かふんしょう

花粉症

花粉症

概要

花粉症は、花粉などのアレルギーの原因物質(アレルゲン)に対して、体の免疫システムが過剰に反応することで起こるアレルギー性鼻炎の代表的な病気です。日本では、スギやヒノキの花粉による花粉症が特に多く、季節になるとくしゃみや鼻水、目のかゆみなどで悩む人が急増します。厚生労働省によると、日本人の約5~6人に1人、あるいはそれ以上が花粉症の症状を持つ可能性があるともいわれています。その症状は日常生活や学業、仕事に支障をきたすほど強くなることもあります。

花粉症の原因

花粉症の原因は、花粉をはじめとするアレルゲンが体に入ったときに、免疫システムが本来無害であるはずの物質を「有害なもの」として誤って認識し、攻撃しようとすることです。この免疫反応によって、鼻や目などの粘膜(ねんまく)に炎症が起こり、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状があらわれます。

主な花粉としては、スギやヒノキのほか、ブタクサ、ヨモギ、カモガヤなどがあります。花粉だけでなく、ほこりやダニの死がいなどのハウスダストや動物の毛、カビなどもアレルギー性鼻炎の原因となることがありますが、日本で多いのはスギ・ヒノキ花粉症です。

また、以下のような要因が加わると花粉症の症状が出やすくなります。

1.遺伝的要因
家族に花粉症やほかのアレルギー性疾患があると、体質を受け継ぐ可能性があります。
2.生活環境
住宅の密閉化や大気汚染などが、アレルギー疾患の増加に影響していると考えられています。
3.ストレスや生活習慣
睡眠不足や過度なストレスが、免疫力のバランスを崩しやすくします。

花粉症の症状

花粉症の症状は主に、鼻と目にあらわれます。代表的なものは以下のとおりです。

  • くしゃみ:連続して出ることが多く、ときには止まらなくなる
  • 鼻水や鼻づまり:水のようにさらさらの鼻水が大量に出たり、ひどい鼻づまりで息苦しくなったりする
  • 目のかゆみや充血:まぶたや白目の部分が赤くはれて、強いかゆみを感じる
  • のどのかゆみ:鼻水がのどに回ったり、直接花粉を吸い込んだりして、のどがいがいがする
  • 耳のかゆみ:耳の奥がかゆくなることもある
  • 頭がぼーっとする、集中力の低下:くしゃみや鼻づまりなどの不快感が続くため、集中力が落ちたり、頭痛を伴う場合もある

症状の強さは個人差が大きく、花粉が飛散する時期や量、体調によっても変わります。特にスギ花粉は2月から4月頃、ヒノキ花粉は3月から5月頃に多く飛ぶため、この時期に症状が出始める人が多いです。

図
図:花粉症

花粉症の検査・診断

花粉症かどうかを調べるには、主に以下の検査が行われます。

1.問診と視診
医師が症状の状況や発症時期、家族歴などを聞き取り、鼻やのどの状態を観察します。
2.アレルギー検査
血液検査:IgE抗体(アイジーイーこうたい)(※1)を測定し、どのアレルゲンに反応しているかを調べます。
皮膚プリックテスト:腕や背中の皮膚にごく少量のアレルゲンをつけ、かゆみや赤みの反応を見ることで判定します。
3.鼻鏡(びきょう)検査
鼻の中を直接見て、粘膜のはれや分泌物の様子を確認します。

これらの検査を総合的に判断して、花粉症なのかほかのアレルギー性鼻炎なのか、あるいは風邪など別の原因による鼻炎なのかを診断します。

※1:アレルギー反応に関係するたんぱく質

花粉症の治療

花粉症の治療は、大きく分けて「薬物療法」と「アレルゲンをできるだけ避ける環境調整」の二つの柱があります。症状の程度や生活スタイルに合わせて、組み合わせて行います。

1.薬物療法
抗ヒスタミン薬:くしゃみや鼻水、目のかゆみなどを抑える薬です。飲み薬や点鼻薬、点眼薬などさまざまな形があります。
ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬〈ふくじんひしつホルモンやく〉):強い抗炎症作用があり、アレルギー症状を効率よく抑えます。点鼻薬や内服薬に使われることがありますが、医師の指示に従い、正しい用法・用量を守ることが大切です。
抗ロイコトリエン薬:アレルギー反応の一部であるロイコトリエンという物質の働きを抑え、鼻づまりなどの症状を軽減します。
2.環境調整
花粉の多い時期に外出を控える、または対策をする:飛散量が多い日はマスクやメガネ、帽子などで花粉を防ぎましょう。
帰宅時の工夫:衣服や髪の毛などについた花粉を家の中に持ち込まないよう、玄関先で軽く払ったり、手洗い・うがいを徹底したりします。
洗濯物の干し方:花粉シーズンはできるだけ部屋干しをするか、外干しの場合は飛散が少ない時間帯に干すようにしましょう。
3.スギ花粉症特有の治療「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」
スギ花粉症に対しては、舌下免疫療法という治療法があります。これは、スギ花粉のエキスを少しずつ体に取り込むことで、免疫を慣れさせ、症状を和らげる効果を狙う方法です。効果が出るまでに時間がかかり、数年単位で継続する必要がありますが、体質改善につながる可能性があります。

花粉症の合併症

花粉症の症状が長引くと、以下のような合併症が起こる場合があります。

副鼻腔炎(ふくびくうえん)
鼻づまりが続き、鼻の奥の空洞(副鼻腔)が細菌やウイルスに感染して炎症を起こします。頭痛や顔面痛、膿(うみ)のような鼻水が出ることも。
中耳炎(ちゅうじえん)
耳管(じかん)(※2s)が炎症を起こすことで、中耳(ちゅうじ)の感染や耳の痛み、聞こえづらさにつながります。
睡眠障害
鼻づまりやくしゃみが原因で睡眠が妨げられ、日中の集中力低下や疲労の蓄積を引き起こすことがあります。

※2:耳と鼻をつなぐ管

花粉症の予防

花粉症を完全に防ぐのは難しいですが、以下の点に注意することで症状を軽減できる場合があります。

1.花粉情報のチェック
テレビやインターネットで花粉飛散予測を確認し、飛散が多い日はマスクやメガネで対策を強化します。
2.適切な時期に薬を開始する
症状が出る前や軽いうちから薬を使うことで、症状の悪化を防ぎやすくなります(初期治療)。
3.生活習慣の改善
規則正しい睡眠や栄養バランスの取れた食事を心がけ、免疫バランスを整えます。
4.家の中の掃除や換気
血液検査でほかの病気と間違えないようにチェックする
室内に入ってきた花粉やほこりをこまめに掃除し、空気清浄機を活用するなどして室内環境を整えます。

更新:2026.05.13