【注目のダイエット薬】アライ、ウゴービ、サノレックスの効果と使い方

メディカルブレイン編集部

2024年4月8日に、日本初の市販の内臓脂肪減少薬「アライ」が発売され、話題になりました。

今回は、アライをはじめとするダイエット薬やサプリメントの分類、主な使用条件や用法、期待できる効果などについてまとめました。

ダイエット薬、サプリメントの分類

医薬品は、厚生労働省によって定められた分類があります。処方箋が必要な薬は「医療用医薬品(処方薬)」に、薬局やドラッグストアで市販されている薬(市販薬)は「一般用医薬品(*1)」と「要指導医薬品(*2)」に分類されます。

*1 一般用医薬品:第1類、第2類、第3類に分類されている薬
*2 要指導医薬品:医療用医薬品から市販薬に移行したばかりで、対面で薬剤師の説明を書面などを用いて受けなければ購入できない薬

いろいろなダイエット薬イラスト

一方、医薬品ではない食品のうち、健康を維持・増進するための特定の成分を錠剤やカプセル状にしたものがサプリメントです。サプリメントには、保健機能食品(機能性表示食品、特定保健用食品(健康食品)、栄養機能食品)が含まれます。

ダイエット薬、サプリメントの分類図

処方箋が必要な医療用医薬品には、健康保険が適用される「ウゴービ」「サノレックス」という2つの薬があります。また、2024年4月に発売された内臓脂肪減少薬「アライ」は、要指導医薬品に分類されています。その他、一般用医薬品やサプリメントは、数多くの種類が市販されています。

主なダイエット薬の詳細

要指導医薬品「アライ」、医療用医薬品「ウゴービ」、「サノレックス」の詳細は以下の通りです。

アライ(大正製薬):要指導医薬品、飲み薬

【特徴・メカニズム】
アライの有効成分であるオルリスタットが、脂肪分解酵素リパーゼの活性を阻害し、脂肪の吸収を抑制します((すい)リパーゼ阻害薬)。
【効果】
食事中の脂肪の吸収を抑制し、摂取した油(脂肪)の約25%を便と一緒に排出することが期待でき、内臓脂肪や腹囲を減少させます。服用開始4週間後からの効果が認められ、日本人への臨床試験では、1年間の服用で腹囲が平均4.73㎝減少しました。
【服用の条件】
  • 18歳以上の成人
  • 腹囲が男性は85㎝以上、女性は90㎝以上の人
  • 服用の3か月前から食事や運動の生活習慣の改善に取り組んでいる人
    ※服用中も運動と食事の改善は継続する必要があり、初回購入前の1か月間、および継続購入には生活習慣改善の記録が必要です。
  • 原則、高血圧や2型糖尿病などの肥満に関する健康障害のない人

以上のことを薬剤師と店頭で対面し、書面で確認したうえで購入

【副作用】
  • 便と一緒に脂肪を排出するため、おならをした時に油が出てしまう(便が漏れる)ことがあり、慣れるまではおむつや便漏れパッドなどでの対策が必要
  • 便が油っぽくなる
  • トイレが近くなる
  • その他、消化器の副作用がでる可能性があり、脂っこい食事を控えめにするなどの注意が必要
【用法】
1日3回、食事中または食後1時間以内に1回1カプセルを服用
【費用】
6日分2,530円、30日分8,800円

ウゴービ(ノボ ノルディスク ファーマ):医療用医薬品、注射剤

【特徴・メカニズム】
痩せホルモンと言われるGLP-1を薬として体に補充することで、食欲、胃の運動、食後の血糖値の上昇が抑えられます(持続性GLP-1受容体作動薬)。条件を満たした場合は保険適用される肥満治療薬。
【効果】
  • 食欲が抑えられることにより食事量が減少
  • 胃の運動が抑えられ、満腹感が持続し食事量が減少
  • 食後の血糖値上昇を抑え、脂肪分解を促進し、太りにくい体質に改善
【保険適用の条件】
高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法や運動療法を行っても改善がみられず、以下のどちらかに該当する場合

  • BMI27以上で、2つ以上の肥満に関連する健康障害(※)を有する

※高血圧、脂質異常症、脳梗塞、月経異常、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、慢性腎臓病など肥満に関連した11項目の健康障害

  • BMI35以上
【副作用】
食欲減退、吐き気、下痢、便秘、嘔吐(おうと)、頭痛などが現れる場合がある
まれに低血糖や急性膵炎(すいえん)の副作用が現れることがある
【用法】
0.25mg~2.4mgを週1回皮下注射する
【費用】
1か月1万円前後(薬の量、健康保険自己負担率によって異なる)
※ウゴービ以外のGLP-1受容体作動薬は、ダイエット外来クリニックなどで自費診療で処方されています。

サノレックス(富士フイルム富山化学):医療用医薬品、飲み薬

【特徴・メカニズム】
サノレックスの有効成分であるマジンドールが、脳の食欲中枢に作用し、食欲を抑え、少ない食事でも満腹感が得られるようになります(食欲抑制剤)。条件を満たした場合は保険適用される肥満治療薬。
【効果】
  • 食欲が抑えられることにより食事量が減少
  • 摂取カロリーが減り痩せていくことが期待できる
  • 代謝が促され、消費エネルギーが増加し、太りにくい体質への改善が期待できる
【保険適用の条件】
  • 食事療法や運動療法を行っても改善がみられない高度肥満症患者
  • BMI35以上、または肥満度+70%以上の人
【副作用】
重篤な副作用

  • 依存性が認められている(長期的な使用は不可)
  • 肺高血圧症の症状が現れた報告あり

このほか、口や(のど)の渇き、胃の不快感、嘔吐、便秘、睡眠障害、倦怠(けんたい)感など

【用法】
通常、1日1回昼食前に1錠(0.5mg)を服用
服用期間は3か月まで
【費用】
1か月1.2万円前後(薬の量、健康保険自己負担率によって異なる)

ダイエット薬の使用には十分な注意が必要です。市販薬でも医師に相談できる。用法、副作用などを十分確認し、適切に使用するように注意しましょう。

更新:2024.05.27