ちゅうじえん

中耳炎

概要

中耳炎は、中耳が細菌などに感染し、炎症を起こす病気です。

図
図:耳の構造

中耳炎には、急性中耳炎・慢性中耳炎・滲出性中耳炎・真珠腫性中耳炎(慢性中耳炎の1種)があります。中でも慢性中耳炎は、中耳に起きた炎症が慢性化し、鼓膜に穴(穿孔(せんこう))が空いた状態になることが多く、耳漏(じろう)が続いたり、難聴症状を起こします。また、真珠腫性中耳炎は慢性中耳炎の一種ですが、中耳に真珠腫(しんじゅしゅ)というものが形成される病気です。

慢性中耳炎の聴力改善手術

慢性中耳炎で難聴状態となった場合、以下のような手術方法があります。

鼓室形成術(こしつけいせいじゅつ)

慢性中耳炎により、鼓膜に穴が空き、耳漏が続いたり、鼓膜につながっている耳小骨(じしょうこつ)(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)が壊れているために難聴になっている患者さんに行う手術です。鼓膜の再生、耳小骨の再建を行い聴力の改善を図ります。鼓室形成術は耳の後ろを切開して顕微鏡を使って手術を行い、軽症の場合は外耳道から内視鏡を使って行うことも可能です。真珠腫性中耳炎の場合は、初回手術で病変(真珠腫)を完全に取り除き、2回目の手術で聴力改善を行う段階手術を行うこともあります。

人工中耳の手術

慢性中耳炎に対する聴力改善手術を受けても聴力が改善しなかったり、中耳炎のため耳漏が続いていて補聴器が使えない患者さんに対する聴力改善手術で、人工中耳を埋め込みます。

人工内耳の手術

補聴器でも相手の話が聞き取れなかったり、中耳炎や突発性難聴などの病気のために両方の耳がほとんど聞こえない患者さんに対する聴力改善手術です。人工内耳とは、音声を電気信号に変換し、聴神経を電気刺激することで聴覚を取り戻します。人工内耳は、手術で耳の後ろに埋め込む受信装置と、音を集めて受信装置に送る体外部から成ります。体外部のマイクで集めた音は電気信号に変換され、その信号が送信コイルから皮膚の下にある受信装置に送られます。受信装置に伝わった信号は、内耳に埋め込まれた電極から聴神経を介して脳へ送られ、音として認識されます。

更新:2022.08.22