日本人に適した股関節疾患の治療

整形外科

股関節疾患の種類

股関節や臀部の痛みは、股関節そのものの病気だけでなく、腰椎疾患、神経痛、骨・軟部腫瘍など多くの原因で生じます。当科では、画像検査や診察所見をもとに原因を正確に診断し、股関節疾患に特化した治療を行っています。
対象となる主な疾患は、発育性股関節形成不全、それに続発する変形性股関節症、化膿性股関節炎、大腿骨頭壊死症、急速破壊型股関節症、大腿骨寛骨臼インピンジメント、関節唇損傷などです。疾患の種類、進行度、年齢、生活様式に応じて、最適な治療法を選択します。

変形性股関節症の治療

日本人の変形性股関節症の約80%以上は、発育性股関節形成不全に続発する二次性変形性股関節症と報告されています。欧米に多い一次性変形性股関節症とは異なり、寛骨臼や大腿骨の形態異常が基盤にあることが特徴です。

治療は、

薬物療法や運動療法などの保存療法
骨の形態を整えて自分の関節を温存する骨切り術
痛みや変形が進行した場合の人工股関節置換術

に大別されます。

比較的若年で変形が軽度の場合には、寛骨臼回転骨切り術などの骨切り術を選択し、自分の関節を温存することが可能です。一方で、変形が進行している場合や早期の社会復帰を希望される場合、高齢の患者さんでは人工股関節置換術が標準的な治療となります。

福井大学が得意とする人工股関節による治療

当院ではこれまでに、日本人の骨形態に適した人工股関節ステムを用いた治療成績を英語論文として報告してきました。
その研究では、

20年生存率:約94~99%
という非常に良好な長期成績が示されています。

現在は、これまでの知見を踏まえ、より安全で正確な手術を行うために汎用性のあるCT-based Navigation(図1)および手術支援ロボット「MAKO」(図2)を導入しています。

MAKOを用いることで、
インプラント設置角度の誤差:2°未満
設置位置の誤差:2mm未満

という高い精度が実現可能です。
これにより、脱臼や摩耗などの合併症リスクを低減し、さらに筋腱を温存するようなアプローチを導入することで術後の日常生活動作(しゃがみ込み、和式動作など)も制限をしない人工股関節設置が可能となっています。

図1
図1 CT based Navigation system
図2
図2 Robotic-Arm surgery Mako system

また、Navigation技術は人工股関節だけでなく、寛骨臼回転骨切り術にも応用しており、骨の切除位置や回転角度を数値で確認しながら、より正確で安全な手術が可能です。

いろいろな疾患・いろいろな治療

股関節の痛みは「年齢のせい」と思われがちですが、正確な診断と適切な治療により、痛みの軽減や生活の質の大幅な改善が期待できます。当院では、

エコーやブロック注射なども併用した科学的根拠に基づく治療

長期成績に裏付けられた人工股関節手術

人工股関節や骨切り手術に対応できるナビゲーション・ロボットを用いた高精度医療

を提供しています。

インターネット上にはさまざまな情報がありますが、正確な診断は医療機関でしか行えません。股関節の痛みや違和感を感じた際には、ぜひ早めに当院股関節外科を受診してください。

更新:2026.03.09