とうごうしっちょうしょう

統合失調症

概要

統合失調症は、考えや気持ち、行動をまとめることがうまくいかなくなる脳の病気です。症状は様々で、幻覚、妄想、極端に無秩序な思考や行動が組み合わさった結果、日常の機能を損ない、障害を引き起こす可能性があります。生涯で発症する率は、人口100人に1人よりわずかに少ない程度で、一般的には青年期から成人早期に発症します。

症状

統合失調症には、幻覚や妄想などの陽性反応、感情が平板になったり意欲が低下する陰性症状、認知機能障害、抑うつや不安などの感情症状など、さまざまな症状があります。

治療

統合失調症の治療は、抗精神病薬を使った薬物治療が基本になります。薬物治療に加え、病気の回復や程度に応じ、精神療法やリハビリテーションを行います。

薬物治療(抗精神病薬)

抗精神病薬は、「定型(従来型)抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬(新規型)」の2つに分けれます。

統合失調症の治療には、一般的には非定型抗精神病薬が第一選択で、原則として1種類の薬で治療を行います。非定型抗精神病薬は、定型抗精神病薬に比べて錐体(すいたい)外路症状(日常の動作がスムーズにできなくなる障害)が少ないと言われています。また、陰性症状・抑うつや不安などの感情症状・認知症状のある人に対しては、定型抗精神病薬より優れた効果があり、陽性症状の人にも同等の効果があります。

治療抵抗性統合失調症

統合失調症には、複数の抗精神病薬を十分な量、十分な期間用いても症状が回復しない場合があり、それを「治療抵抗性統合失調症」と言いいます。統合失調症は、有効な抗精神病薬を投与しても改善がみられない「反応性不良」と、コントロール不良の錐体外路症状などの副作用によって十分な量の抗精神病薬を投与できない「耐用性不良」の2つに分類されます。治療抵抗性統合失調症は、未使用の非定型抗精神病薬や適量の定型抗精神病薬などの特徴が異なる抗精神病薬へ切り替えると、精神症状が改善することがあります。それでも改善が見られない場合に、抗精神病薬「クロザピン(一般名)」を用います。クロザピンは、2009年に治療抵抗性統合失調症治療薬として国内で承認されましたが、好中球の減少、感染症を起こしやすくなる無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)、痙攣(けいれん)、高血糖などの重篤な副作用が報告されていて、適応や使用方法に厳しい基準が設けられています。

電気けいれん療法

薬物治療の他に、重篤な緊張病症状や、自傷・自殺・他害の切迫、薬物不耐性などの重症な場合には「電気けいれん療法」を選択する場合もあります。

更新:2022.08.15