確認します。「血液検査」では、筋肉の障害で上昇する酵素(クレアチニンキナーゼ、アルドラーゼなどの筋原性酵素)の値を調べます。また、筋肉に細い針を刺して筋肉の障害を調べる「筋電図」や、「MRI(磁気共鳴画像)」で筋肉の中の炎症部位や広がりを評価します。筋肉の病気をきたすほかの病気との判別や多発性筋炎・皮膚筋炎の確定診断として、腕あるいは太ももから筋肉を採取し、顕微鏡で筋肉の障害度合いを調べる「筋生検」を行います。

また、紅斑が見られる場合には、皮膚科医の診察で皮膚筋炎以外の病気がないかを調べ、必要に応じて、皮膚の赤みのあるところから皮膚を一部採取する「皮膚生検」を行うこともあります。

筋肉や皮膚以外に、病気と関連して、肺、心臓、消化管の内臓に炎症が生じることもあるため、治療前に心電図、胸部のレントゲンやCT(コンピュータ断層撮影)、肺活量(肺機能)、便潜血、消化管内視鏡などの検査を病状に応じて行います。また、中年以上の患者さんではがんを併発していることがあるため、性別・年齢に応じた、がんスクリーニング検査を実施することもあります。

副腎皮質ステロイド薬で炎症を抑えながら、再発防止を図る

多発性筋炎・皮膚筋炎の治療は、副腎皮質ステロイド薬の投与を基本としながら、場合に応じて免疫抑制薬や免疫グロブリンを併用しながら進めます。

グルココルチコイド(副腎皮質ステロイド薬)
筋肉の炎症に対する治療の第一選択薬は、副腎皮質ステロイド薬となります。副腎皮質ステロイド薬の治療量は、病状の重症度や併発症に応じて調整します。通常、副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロン換算として)体重1kgあたり0.5~1.0mg/日(体重50kgの患者さんは25~50mg/日)を内服で開始します。その後は可能な限り副腎皮質ステロイド薬を減量して、投与をやめることを目指します。
免疫抑制薬
副腎皮質ステロイド薬に免疫抑制薬を早期から併用することで、副腎皮質ステロイド薬の速やかな減量が可能となります。副腎皮質ステロイド薬関連には副作用がありますので、その軽減を図りつつ、筋炎の再発予防としての維持療法の役割も担います。どの免疫抑制薬を使用するかは、患者さんの病状や併発症に基づいて、選択します。
免疫グロブリン大量静注療法
副腎皮質ステロイド薬による治療で筋炎の病状が十分に改善しない場合には、点滴で免疫グロブリンの投与を1コース(5日間連続)行うこともあります。

難病である筋炎の専門診療のため、強皮症・筋炎先進医療センターを開設

多発性筋炎・皮膚筋炎(以下、筋炎)は、筋肉、皮膚、関節や臓器など多彩な病変をきたす膠原病で、国が指定する難病の一つです。最近は多くの膠原病における治療が進歩していますが、筋炎はいまだに難治性病態として取り残されています。そのため当院では、国や診療科を越えて作られた最適な診療を提供する場が必要と考え、2020年に強皮症・筋炎先進医療センターを開設しました。当センターでは、筋炎の診療経験が豊富で、難病克服に熱意を持つスタッフが力を合わせて、個々の患者さんに質の高い医療の提供に取り組んでおります。

当院では、週19枠の膠原病外来診療と、週4枠の強皮症・筋炎先進医療センターの専門外来診療を行っています。筋炎の確定診断が難しいケース、標準的治療に十分な効果が得られないケースなど、近隣のみならず日本全国の医療機関より紹介されています。

2024年度は38名が外来紹介受診し、31名が入院での精査・加療を受け、約250名の筋炎患者さんが外来通院しております。新しい治療薬の効果を検証する「治験」への参加や、筋炎に併発する間質性肺疾患の国内多施設共同臨床研究を主導的に立ち上げ、多くの患者さんへ最適な治療を提供できるように努めています。

更新:2026.02.02