けいぶじすとにあ

頸部ジストニア

基礎情報

概要

ジストニアとは、不随意運動症のひとつです。不随意運動症とは、麻痺(まひ)などがないにもかかわらず、震え、足のすくみ、筋肉の緊張などにより、意図した運動がうまくできなくなる状態で、ジストニアのほかにパーキンソン病や本態性振戦(ふるえ)などが含まれます。ジストニアは無意識に筋肉がこわばる不随意運動症で、全身のさまざまな筋肉に発症します。ジストニアの症状は筋肉に出ますが、この原因は脳からの体の働きをコントロールする情報の電気信号が、正しく伝わらないために起こる脳の病気です。特に、大脳基底核と呼ばれる脳深部の神経核の異常と関連が深いことが分かっています。

治療

最初に薬物治療を行います。問題のある筋肉にボツリヌス治療を行うことも有効です。薬の効果が思うように得られなかったり、副作用が強い場合には、外科手術を行う場合もあります。

不随意運動症の外科治療のひとつに脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)があります。一般に若年者で、薬物(L-ドーパ)に対する反応が良好な人ほど高い手術効果が期待でき、重度の認知症やそのほかの精神疾患を合併している場合は、効果が期待できないため適応外となります。

脳深部刺激療法

脳深部刺激療法は、大脳基底核の特定の部位に電極を挿入して、心臓のペースメーカーとよく似た刺激バッテリーを胸部に埋め込み、持続的に脳を刺激することで神経活動を調整する治療法です(図1、2)。

図
図1:脳深部刺激療法の仕組み
図
図2:DBS療法の仕組み

症状の進行や刺激による副作用の状況に応じて、刺激の条件を調節することが可能で、脳を破壊しないため刺激を中止すれば、ほぼ元の状態に戻すことができます(可逆性)。皮膚感染やバッテリー交換を要するなどのデメリットもあり、手術適応の決定には内科と外科の連携や慎重な判断が必要です。また脳深部刺激療法は、症状を軽減させるものであり、不随意運動症そのものを治す治療ではありません。従って、手術後も薬物治療を継続することが必要です。

更新:2022.08.22