基礎情報

概要

変形性関節症は、関節の軟骨がすり減ってしまう病気です。軟骨は、骨どうしがぶつからないようにするクッションのような役割があります。

軟骨自体には神経が通っていないため、少しすり減っただけでは痛みを感じません。軟骨がさらに減って骨が露出したり、削れられたものが関節の膜を刺激して炎症が起きたりすることで、初めて強い痛みを感じるようになります。これによって、歩くときや物を持つときなど、普段の動作にも支障が出るようになります。特に膝、腰、股関節、手指など、よく使う関節に起こりやすく、高齢の人に多くみられます。

日本では、高齢化が進んでいることもあり、変形性膝関節症が代表的な問題となっています。関節の痛みや変形による日常生活の不自由を抱える人が多くいます。今後ますます患者数が増えると考えられており、早期の予防と対策が重要視されています。

図
図:変形性関節症

変形性関節症の原因

変形性関節症の主な原因は、長年の使用や負荷によって軟骨が少しずつすり減っていくことです。ただし、年齢以外にもいくつかの要因が関わっていると考えられています。

1.加齢
軟骨は年齢とともに弾力が失われ、回復しにくくなります。そのため、高齢になるほど変形性関節症を発症しやすくなります。
2.肥満
体重が増えるほど、関節とくに膝や股関節に大きな負担がかかります。軟骨への負担が蓄積すると、すり減りやすくなります。
3.関節の酷使
スポーツや仕事などで同じ関節を繰り返し使う場合、軟骨がダメージを受けやすくなり、変形性関節症のリスクが高まります。
4.けがや関節の異常
骨折や捻挫などのけがをした関節は、その後の回復過程で軟骨がうまく修復されず、変形性関節症に発展することがあります。また、生まれつき関節の形状に問題がある場合も、摩擦が増えて軟骨がすり減りやすくなります。
5.遺伝的要因
家族に変形性関節症の人が多い場合、発症しやすいといわれています。

変形性関節症の症状

変形性関節症の症状は、初期段階では軽い場合もありますが、進行すると生活に支障をきたすことがあります。代表的な症状は次のとおりです。

1.関節の痛み
動き始めや、運動後、長時間同じ姿勢を続けた後などに痛みを感じることが多いです。症状が進むと安静時にも痛む場合があります。
2.こわばり(動かしにくさ)
朝起きたときやしばらく動かさなかった後、関節が硬く感じることがあります。軽く動かすと少しずつほぐれてきますが、症状が強いと動かしにくさが続きます。
朝起きた時に関節が動きにくさ(こわばり)は特徴的な初期症状です。これが進行すると、動き出しの痛みや、階段の昇降時の強い痛みへと変わっていきます。
3.腫れや変形
関節に炎症が起こると腫れたり、骨が出っ張るように見えたりします。膝や手指などでは、外見上の変形がはっきりわかる場合もあります。
4.音が鳴る(軋轢音〈あつれきおん〉)
軟骨がすり減って骨同士がこすれるようになると、関節を動かすときにゴリゴリ、ミシミシといった音がすることがあります。
5.可動域(動かせる範囲)の制限
痛みや変形のため、関節を大きく曲げ伸ばししにくくなり、日常生活の動作に支障が出ることがあります。

変形性関節症の検査・診断

変形性関節症の疑いがある場合、医療機関で以下のような検査や診察が行われます。

1.問診・視診・触診
痛みの場所や強さ、いつ痛むかなどを聞き取ります。医師が関節を直接触れて、腫れや熱感、変形の有無などを確認します。
2.X線検査(レントゲン)
関節の隙間や骨の変形、骨棘(こつきょく)(*1)の有無などを調べます。変形性関節症の診断において最も一般的な検査です。
3.MRI検査
軟骨や靱帯(じんたい)、筋肉などの軟部組織を詳しく見ることができます。X線ではわかりにくい初期の軟骨ダメージを把握するのに有効です。
4.血液検査や関節液検査
変形性関節症によく似た症状を起こす関節リウマチや感染症を除外するために行われる場合があります。

※1:関節にできるもので、痛みや動きを妨げる骨の出っ張り

変形性関節症の治療

変形性関節症は現在の医療では完全に元に戻すことは難しいとされています。しかし、痛みを和らげたり進行を遅らせたりする治療法はいくつもあり、組み合わせることで日常生活の質を向上させることが期待できます。

1.生活習慣の改善
体重コントロール:体重を減らすと膝や腰への負担が軽くなり、痛みが和らぐ場合があります。
適度な運動:関節周りの筋肉を強化し、関節への衝撃をやわらげます。水中ウォーキングや自転車など、関節への負担が少ない有酸素運動がおすすめです。
関節にやさしい動作:立ち上がるときに手を使うなど、痛みを感じる動作のときは補助を利用し、負担を減らす工夫をします。
2.薬物療法
鎮痛薬や消炎鎮痛薬:痛みや腫れをおさえるために用いられます。内服薬や外用薬(湿布など)があります。
ヒアルロン酸注射:関節の潤滑をよくするため、膝関節などに注射することがあります。
また、自分の血液や細胞を利用して組織の修復を図る再生医療(PRP療法など)という選択肢も広がっています。自由診療が中心となりますが、手術を避けたい場合の新たな希望となっています。
3.リハビリテーション
理学療法:専門の理学療法士の指導で関節をスムーズに動かす練習をしたり、筋肉を強化したりします。
装具の使用:膝用サポーターやインソールなどを使い、関節にかかる力を分散し痛みを軽減します。
4.手術療法
保存的な治療(薬やリハビリなど)でも痛みが強く、日常生活に支障が大きい場合、手術を検討します。膝関節では人工関節置換術が代表的な方法で、損傷した部分を人工物で置き換えます。
手術後もリハビリを続けることが重要で、運動機能の回復と再発予防に役立ちます。

変形性関節症の合併症

変形性関節症が進行すると、日常生活の動作が制限され、活動量が低下しやすくなります。これにより、筋肉や骨が弱ってさらに関節に負担がかかり、悪循環に陥る恐れがあります。また、痛みから外出を控えるようになると、うつ状態につながるケースもあるため、心身ともにケアが必要です。

変形性関節症の予防

変形性関節症を確実に防ぐ方法はありませんが、以下のような生活習慣を意識することでリスクを下げることができます。

1.適正体重の維持
太りすぎないように食事や運動で体重をコントロールし、関節への負担を減らしましょう。
2.適度な運動の習慣化
ウォーキングや軽めの筋力トレーニングなどを継続することで、関節周りの筋肉をサポートしやすくなります。
3.関節にやさしい姿勢や動作
重い荷物を持ち上げるときは腰や膝を守るよう正しいフォームで行い、可能であれば補助道具を使うなどの工夫をします。
4.けがの予防
スポーツをする際は、準備運動やクールダウンをしっかり行い、関節をいたわりながら活動することが重要です。

更新:2026.09.25