【2026年1月から保険適用】自家培養軟骨を用いた変形性膝関節症治療のポイントを解説

メディカルブレイン編集部

患者さん自身の軟骨細胞を培養し、変形性膝関節症へんけいせいひざかんせつしょうによってすり減った膝関節部分に移植することで軟骨を再生させる治療が、2026年1月から保険適用になりました。 この「自家培養軟骨」を用いた治療法は、従来の保険適用の治療法と比べてどのような違いがあるのでしょうか。 ポイントを解説します。

「自家培養軟骨」は従来の保険適用治療とは異なる、新たな治療の選択肢

これまでの保険適用治療は、保存療法と手術療法

膝関節の軟骨が加齢などとともに徐々にすり減り、膝を曲げ伸ばしする際に痛みやひっかかりを伴うようになるのが、変形性膝関節症の症状です。

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これまでは保険適用の治療を受けようとすると、まずは保存療法を行い、効果が得られない場合は手術療法を行うのが一般的でした。

保存療法とは、減量や大腿四頭筋だいたいしとうきんなどの筋力強化を行って膝関節を安定させ、痛みが強い場合には炎症を抑える外用剤や貼付剤、内服薬、関節内注射などを使用する治療法です。 手術療法では、膝関節の骨を切る手術や、人工関節に置き換える手術を行います。

患者さん自身の軟骨細胞を増殖・移植することで膝関節の軟骨を再生

ところが、患者さんによっては、関節内注射を打っても痛みが和らがないという悩みや、人工関節に置き換えることへの不安などを抱えることもあります。

そんな中で新たな治療法の選択肢として期待されているのが、2026年1月から保険適用が開始された「自家培養軟骨」を用いた変形性膝関節症の治療です。

図:保存療法、手術療法、「自家培養軟骨」を用いた治療法

「自家培養細胞」とは、患者さん自身の細胞のことです。患者さん自身の軟骨細胞を採取して培養したのが「自家培養軟骨」で、関節の軟骨がすり減った部分に移植することで再生することができます。軟骨には血管が通っていないため、すり減ったら通常は再生することはないのですが、この治療法ならば再生が可能になるのです。

「自家培養軟骨」を用いた治療の仕組み

約4週間かけて培養した軟骨を移植し、定着させる

「自家培養軟骨」を用いた変形性膝関節症の治療は、以下の流れで行います。

  1. 軟骨の一部を採取
  2. 採取した軟骨を、ゲル状のアテロコラーゲンと混合して立体的な形に成型
  3. 約4週間かけて培養。軟骨細胞は増殖するにつれ、本来の軟骨の性質に近づいていく
  4. 培養した軟骨を膝関節の軟骨がすり減った部位に移植し、コラーゲン膜で覆う

図:「自家培養軟骨」を用いた変形性膝関節症の治療の流れ

これまでも膝関節における外傷性軟骨欠損症や、変形性膝関節症を除く離断性骨軟骨炎の治療には保険適用がされていました。そこに、2026年1月から変形性膝関節症も加わることになりました。

ただし、培養した軟骨細胞を移植すれば治療が終わるわけではありませんので、注意が必要です。移植した軟骨を定着させ、日常生活に支障を来さないようにするためには、手術後に長期にわたりリハビリテーションを行うことが必要です。

「自家培養軟骨」を用いた治療のメリット

一番のメリットは、患者さん自身の細胞を培養して移植するため、免疫拒絶反応や感染症のリスクが低いことです。ほかにも、長期的に痛みを抑えやすいことや、治療における体への負担が少ないことなども、メリットとして挙げられます。

変形性膝関節症だからといって、すべての患者さんが「自家培養軟骨」を用いた治療を保険適用で受けられるとは限りません。 保険適用のためには、以下の条件をいずれも満たす必要があります。

  • 保存療法を十分に行っても、症状が改善しない
  • 軟骨の欠損部位の面積が2平方cm以上あること

図:保険適用の条件。保存療法を行っても症状が改善しない。軟骨の欠損部位の面積が2平方センチメートル以上

また、条件を満たしていたとしても、どの医療機関でも治療を受けられるわけではありません。 厚生労働省が定めた基準を満たすなどした医療機関でのみ、この治療を受けることができます。

治療費はどの程度必要?

「高額療養費制度」を利用することで、費用を抑えられる

保険適用で「自家培養軟骨」を用いた治療を受けた場合、患者さんの医療費の自己負担額は、年齢や所得によって異なりますが1~3割です。仮に3割負担の場合、患者さんの自己負担額の目安は約90万円。高額と感じる患者さんも多いのではないでしょうか。

ただし、そこで国の「高額療養費制度」を利用することで、最終的な自己負担額は年齢・所得によっても変わりますが、数万円~十数万円に抑えられる見込みです。

「自家培養軟骨」を用いた変形性膝関節症の再生医療は、保険適用が始まったことで、現実的な選択肢の一つになったと言えます。もし変形性膝関節症にお悩みの場合は、まずは医療機関で保険適用の治療の対象になるのかどうか、確認してみることをおすすめします。

更新:2026.04.09