りゅうきせいひふせんいにくしゅ
隆起性皮膚線維肉腫
概要
隆起性皮膚線維肉腫(りゅうきせいひふせんいにくしゅ)〈DFSP〉は、皮膚の中層(真皮)から発生するまれながんです。DFSPは「低悪性度」の肉腫に分類されます。周囲の組織へ指を伸ばすように浸潤(しんじゅん)して広がる性質があるため、見た目以上の範囲まで腫瘍が及んでいることが多く、 これが不十分な切除による高い再発率の原因となっています。

隆起性皮膚線維肉腫の原因
DFSPの原因は、はっきりとはわかっていません。しかし、一部の患者では遺伝子に変化がみられ、これが腫瘍(しゅよう)の発生に関係していると考えられています。たとえば、17番染色体と22番染色体の一部が入れ替わる「転座(てんざ)」が起こることが知られています。この遺伝子変化が、皮膚の中にある線維芽細胞(せんいがさいぼう)という細胞を異常に増やすことで腫瘍ができやすくなると推測されています。
- 過去の皮膚損傷:火傷、放射線治療、手術による傷跡のある皮膚を持つ人は、この癌に罹る可能性が高くなります。
- 隆起性皮膚線維肉腫の病歴:この癌は外科的切除後も局所的に再発することがあります。
隆起性皮膚線維肉腫の症状
- 1.しこりや隆起
- 皮膚の一部が盛り上がったようなしこりとして始まることが多いです。初期は小さなニキビや虫さされの跡と見分けがつかない場合もあります。
- 2.色の変化
- しこりの表面が茶色や赤色、紫色などに変色することがあります。ただし、はじめは肌とほぼ同じ色の場合もあり、気づきにくいことがあります。
- 3.ゆっくりとした拡大因
- DFSPは成長が遅いものの、時間をかけて少しずつ大きくなったり、周囲の組織を巻き込んだりする可能性があります。
- 4.痛みやかゆみ
- しこりが大きくなると、圧迫感や痛み、かゆみを感じる場合があります。ただし、痛みのないまま進行することも珍しくありません。
隆起性皮膚線維肉腫の検査・診断
- 1.視診・触診
- 医師が皮膚の状態を目で見たり、指で触れたりして確認します。ゆっくりと大きくなるしこりがある場合には、DFSPを含めた皮膚腫瘍(しゅよう)の可能性を疑います。
- 2.皮膚生検(せいけん)
- 疑わしいしこりの一部を切り取って顕微鏡で調べる検査です。これにより腫瘍の種類や悪性度(どれくらい悪いものか)がわかります。
- 特にCD34というタンパク質を確認する免疫染色検査を行うことで、見た目が似ている他の良性腫瘍(皮膚線維腫など)と確実に区別することができます。
- 3.画像検査
- 腫瘍の広がりや、骨・筋肉などほかの組織への影響を確認するために、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)を行うことがあります。また、まれにリンパ節や遠隔(はなれた場所)への転移を調べるための検査として、PET(*1)(ペット)検査が行われる場合もあります。
※1:放射性薬剤を注射し、その分布を画像化することで、がんの有無や広がり、転移、治療効果などを調べる検査
隆起性皮膚線維肉腫の治療
- 1.外科的切除
- 最も一般的な治療法は、しこりを周囲の正常な組織ごと切除する手術です。DFSPは再発しやすい性質があるため、十分なマージン(安全域)を確保して深い組織まで含めて切除する必要があります。
- 2.モーズ顕微鏡手術(Mohs手術)
- 腫瘍とその周辺を少しずつ切除し、切り取った組織を顕微鏡で調べながらがん細胞がないか確認していく方法です。正常組織をできるだけ残しながら、がん細胞を取りきることを目指します。
- 3.放射線療法
- 手術後に再発リスクが高い場合や、手術で十分に切除しきれない場合などに放射線を照射することがあります。
- 4.標的療法
- イマチニブ(特定のがん細胞の増殖を抑える分子標的薬〈ぶんしひょうてきやく〉)などが用いられることがあります。ただし、すべてのDFSPに有効とは限らず、遺伝子変化などを詳しく調べた上で検討されます。先の融合遺伝子が作り出す異常なタンパク質の働きを直接抑える薬で、手術で取りきれない場合や、再発を繰り返す場合に選択されることが多いです。
更新:2026.09.25




