遺伝性腫瘍とは、どのようながんでしょうか?

放射線治療科

がんは遺伝するの?

私たちの体にある細胞には遺伝子という、体を作り生命を維持するための設計図があります。がんは、細胞の中の遺伝子に傷ができて、それが修復されずに異常な増殖を起こして発生します。遺伝子の傷は、たばこやウイルス感染、化学物質など、さまざまな環境要因で起こります。ヒトには遺伝子の傷を修復したり、異常な細胞の増殖を抑えたりする機能が備わっています。しかし、一部の方には生まれつきその機能をつかさどっている遺伝子に異常(変異といいます)があって、遺伝的にがんにかかりやすい体質を持っていることがあります。このように、生まれつきの遺伝子変異によってかかりやすい「がん」のことを遺伝性腫瘍(いでんせいしゅよう)といいます。

家系内に①若くしてがんにかかった方がいる、②繰り返しがんにかかった方がいる、③特定のがんが多く発生している、などがあてはまる場合には、遺伝性腫瘍の体質を持っている可能性があります。

がんの遺伝が心配なのですが

家系内にがんにかかった方が多いと、遺伝性腫瘍の体質を持っているかどうか心配になると思います。まずは、がん相談支援センターに相談してください。相談者が希望する場合や、相談員が必要と判断した場合には、遺伝カウンセリングを受けてもらうことをお勧めします。

遺伝性腫瘍にはいくつかの種類があり、原因となる遺伝子が分かってきています。確定診断には血液を用いた遺伝学的検査を行います。変異があると分かることで、生まれつきの一生変わらない体質を持っていることや、将来かかるかもしれないがんの可能性、血縁者も同じ体質を持っている可能性を知ることになり、心の負担になるかもしれません。

検査前にはカウンセリングで検査のメリット・デメリットをよく話し合います。検査結果で変異があると分かった場合には、その後の本人の予防や検診など、健康管理や親族への対応について、話し合っていきます(図)。

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図 相談の流れ

更新:2024.10.21