【大人の予防接種ガイド】健康を守るために知っておきたいこと

メディカルブレイン編集部

予防接種は一般的には子どもが受けるものと思われがちですが、実際には大人にとっても重要なワクチンがあります。今回は、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザだけでなく、大人が受けるべき予防接種について紹介します。

予防接種の目的と意義

予防接種は、病気に対する免疫を獲得することで、病気にかかるリスクを減らし、かかっても重症化しにくくすることを目的としています。
さらに、予防接種を受けることで、自分自身が病気にかかる可能性を低くするだけでなく、周囲に病気を広げるリスクも減少させることができます。これにより、病気の拡大を防ぎ、社会全体を守ることにもつながります。

予防接種はどんな人が受けるべきか

予防接種は、特に、病気にかかりやすい人や病気が重症化しやすい人にとって重要です。以下は、どのような人が予防接種を受けるべきかの具体的な例です。

予防接種を受けるべき人のイラスト

高齢者
加齢により免疫機能が低下するため、肺炎球菌(きゅうきん)、インフルエンザ、帯状疱疹(たいじょうほうしん)、百日ぜきなどの予防接種が推奨されています。
妊娠前の人
妊娠中は免疫機能が低下します。麻疹(ましん)(はしか)や風疹(ふうしん)などの病気は、胎児に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠前にインフルエンザ、麻疹(はしか)、風疹、水痘(すいとう)(水ぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪(かぜ))などの予防接種が勧められています。
現在の予防接種制度で必要とされているワクチンを過去に受けていない人
生まれた年代によって、現在は全員が受けるべき予防接種を受けていない場合があります。麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)、B型肝炎、日本脳炎、百日ぜき、破傷風(はしょうふう)などがこれに該当します。大人がかかると重症化したり、妊娠中の人にうつすと大きなリスクがあるため、成人後の接種が推奨されています。
海外渡航者
海外では、日本では一般的でない病気も存在します。渡航先や渡航目的、自分の健康状態などに応じて、適切な予防接種を受けることが重要です。
詳細は、厚生労働省検疫所FORTHホームページを参照してください。

主な予防接種の詳細

予防接種は、自分の健康だけでなく、周囲の人や社会全体を守るためにも重要です。予防接種の効果と意義を理解し、必要な予防接種を受けることを検討しましょう。

※任意接種のワクチンの費用は、医療機関によって異なります。
※ワクチンの接種は、医療機関に相談のうえ決定してください。

●肺炎球菌

現在、13価肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」と23価肺炎球菌ワクチン「ニューモバックス」の2種類のワクチンが使われています。
23価肺炎球菌ワクチン「ニューモバックス」は、定期接種の対象者は自治体の助成が受けられます。

13価肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」

接種対象者 65歳以上の人
2歳以上で肺炎球菌による重い病気の罹患リスクが高い人
接種回数 1回
5年ごとに接種
費用 1回約8,000円~10,000円

23価肺炎球菌ワクチン「ニューモバックス」(定期接種)

接種対象者 65歳以上の人

※定期接種の場合
65歳の人(65歳の1年間に受けてください)
60~64歳以下で下記に当てはまる人
・心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害がある方
・ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方

接種回数 1回
費用 1回約8,000円~10,000円

※定期接種の場合
自治体の助成が受けられます
詳細は各自治体にお問い合わせください

※定期接種:法律で接種することが勧められているワクチンのことです。

●B型肝炎

接種対象者 成人のすべての人
特に医療従事者、透析患者、海外長期滞在者などに推奨
接種回数 3回
1回目と2回目の間は4週間以上、1回目と3回目の間は20週間以上あける
費用 1回約5,000円~8,000円

●百日ぜき、破傷風、ジフテリア(成人用三種混合)

接種対象者 成人のすべての人
百日ぜきに乳児がかかると命に関わることもあるため、特に新生児に接する機会の多い人に推奨
接種回数 子どもの時に3回以上接種済みの場合は、10年ごとに1回
過去に接種していない場合は3回
1回目と2回目の間は3~8週間以上、1回目と3回目の間は12~18か月あける
費用 1回約4,000円~7,000円

●麻疹(はしか)、風疹(MR混合ワクチン)

接種対象者 過去に予防接種を2回受けていない人で、麻疹、風疹にかかったことがない人
接種回数 2回
1回目と2回目の間は4週間以上あける
費用 1回約8,000円~10,000円

●水痘(水ぼうそう)

接種対象者 過去に予防接種を受けていない人で、水痘にかかったことがない人
接種回数 2回
※1回目と2回目の間は1か月以上あける
費用 1回約4,000円~6,000円

●流行性耳下腺炎(おたふく風邪)

接種対象者 過去に予防接種を2回受けていない人で、流行性耳下腺炎にかかったことがない人
接種回数 2回
※1回目と2回目の間は4週間以上あける
費用 1回約3,000円~8,000円

●日本脳炎

接種対象者 過去に予防接種を受けていない人
特に東アジア、東南アジアなどの流行地域に行く人に推奨
接種回数 3回
※2回目は1回目の1~4週間後、3回目は2回目の1年後
費用 1回約5,000円~8,000円

●帯状疱疹

現在、帯状疱疹ワクチンは2種類あります。公費助成を受けられる自治体もあります。

帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)

接種対象者 50歳以上の人
接種回数 2回
費用 2回で合計4万円程度

水痘ワクチン(生ワクチン)

接種対象者 50歳以上の人
接種回数 1回
費用 1回約8,000円~10,000円程度

※その他の詳細は、「帯状疱疹ワクチンについて徹底解説。3人に1人がかかるって本当?」を参照してください。

更新:2024.05.13