健診で「貧血」と言われました。何か原因があるのでしょうか?
愛知医科大学病院
血液内科
愛知県長久手市岩作雁又
「貧血=鉄不足」なのですか?
血液検査で貧血の原因が分かりますか?
鉄以外に、ビタミンB12や葉酸、銅、亜鉛といったビタミンやミネラルの不足でも貧血が起こります。また、血液が壊れやすくなる貧血(溶血性貧血)もあります。胆石や黄疸(おうだん)をきっかけに、溶血性貧血がみつかることもあります。肝臓や腎臓など内臓の病気やホルモンの病気、がんが原因のこともあります。
前回の健診よりヘモグロビンの値が2以上低下している場合は、特に注意してください。赤血球に加え、白血球や血小板も減っている場合、骨髄(こつずい)で血液がしっかりつくられているか調べるため、骨髄検査が必要になることがあります。当院は、血液内科と血液検査技師が緊密に連携し、平日午前中の受診であれば、当日に骨髄検査を受けることも可能です。骨髄検査は大変な検査ではなく、「骨髄からの採血」といった感覚が正しいと思います。
ビタミンB12が不足すると、どんな症状が起こるのですか?
骨髄腫・リンパ腫の診断、治療の最前線
骨髄腫(こつずいしゅ)は血液がんの一種で、貧血や骨折、腎障害などが起こります。最近は、骨髄腫の細胞を狙いうちする「分子標的薬」が次々と登場しています。「自家造血幹(じかぞうけつかん)細胞移植」という患者さん自身の血液細胞を用いた治療法も有効です。ただ、どの薬剤が効くのか、これまで治療前には分かりませんでした。しかし、当科では患者さんごとに、がん細胞の性質や体質を詳しく調べることで、治療効果を推測する試みを開始しています。これにより、それぞれの患者さんに適した、より安全で効果的な「精密医療」を提供することができると考えています。
リンパ腫は、悪性リンパ腫とも呼ばれ、リンパ球ががん化したものです。多くはリンパ節に起こりますが、脳や脊髄を含め全身どの臓器からも生じます。診断には、リンパ節などの採取が必要となります。治療前には画像(CT、PET)検査や骨髄検査、消化管検査などを行い、病気の広がりを把握します。抗がん化学療法や放射線療法に加え、リンパ腫にも分子標的治療が数多く使えるようになり、治療成績も向上しています。自家移植に加え、同種(他人の血液)移植を行こともあります。
骨髄腫・リンパ腫いずれも、外来での治療が増えてきました。できるだけ円滑に治療が進められるよう、外来・入院スタッフが緊密に連携しています。また、新しい診断・治療法の有用性を調べる臨床試験も積極的に行われています。興味がある方は、担当医にお尋ねください。
更新:2022.03.14