ゆちゃくたいばん

癒着胎盤

概要

癒着胎盤(ゆちゃくたいばん)とは、赤ちゃんに栄養を送る「胎盤(たいばん)」が子宮に深くくっつきすぎてしまう病気です。本来、胎盤は赤ちゃんが生まれた後に子宮からはがれ落ちます。しかし癒着胎盤では、胎盤の一部もしくは全部が強く子宮の壁に食い込むようにくっついてしまい、出産後に大量出血が起こる可能性が高まります。これは母体にとって命に関わる重大なトラブルとなることがあります。

図
図:癒着胎盤

癒着胎盤の原因

癒着胎盤の原因は、胎盤が正常よりも深く子宮の壁に侵入してしまうことです。子宮内膜(※1)が十分に機能せず、胎盤をつくる絨毛(※2)(じゅうもう)が過剰に伸びてしまうと考えられています。特に以下のような要因が関わるといわれています。

1.帝王切開の既往
何度か帝王切開をしていると、子宮に傷あとが残りやすくなり、その部分に胎盤が根をはるようにくっつきやすいとされます。
2.前置胎盤(ぜんちたいばん)との合併
前置胎盤は、胎盤が子宮の入り口付近に位置して、赤ちゃんの出口をふさいでしまう状態です。前置胎盤と同時に、帝王切開歴がある場合などは、癒着胎盤の発生リスクがさらに上がります。
3.子宮の手術や処置の既往
子宮筋腫(※3)(しきゅうきんしゅ)の手術や、子宮内部の処置を行ったことがある場合も、同様に子宮壁の状態が変化し、胎盤が深くくっつきやすくなることがあります。

※1:子宮の内側をおおう膜
※2:赤ちゃんに栄養を運ぶ構造
※3:子宮にできる良性のこぶ

癒着胎盤の症状

癒着胎盤そのものは、妊娠中に特徴的な症状が出ることは少ないといわれています。しかし、前置胎盤を合併している場合には、妊娠中期から後期にかけて出血を起こすことがあります。

癒着胎盤の検査・診断

癒着胎盤を正確に見つけるためには、超音波検査(エコー検査)やMRI検査などの画像診断が重要となります。

1.超音波検査(エコー検査)
妊娠中の定期健診でおなかに機械を当て、胎盤や赤ちゃんの様子を確認します。癒着胎盤が疑われる場合は、より詳しい観察を行い、胎盤が子宮壁へ侵入しているかどうかをチェックします。
2.MRI検査
MRIは、子宮や胎盤の状態を詳しく調べるのに有効な方法です。超音波検査だけでははっきりしないときに、MRIでより正確に確認します。

癒着胎盤の治療

癒着胎盤は出産に伴う大量出血のリスクが高いため、通常の出産よりも専門的な管理が求められます。治療方針は医師や医療機関の判断によって多少異なりますが、以下のような方法がとられることが多いです。

1.帝王切開による出産
前置胎盤や癒着胎盤が疑われる場合、多くは帝王切開での出産が選択されます。事前の診断を基に、予定帝王切開の日程を組むことが一般的です。出血量が多くなるおそれがあるため、輸血の準備を整えたり、複数の医療スタッフで対応したりして、安全に出産できるようにします。
2.子宮摘出(しきゅうてきしゅつ)の可能性
胎盤が深くくっついている場合、出産後に胎盤が取れないまま大出血を起こす危険があります。母体を救命するために、子宮全体を摘出する手術が必要になるケースもあります。子宮を摘出すると、今後妊娠できなくなるため、妊婦本人や家族と十分に話し合い、リスクとメリットを比較検討します。

癒着胎盤の合併症

癒着胎盤が原因で起こる最も大きな合併症は「産後出血」です。また、無理にはがそうとすると子宮自体が破裂し、命に関わる緊急事態になることもあります。さらに、子宮を摘出した場合は、出産機能を失うだけでなく、心身ともに負担が大きくなることが考えられます。

更新:2026.02.04